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【異世界転生】理想の執事を目指します  作者: 夜空のスピカ
第6章 2度目の炎のダンジョン
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2度目の炎のダンジョン1



 前回来た時のように、途中でモンスターに襲われる事無く、ダンジョンに着いた。

 定期的に人が通る道なので、前回襲われたのは運が悪かったのかな。

 

 ダンジョンへ入る為、ギルド職員に受付をしてもらっていると、ある事に気づく。

 その職員は、ダンジョンから出た時にポーションをくれた職員だった。


「あの時は、ありがとうございました」

「あぁ、あの時の。いえ、無事だったなら何よりです」

「ポーション代を払わせてください」

「いえ、あれは支給品なので、そんなに気にしないでください」


 代金の受け取りを遠慮されるが、助けてもらったお礼はしたい。

 しかし、人の善意に対し、無理矢理お金で返すのはどうかと思う。


「あの、お酒は好きですか?」

「ん、酒ですか?……ええ、仕事終わりに飲むのが楽しみですね」

「では、ポーションのお礼にこちらをどうぞ」


 代金は受け取って貰えなかったが、お酒の方には興味がありそうだ。

 受け取って良いものか悩んでいたが、酒の誘惑には勝てなかったようだ。


「……では、ありがたく頂戴いたします」

「ここで飲んじゃ駄目ですからね」

「ええ、分かってます。今日の楽しみにとっておきます」


 ユーリオンは自分で作れるので気にして無かったが、渡した酒は蒸留酒だ。

 職員が渡したポーションを金銭にしても、その20倍以上の値段になる。

 

 職員もまさか、自分が貰った酒が蒸留酒だとは思ってもいない。

 支給品を金に変える職員もいる中、善意に善意が帰ってきた結果だ。


 受付を済ませたので、ダンジョンへと入る。

 10層までは、エレナやハクアのレベルを上げる為、2人が主に戦う。

 ゲームのように、高レベルが低レベルを倒しても、ほとんど経験値にならないからだ。


 ニクスは周囲の警戒、ピエリスは戦闘の指導とサポート。

 僕は素材や鉱石の収集などを行う。

 

 ハクアがエレナをサポートする為、糸を使って蜘蛛の巣のような罠を作る。

 だが、ここは火属性のモンスターが多いダンジョンだ。

 せっかく作った罠も気づかれて燃やされたり、引っかかっても自身を燃やす事で逃げられる。

 

 同じ糸使いとして、アドバイスしようとするが、不要だった。

 ハクアは相手の移動先を予測し、通るタイミングで、足を引っ掻けるように糸を用意する。

 そうして転んだ相手に毒牙や麻痺牙を使用する戦術に切り替えた。


 特に危ない場面も無く、順調に9階層まで進んでいた時の事だった。


「う、ウワアァァァーーーー!!」


 男性の悲鳴が聞こえてきたので、僕達は声のした方に向かう。

 そこには「レッドアント」数十匹に囲まれた冒険者3人がいた。


 「レッドアント」は、そこまで強いモンスターではない。

 だが、こんな数に囲まれては、実力差がなければ辛いだろう。


 助けに入ろうと思ったが、冒険者にはルールがある事を思い出す。

 それは、同業者を助ける場合、最初に取り分や報酬を決める事だ。


 困っていたからと、助けを呼ばれたからと、助けに入る冒険者はいる。

 だが、助けた方と助けられた方で、倒したモンスターの扱いや報酬で揉める事が多かった。


 助けは求めたが、先に戦っていたのは我々だし、モンスターを倒してほしくはなかったとか。

 助けた方としても、命を救っているのだから、報酬は弾むべきだと。


 悪質なものだと、助けを呼んで倒してもらい、最初に戦っていたからと所有権を主張する者もいる。 

 こういったトラブルがあまりにも多い為、ギルドから最初に決めるルールが設けられたのだ。


 こちらに気づいていないようなので、僕が声をかけようとするが、ピエリスが待ったをかける。


「こういう場合、子供だからと足元を見られる可能性があるので、俺に任せてください」


 見ず知らずの他人ではあるが、見捨てるのも気分が悪いので、可能なら助けたい。

 だが、こちらも戦闘をする以上、取り返しのつかないケガや、命を失う可能性だってある。

 護りたい者や、自分を想ってくれる人の事を想えば、自分達の命を軽くは考えられない。


 きっと物語の主人公やヒーローなら、後先考えず、人命最優先で助けに行くのだろう。

 彼らは自分が怪我する事で、悲しむ人がいる事は気にならないのだろうか?

