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【異世界転生】理想の執事を目指します  作者: 夜空のスピカ
第5章 旅への準備
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エレナの初めての実戦


 side:ユーリオン


 一週間後には、旧ブロブレム領、ルナマリア、フォレスティアへ向けて出発する。

 旅の為に必要な物で、日持ちしない食品以外は、だいたい購入してある。

 野菜や果物は早めに用意しても、日持ちしないので、前日に買う予定だ。


 今日は午後から王城に行く事になっているが、午前中は空いている。

 なので、ハクアのレベル上げをしに行こうと思う。


 ハクアの現在のステータスは、こうなっている。


【幻獣種:アラクネ(幼体)】【名:ハクア】【レベル:1】

【魔法適正】『光/0』『闇/1』『火/0』『水/0』『土/1』『風/0』『無/3』

【スキル】『粘糸Lv.1』


 ス〇ランカーより弱い。

 本当に幻獣種なのか疑うレベルだが、産まれたてだから仕方ない。


 屋敷に置いていく事はできないので、ハクアも旅には連れて行く。

 でも、これでは、少しはレベルを上げておかないと、何かあれば道中で死んでしまう。


 アラクネの幼体は『100』産まれたとして、『10』生き残れば良い方らしい。

 その中から成長する個体が『1』いれば、奇跡レベルだそうだ。


 確かにこの弱さでは、外的要因無く、自然界で生き残るのは難しい。


 魔石を食べさせて、安全にレベルを上げたい所だが、今は1つしかない。

 手元に残っている魔石は「ジャック・オー・ランタン」のものだけだ。


 他の魔石は、ハクアが来る前に、ニクスが食べているので残っていない。 

 この魔石を何かに使う気になれず、ストレージの中で保存している。


 魔石目当てにダンジョンへ行きたい所だが、午前中だけでは時間的に厳しい。

 なので今回は、街の外でモンスターを捜す。

 もし何も見つけられなければ、ギルドで魔石を買うつもりだ。


 街の外に出るので、アイリスが護衛をしてくれる。

 今回の護衛が、ピエリスでなくアイリスなのは、エレナが一緒だからだ。


 エレナはアイリスの弟子とも言える。

 戦闘を習ってはいるが、まだ実戦経験は無い。

 

 だから、元々今日は、アイリスとエレナが街の外に出る予定だった。

 それなら丁度いいと、2人に僕が付いて行く事を許可してもらった。


 前回出かけた時、エレナの髪は、頭の上で1つの団子にした。

 今回は左右で分けて、2つの団子にしてみた。


 普段はメイド服のエレナも、今回は動きやすい恰好になっている。

 全員の準備が整ったので、馬車で街の外まで移動する。


 外に出ると、ニクスに空から索敵してもらう。

 定期的に処理しているので、王都の近くにモンスターは溢れていないからだ。

 

(左に進むと熊っぽいのが2匹、右に行くとカマキリっぽいのが数匹いるわ) 

(ありがとう。アイリスに確認するよ)


「アイリス、ニクスが左に熊系2匹、右にカマキリ系数匹見つけた」

「ニクスとユーリオン様がいると、偵察が楽ですね。エレナどうする?」

「……熊は力が強く怖いので、数は多くてもカマキリにします」

「なら右に進みますね」


 今回、メインで戦うのはエレナだ。

 僕は魔石が入手できれば良いので、エレナが決める。

 

 カマキリには悪いけど、熊の方じゃなくて良かったと思ってしまう。

 モンスターだったとしても、襲ってきたわけでもない、モフモフな熊と戦いたくない。

 

