フォレスティア森聖国2
謁見の間の扉が開かれると、中には男性が2人、女性が1人いるだけだった。
1番奥で椅子に座っている男女2人と、その斜め前で王の視界を塞がない様に立つ男。
座っている男性が国王陛下、その隣にいる女性が王妃様だろう。
もう1人の男性は、宰相か護衛か判断できない。
男性2人はエメラルドグリーンの髪にルビーの瞳。
王妃様は母アメリアと同じく白銀の髪で、瞳はサファイアのように蒼い。
実際の年齢は不明だが、国王陛下は30代前半くらい、王妃様は20代後半くらいだ。
僕から見れば2人は祖父と祖母になるが、両親といっても通じる若さだ。
母アメリアが先頭、やや後ろに僕、少し離れてピエリスとアイリスが歩む。
エレナやニクス達は別室に案内されている。
王へと続く道を進むが、ピエリス達は半分も進まず途中で止まる。
僕はどのくらい進むべきだろう……今回は加減が難しい。
孫にあたる血縁者とはいえ、他国の人間であり、ましてや初対面だ。
あまり近すぎると不敬になる。
しかし遠すぎても、関係を良くする気が無いと判断されかねない。
悩むが、母様の5歩後ろくらいにしよう。
僕が足を止めると、まさかの国王陛下から声がかかる。
「近くへ」
「はい」
結局かなり近い位置にいる、母様の横に立つ事になった。
「久しいな、壮健そうで何よりだ」
「ええ、この子が私の子よ」
「お初にお目にかかります国王陛下並びに王妃様。母アメリアの第一子でユーリオンと申します」
「小さい頃のアメリアに良く似ているわ」
「ああ。もしも幼い頃のアメリアと並べられれば、双子に見えたかもしれんな」
2人は王というより、父と母、家族としての顔を見せている。
謁見だというのに、人払いをしていたのは、この為だったのかもしれない。
「あぁ、アメリア!」
20代前半くらいに見えるもう1人の男が、突然母様を正面から抱きしめる。
反射的に攻撃しそうになるが、母様が嫌がる素振りを見せないので抑える。
もし、母様が嫌がっていたら、やってしまったかもしれない。
「……お兄様も久しぶりね。私ももう子供じゃないんだから、少し恥ずかしいわ」
「すまない、アメリア。時々手紙は届いても、お前の無事な姿を見たらついな。
もしかしたら、手紙の安心させる内容は、無理矢理書かされているんじゃないか。
本当は辛い目にあっていたり、苦しくて泣いているんじゃないかと心配でな」
こちらの男性は母様の兄だったのか。
結婚した背景が背景だけに、やはり心配だったのだろう。
名残惜しそうに母様を離すと、こちらに視線を向ける。
「恥ずかしい所を見せてしまったね。私はアメリアの兄で、君の伯父にあたるボルサムだ」
「ユーリオンです。よろしくお願いいたします」
「後で紹介するが、うちの娘は6歳で歳も近いし、仲良くしてやってくれ」
「はい、喜んで」
母様から特に聞いていなかったが、僕には従姉がいるようだ。
「ユーリオンよ、私的な場ならば、私の事は気軽にお祖父ちゃんと呼んでくれ」
「あら、あなただけズルいわ。私の事もお祖母ちゃんって呼んでね」
「…………善処します」
実際の関係性はともかく、見た目の若い2人を、そう呼ぶのに抵抗を感じてしまう。
しかし、望まれているならば、できるだけ答えられるように努力しよう。
国王陛下の名前はメトシェラ、王妃の名前はローザ。
まだ見ぬ従姉の名前はリリーというらしい。
謁見の間ではあるが、堅苦しい雰囲気は無いままであった。