 自分の行動で周囲を巻き込み、ケガさせる事が怖くはないのだろうか?


 こんな状況になっても、自分には、主人公やヒーローの気持ちが理解できない。

 命の価値が平等だとは思えないし、思いたくはない。

 うーん、やっぱり、自分は冷たい人間なんだろうな。


 悩んでいる間にピエリスが交渉を終わらせてくれた。

 お礼はするし、後からモンスターの所有権は主張しないとの事だ。


「ピエリスとニクスは周囲の警戒、エレナとハクアはここで待機」


 僕は念の為、ピエリス達を結界で囲むと、「レッドアント」の群れに突っ込む。  

 全長1m程で数も多いが、レベルは10以下だし、最も警戒すべきは酸かな。


【種:レッドアント】【レベル:5~9】

【魔法適正】『光/0』『闇/0』『火/10』『水/0』『土/10』『風/10』『無/20』

【スキル】『火術Lv.3』『土術Lv.3』『酸液Lv.2』『熱牙Lv.2』


 ソウルイーターを振るうと、大した抵抗も感じぬまま切り裂いていく。

 別にわざわざ接近戦をせず、中距離で魔法を使い戦っても良かった。

 

 だけど、ソウルイーターには意思がある。

 普段は大人しくしていてくれるので、こんな時くらいは暴れさせてあげたかったのだ。

 ソウルイーターからは、歓喜の感情が伝わってくる。


 最初は向かってきた「レッドアント」だったが、勝てないと思ったのか、次第に散り始めた。 

 魔石は欲しいが、殲滅しなくても良いので、逃げるなら追わない。


 戦闘が終わり、ダンジョンに吸収される前に死体をストレージに入れていく。

 この数では解体している間に吸収されるか、臭いに釣られてモンスターがやってくる。


「いやー、助かったぜ」

「本当にもう駄目だと思ったよ」

「ありがとう、ありがとう、ありがとう」


 彼らは、10代後半くらいの男2人に女1人の3人パーティーで、最近冒険者になったらしい。

 数匹程度ならと、巣穴を突っついてみたら、予想以上の数で、あんな事になったそうだ。


 助けた報酬として魔石を貰った。

 お金は不足していないので、報酬を魔石とした方がお互いに助かる。

 

 終わった後に渋られたりと、面倒も無く彼らと別れる。

 彼らは帰還したが、僕達は10階層のフロアボスの扉の前まで来た。


 前に来た時と同じく、扉の前で休憩を取る。

 温度調整のできるストレージのおかげで、いつでも冷たい飲み物が出せる。

 

「はぁ~生き返りますぅ」


 厳しい戦闘は無かったが、初めてのダンジョンで、エレナも疲労していたのだろう。

 休憩を取った事で、少しふにゃっとしている。


 飲み物だけでなく、軽食とデザートに冷やした果実を食べる。  

 休憩を終えると、扉を開きボス戦を始める。


 「ヒートゴーレム」相手では、ハクアの糸は燃えるし、状態異常の牙も効かない。

 同じく、エレナの光、火の魔法も効かないので、2人には離れていてもらう。


 ピエリスと2人で水魔法を使用し、まずは「ヒートゴーレム」から熱を奪う。

 あいつらの戦法を真似るようで癪な部分はあるが、昔からある適切な倒し方なので仕方ない。


 急激に冷やされた事で脆くなっており、物理攻撃も有効になる。

 エレナも戦闘に加わり、3人で「ヒートゴーレム」をバラバラにして倒す。


 宝箱の中身に特に良い物は入ってなかったので、換金かな。

 「ヒートゴーレム」の魔石は中々のサイズなので、残しておきたい。


 ちなみに魔石は大きければ価値が高いという事も無い。

 魔石に含まれる魔力次第で価値が変わるので、大事なのは中身だ。

 

 嫌な思い出のある10階層の転移装置だが、今回は大丈夫だ。

 


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