 右に少し進んだところで馬車を止める。

 カマキリのモンスターを視認できたからだ。

 視認できたのは5匹だが、スキルで確認すると、2匹隠れている。


「エレナ、戦える?」 

「はい! 正直怖いけど、逃げません!」

「なら頑張って結果を出しなさい!」

「はい!」


 2人の師弟愛を邪魔してはいけない。

 隠れている2匹の事は伝えず、僕が警戒しておこう。


「エレナ、初めての戦闘で焦るでしょうが、まずは1匹倒す事に集中しなさい」

「はい!」

「アイリス、2匹抑えて、僕が残りを抑えておくから」

「分かりました。怪我だけはしないようにお願いします」


 2人は槍を構えると、近寄ってくるカマキリに備える。

 僕は前方のカマキリを鑑定する。


【種:ブレードマンティス】【レベル:3~7】

【魔法適正】『光/0』『闇/0』『火/0』『水/0』『土/』『風/10』『無/15』

【スキル】『風術Lv.2』


 奥で隠れてるのがレベル『8』と『10』なので、群れのボスだろうか。

 レベルやスキル的にそこまで苦戦する事も無さそうだが、エレナは初戦闘だ。

 怪我しないように気をつけなければ。


「風の刃を飛ばしてきそうだから、警戒しておいて」

「はい!」


 僕を狙って襲ってきた2匹を魔糸で縛る。

 ブレードマンティスは魔糸を切り裂こうとするが、1本たりとも斬れない。

 斬れないと分かると、地面を転がって魔糸を外そうとする。

 そんな方法で簡単に外れる事は無いので、この2匹は放置でいい。 


 アイリスの方を確認すると、既に1匹殺していた。

 もう1匹を殺していないのは、エレナと次に戦わせる為だろう。


 エレナは今のところ怪我1つしていないが、緊張からか、動きが硬い。

 槍のリーチがあるので、鎌に何とか対応しているが、見ていると危なっかしい。


 まだ戦闘は始まったばかりなのに、呼吸も荒くなっている。

 手助けしたくなるが、それをエレナが望んでいない事くらい分かっている。


 エレナと戦っているブレードマンティスは余裕からか、周囲を確認できたようだ。

 仲間の1匹が殺され、2匹が縛られて転がっていて、もう1匹は苦戦中だ。


 僕達の中でエレナが1番弱いと分かったのか、攻撃が激しくなる。

 先程までは右の鎌で攻撃し、左の鎌で槍を防いでいたのに、両方を攻撃に回した。

 エレナが防戦一方になり、後ずさる。


 エレナが仕切り直そうとしたのか、距離を離すが悪手だった。

 ブレードマンティスがカマイタチのような風の刃を飛ばし、追い詰める。

 エレナは益々防戦一方となり、逃げまわる事しかできない。


「アイリス、エレナが!」

「駄目です! こんなのを1対1で倒せないようでは、先はありません!」


 アイリスに手助けする事を止められる。

 幼い女の子が武器を持ち、自分を殺そうとするモンスター相手に立ち向かったのだ。

 もう十分頑張ったのではないかと、僕は諦めかけた。

 でも、アイリスも、そしてエレナ自身も諦めてなんていなかった。


 エレナは風の刃を搔い潜ると、槍をブレードマンティスの首に突き刺す。

 人相手なら致命傷になるだろうが、モンスター相手では少し足りない。


 ブレードマンティスは、両手の鎌をエレナに振り下ろそうとする。

 だが、それより先に、エレナが槍でブレードマンティスの首を斬り落とし、離れる。


 首を失ったブレードマンティスが両手の鎌を振り下ろすが、そこにはもう誰もいない。

 少しの間、滅茶苦茶に鎌を振り回し暴れまわったが、力尽きて倒れた。


 エレナがぺたんと、地面に座り込む。

 どこか怪我をしたのかと、僕は駆け寄る。


「エレナ、大丈夫!?」

「……わ、私頑張りました……一人で倒しました……」

「うん、見てたよ。エレナが頑張って1人で倒したところ」

「……怖かったです……見た目も……殺気を直接ぶつけられる事も……」

「うん、それでも逃げずに立ち向かったんだね」


 エレナは勝利の余韻に浸る事も無く、震えていた。

 落ち着かせる為、抱きしめて頭を撫でると、震えが治まる。


「さあ、エレナ次行ってみよう!」


 アイリスが、自分が抑えていたブレードマンティスと戦わせようとする。

 休む暇を与えないとは、かなりのスパルタ教育だ。


「~~もう、良い所なのに、なんで邪魔するんですか!?」

「戦闘の後で近づくと、ユーリオン様に汗の匂いを嗅がれるわよ?」

「~~もう、なんでいつも、意地悪な事を言うんですか!?」

「ユーリオン様がアメで、私がムチだからよ! それとも、今日はもう終わる?」

「やります! 私は強くなるって決めてるんです!!」


 エレナは1度実戦を経験した事で余裕ができたのか、それともレベルが上がったのか。

 次の戦闘では余裕すら感じ、危なげなくブレードマンティスを倒した。


 隠れていた2匹は勝てないと判断したのか、逃げて行った。

 追わなくても良いかなと思っていたが、飛んでいるニクスから念話が来る。

 倒して良いのか聞かれたので、許可すると、2匹も倒されたようだ。


 ブレードマンティス5匹分の魔石をハクアに与える。

 これで少しはレベルが上がるだろう。

 

 エレナには、初めて倒した記念に残さなくて良いのか確認したが、不要と言われた。


 頑張ったエレナには、何かご褒美をあげたいが、何が良いだろうか。

 少し早めに街へ戻って、髪飾りか、アクセサリーでも探してみようかな。


「僕は王城に行くから、先に戻るね」 

「本当に1人で大丈夫ですか? やっぱり私が護衛にいた方が」

「2人の邪魔はしたくないし、何かあればニクスを飛ばすから心配しないで」

「……分かりました」


 馬車で城門の近くまで送ってもらうと2人と別れる。

 僕はニクスを肩に乗せて中に入り、2人はまた狩りに向かう。

 ハクアは王城に連れて行くのもどうかと思ったので、2人に預けてきた。


 ニクスと何かないかと、露店をぶらついてから王城に向かった。










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