お供え
目が覚めると、視界に映るのは見慣れた自室だった。
頭がうまく働かず、なんだか身体もダルイ。
これが、お酒のせいなのか、創造神様と話したからなのか、判断に迷う。
自室にいるという事は、誰かが運んでくれたのだろう。
ベッドの上から周囲を見渡すと、ニクスもハクアもまだ寝ている。
起こさないように気を遣いつつ、着替えを済ませ、そっと部屋から出ていく。
顔を洗いリビングへ行くと、ピエリスとアイリスがいた。
「おはようございます、ユーリオン様」
「おはよう、2人とも体調は大丈夫?」
「はい、特に問題はありません」
「私はちょっと、のどが痛いですが」
ピエリスは泣いてスッキリしたのか、爽やかな表情だ。
アイリスは笑っていたので、のどを痛めたようだ。
「朝食にしますか?」
「うん、お願い」
「ユーリオン様、今日の予定は?」
「今日は部屋でやる事があるから、自室で過ごすよ」
「分かりました」
2人が朝食の準備に行くと、エレナがやって来る。
「ユーリオン様、起きてらしたんですね」
「もしかして、起こしに来てくれた?」
「はい」
タイミング悪く、エレナとは入れ違いになったようだ。
エレナがプレゼントしたバレッタを使ってくれている事に気づく。
「早速使ってくれたんだね」
「はい、汚さず無くさないように、大切にしまっておこうとも思ったんですが」
「使ってくれる方が嬉しいな」
「はい、大事に使わせて頂きます!」
朝食を済ませ、自室に戻ると、ニクスとハクアも起きていた。
「ニクス、大丈夫?」
「……大丈夫よ、大丈夫だけど、今日は寝て過ごすわ」
あまり、大丈夫そうではない。
今日は、部屋にいるので見守ろう。
「主 お腹空いた」
「用意するから、ちょっと待っててね。ニクスは食べれそう?」
「……私はいいわ」
ハクアの食事を用意すると、夢中で食べ始める。
次は、創造神様の為に祭壇を用意しなければ。
イメージ的には、和式より洋式かな。
創造神様の姿が分かれば、像も用意して、それっぽくできるのだが、光の玉だからなぁ。
とりあえず簡易的な物を作って、駄目だったら、作り直そうか。
小さいのでも良ければ、ストレージにしまっておけるし。
いや、祭壇をストレージにしまうのは罰当たりだろうか?
……そういう事を気にするタイプには見えなかったし、大丈夫かな。
若干これで良いのかとは思うが、祭壇はできた。
聖職者の方に怒られそうな気はするが、誰に見せるわけでも無いので、大丈夫だろう。
しかし、創造神様にトランプだけ贈るのも、どうなのだろうか。
本人が欲しがっているとはいえ、祭壇の絵面が寂しい。
一応、お酒とお菓子もお供えしておこうかな。
不要なら、受け取らなければいいだろう。
厨房へ行き、リンゴやレモンを使ったキャラメリゼと紅茶のクッキーを作る。
キャラメリゼは甘いので、クッキーは逆に甘さを控えめにした。
創造神様の味の好みは分からないが、受け取ってくれるだろうか。
多めに作ったので、残りは匂いに釣られて来たアイリスに渡す。
休憩の時にでも、みんなで食べてくれれば良い。
自室に戻ると、祭壇にトランプ、お酒、お菓子を供える。
……事情を知らない人が見たら、ヤバい奴と思われそうだ。
正式な祈り方とか、聞いてなかったので、少し不安だ。
祭壇の前で膝を着き、目を閉じて手を合わせ、創造神様の事を考えながら祈る。
そのまま2分ほど祈っていると、転生した時の事を思い出す。
こちらからは連絡できないと言っていたが、これで良いのだろうか。
目を開けると、祭壇の上にあったものが無くなっていた。
なるほど、こちらから連絡できないと言ったのは、会話ができないという事か。
トランプだけでなく、お酒やお菓子も無くなっているので、受け取ってもらえたようだ。
さて、神経を使うし、かなり疲れるのだが、またトランプを作らなければ。
作り始めると、2回目だからか1回目よりは早く、楽にできた。
それでも、1日に2個目を作る気にはなれないが。
ベッドに横になると、眠くなってきた。
……少しだけ、眠ろう。




