2度目の炎のダンジョン3
順番に3人でお風呂に入った後、食事を済ませ、3時間交代で休む。
3人いるので、1人が見張りで起きている間、2人が眠れる。
僕は見張りをせず、寝てて良いと言われたが、何事も経験だと思う。
熱耐性のスキルが無いピエリスとエレナ、それにハクアが眠れるか心配だ。
テントを結界のスキルで覆い、内部に氷を配置する事で温度を下げる。
結界のスキルレベルが上がった際、内部の温度調節もできるようになれば良いな。
見張りの順番は、僕→ピエリス→エレナの順で行う。
これは、一番疲れているエレナを休ませる目的がある。
合計で6時間眠るとしても、3時間を2回よりは、6時間を1回の方が疲れが取れる。
みんなテントで眠っているが、ニクスは僕に付き合ってくれる。
「ニクスも休んでいいんだよ」
「あら、話し相手がいた方が眠気覚ましになるでしょ」
「ありがとう」
「お礼なら、お酒が良いわ」
「今は駄目。帰ってからね」
みんなを起こさないように、声のボリュームに気をつけながら、おしゃべりを楽しむ。
前回の時はニクスと2人きりだったので、1人ずつしか休めなかった。
身体を休めても、危機的状況だったので、心は休まらなかった。
だけど今回は違う。
完全な安全地帯という事は無いが、それでもキャンプ気分で楽しむ余裕がある。
『不便を楽しむのも、贅沢』なんて言葉もある。
童心に帰ったような気分だ。
まあ、見た目は完全に子供なんだが。
こんな時、コーヒーがあれば、よりキャンプっぽくて雰囲気に合うのだが、残念ながら無い。
売っているのも、飲んでる人も見た事が無いので、存在しないのだろうか。
僕は選ぶなら紅茶派だが、コーヒーも好きだ。
5年も飲んでいないと、恋しくもなる。
「コーヒー飲みたいなぁ」
「なにそれ?」
「簡単に説明すると、黒くて苦い飲み物かな?」
「……なんで、そんなものを飲むの?」
「うーん、飲んだ事が無い者に、言葉で魅力を伝えるのは難しいなぁ」
どう言えば、美味しそうに伝わるのか難しい。
ミルクや砂糖を入れれば、大多数の人に受け入れられるし、そちらを薦めるべきか。
でも、コーヒーを知らないのに、飲み方を伝えても意味ないか。
「それは元の世界の飲み物なんでしょ?」
「うん、そうだよ」
「なら、ヤマトになら、あるんじゃない?」
『ヤマト』とは、魔族が住む、魔大陸にある国の一つだ。
魔大陸は6つの国に別れており、6人の魔王が、それぞれのやり方で支配している。
魔族や魔王と言っても、別に世界の支配を狙ったりはしていない。
現在、魔族と争いがあるのも、カイザル帝国くらいのはずだ。
詳しい事までは分からないが、昔はヤマトという国は、魔大陸に存在しなかった。
何がどうしてそうなったのか、かつての勇者が魔王に婿入りし、ヤマトという国に変わった。
国の名前から分かる通り、日本の影響を大きく受けている国だ。
噂を聞き、故郷を懐かしむ異世界人が集まる事で、色々な物を再現出来ているらしい。
転生する時、創造神様が言っていた国とは、ヤマトの事だろう。
グランファーレル王国は、魔大陸と隣接していないので、関わりが薄い。
隣接しているのは、カイザル帝国とルナマリア神聖国だ。
ルナマリア神聖国に行った時に、輸入品があれば良いな。
「そうだね、いずれ行きたいね」
「もう少しレベルが上がれば、身体を大きくして連れてってあげるわ」
「うん、楽しみにしとくよ」
ニクスと話していると、いつの間にか3時間経過していたので、交代の時間だ。
ピエリスを起こすという中々貴重な体験をする。
これで寝ぼけたりしたら面白かったのだが、寝起きは良いみたいだ。
ピエリスと簡単な確認を済ませ、テントに入る。
ちゃんと眠れているか心配だったが、エレナが寝ている事に安心する。
そうして僕も眠るのであった。




