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【異世界転生】理想の執事を目指します  作者: 夜空のスピカ
第7章 フォレスティア森聖国編
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フォレスティア森聖国3



 謁見の間には和やかな雰囲気が流れているが、忘れちゃいけない事がある。

 グランファーレル王国国王ユリウスからの贈り物を渡す。 

 本来なら国王から国王への贈り物なので、厳かな空気になるはずだ。

 

 だが、弛緩したこの場では、そうはならなかった。

 孫が祖父母へお土産を持ってきたみたいな、アットホームな雰囲気しかない。

 伯父を含めた3人は『お使い出来て偉いね』という顔になっている。


 最初からだった気もするが、謁見という雰囲気ではなくなったので、部屋を移動する。

 ゆっくりと話をする為、テーブルやイスのある客室へ向かう。

 ピエリスとアイリスは、エレナ達の方へ向かってくれた。

 

 先に指示を出していたようで、部屋に着くと、エルフの侍従がお茶の用意などをしてくれる。


「アコは?」


 母様が祖父母に尋ねるが、誰の事だろう?


「ああ、アコニートゥムなら念の為、遠くの方へ採取に行かせたわ」

「ユーリオンを直接この目で見て、アレが暴走しないか確認する必要があったのでな」

「でも、きっと大丈夫ね」

「……そう」


 ……暴走?

 なんだか、不穏な言葉が聞こえてきたぞ。

 しかも、名前が上がるという事は、僕も何かしら関係しているのだろうか?


「丁度良いタイミングだし、リリーを連れて来るよ」


 ボルサム伯父様が席を立つ。

 ちょっぴり御転婆と言っていたが、どんな娘なんだろう?

 7,8日くらいは滞在する予定なので、エレナとも仲良くしてくれる娘だと良いな。

 

 僕も個人的な贈り物をするなら丁度良いタイミングかな。

 ストレージから贈答用のトランプを取り出して渡す。


「なんだいこれは?」  

「……紙なのかしら?」

「紙にしては、随分と品質が良いな」


 普段使いしているトランプも取り出すと、遊びながら説明する。

 せっかく贈った物をこの場で使い、汚してしまうのもアレかなと思ったからだ。


「ほう、これ1つで色々遊べるのだな」 

「グランファーレル王国の発想力と技術力には驚かされるわ」


 さて、どうしたものか。

 母様の父母だし、接した印象的にも信用できると思うし、信用したい。

 だけど、転生者と知る者が増えれば増えるほど、バレるリスクは高まる。


 異世界人が深く関わっている国もあるくらいだし、バレるのはまだ良い。

 ただ、国の重要人物にバレて、国家的に利用される事態は避けたい。

 そうなってしまえば、執事になるという夢の障害になってしまう。


「母様、どこまで話すか、お願いしても良いですか?」

「……ええ、後で話を通しておくわね」


 ここは、最も信頼できる大人である母様にお任せしよう。

 母様が全て話すと決めたならそれで良いし、一部だけ話すならそれでも良い。


 4人でランプを使って遊びながら伯父様を待つ。

 部屋の扉がバーンと大きな音を立てて、突然開けられる。

 貴人のいる部屋の扉を、ノックも無しに開けるなんて何事だろう?

 

 そこにいたのは20代前半くらいのエルフの女性で、余程急いで来たのか息を切らしている。

 少し乱れているが、深緑色の長い髪を1つに束ねており、瞳は青緑色をしている。


「なんだ、騒々しい」

「……アコ?」


 どうやら彼女がアコニートゥムのようだ。

 息が整ってくると、今度は瞳から涙が流れる。


「お、お嬢ざヴァァーー」

「……久しぶりね」

「お会いじどうございましたぁぁぁ」

 

 扉の所から、一瞬とも言えるスピードで母様の所まで移動し、母様を抱きしめる。

 あのスピードで移動したのに母様に衝撃が無い事から分かるが、この人かなり強いな。


 母様の身長が160㎝無いくらいなので、彼女は170㎝前後かな。

 2人の様子から、かなり親しい間柄なのが伝わってくる。 


「お嬢様、お風呂場へ行きましょう。あの男に傷つけられていないか確認します」

「あなたが思っているほど、酷い扱いはされていないから安心しなさい」

「ですが、ですが!!」

「アコニートゥムよ、落ち着きなさい」

「そうよ、ユーリオンも見ているのだし、印象悪くなるわよ」


 既に暴走気味な彼女を、お祖父様とお祖母様がたしなめる。

 すると、悪い意味で彼女の様子が変わる。


「……ユーリオン……あの男の……子……消そう……無かった事にすれば」


 消そう!?

 とんでもない事を言い出したし、目に光が無い。


「この子に何かしたら、いくらあなたでも許さないわよ」


 母様はそう言うと僕を背中から抱きしめ、彼女に見せるように持ち上げる。


「私にとって一番大切で、なにより大事な子よ」

「……お……幼い頃の……お嬢様にそっくり……」

「よ、よろしくお願いします」

「………と、尊い……」


 彼女はその言葉を最後に、鼻血を出しながら倒れた。


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