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【異世界転生】理想の執事を目指します  作者: 夜空のスピカ
第5章 旅への準備
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サイドストーリー/ニクス


 side:ニクス


 今日もレベルを上げる為、外で獲物を捜している。

 炎のダンジョンから帰還してからは、狩りをするのが日課だ。


 ユーリオンに余計な心配をかけたくないので、散歩と言って出ている。

 あの子は何故か、物や敵と判断した者以外には、鑑定を使わないので、バレていない。


 ダンジョンでは、私はあまり役に立てなかった。

 レベルが低かった事、火が効かず相性が悪かった事、色々と言い訳はできる。

 でも、そんな言い訳は、ユーリオンに何かあってからでは、何の意味も無い。


 私は死んでも、どこかで卵として復活するので、死を恐れない。

 全ての記憶を思い出せていないけど、多分今までも、そうだったと思う。


 けれど、ユーリオンは違う。

 死んだら二度と会う事はできないし、寿命があるので、永遠に一緒にいる事もできない。


 ダンジョンで前の記憶を思い出すまでは、夢を見ているような状態だった。

 誰かと戦って負けて、魂が傷つき、通常よりも永い眠りについた。

 ユーリオンが暖かい魔力を注いでくれなかったら、もっと長い時間卵のままだったと思う。

 

 産まれたての雛の時には、ほとんど本能しかない。

 そんな私が誰かと、それも人種と一緒にいる事を選んだなんて、自分でも驚きだ。


 人種はとても欲深い。

 だけど、ユーリオンからは、こちらを利用しようとする気配を感じた事が無い。

 

 レベルが20に上がって、『加護』のスキルが解放された時、正直伝えるか迷った。

 もしも、ユーリオンの私を見る目が変わったらと思うと、少し怖かったのだ。


 でも、そんな心配は杞憂に終わり、無用な事だった。

 彼は最初に、私に負担がかからないかを心配してきたのだ。

 どうか優しい彼のまま、成長してほしいと願う。

 

 だけど、彼は優しいままではいられなかった。

 1階層に転移してボロボロのピエリスを見た時、初めてユーリオンが本気で怒った。

 

 自分の為では無く、他人の為に怒れる者は危険だ。

 特に力のある者は。


 人は意外にも、自分の事には我慢できる者が多い。

 その反面、自分と親しい者が傷つけられると、我慢する理由が分からず、力を振るう。


 ユーリオンの怒った顔も、悲しい顔も見たくない。

 ずっとは無理でも、彼には笑顔でいてほしい。


 その為にも、レベルを上げておく必要があるのだ。


 しかし、今日は良い感じの獲物が見つからない。

 フェニックスと周囲にバレると、とても面倒くさい事になる。 

 なので、人目に付かない場所で狩りをしている。


 丁度いい獲物を見つけたと思えば、群れのようで数が少し多い。

 狩れない事は無いが、時間をかけると人に見られる可能性が高くなる。

 

 少し悩んだが、今日は止めて帰る事にする。

 予定より早く帰る事にしたので、のんびりと飛ぶ。

 

 ユーリオンはまだ、買い物をしている頃だろうか。

 今度長旅をするので、その準備に行っている。


 家名とか、人種は不思議な文化を持つと思っていたが、今は違う。

 彼の名前がユーリオン・フェニックスとなったからだ。


 とても良い。

 私と彼の絆が形になったようで、とても気に入っている。


 旅の目的地の1つが、彼のものになる領地だ。

 フェニックス領になるので、私と彼の名が土地に刻まれる事になる。

 どんな所なのか楽しみだ。


 狩りはあまりできなかったが、気分の良いまま屋敷へと帰る。

 どうやら、ユーリオンはもう帰ってきているようだ。


 テーブルの上に、何故かアラクネの幼体がいる。

 どこからか、入り込んだのかしら? 


 話を聞くと、ユーリオンが街から連れてきたらしい。

 とても悲しい気持ちになった。

 少しユーリオンの側を離れていただけなのに、別の幻獣種を私達の部屋に連れてくるなんて。


 蜘蛛のくせに、とんでもない泥棒猫だ。

 悲しみが溢れると、我慢できずユーリオンを責めてしまう。


 困らせたくは無いのに、感情が抑えられない。

 きっと、これが嫉妬という感情なんだろう。

 理解はできても、初めて感じる感情を持て余してしまう。


 ユーリオンに抱きしめられると、ようやく落ち着いてくる。

 少しは冷静になれたので、話を聞くと驚かされる。


 このアラクネの幼体は知能が高いようだ。

 通常の幼体ならば、そこまで賢くは無い筈なので、成長すれば役立つかもしれない。


 ただ、ユーリオンはアラクネがどんな存在か、分かっているのだろうか?

 今は小さな蜘蛛だが、ただ大きくなるわけではない。

 成長すれば、魔物や魔族に近い姿になるし、人を、特に男を襲う。

 知能が高いなら、小さい頃から育てる事で本能を抑えられるかもしれないが、少し心配ではある。


 一緒に暮らすならばと、名前を確認する。

 案の定、変な名前を付けようとしていた。

 私が言い当てると、必死な表情で別の名前を考えている。


 どうやら、名前はハクアに決まった。

 ハクアは、変な名前にならなかった事を、私に感謝するべきね。


 ハクアが自分を食べないか聞いてくるが、約束はできない。

 ユーリオンにとって危険な存在になれば、止められても私が排除する。

 

 そうなって欲しくは無いので、私が厳しく教育する。

 特殊個体で知能も高いならば、本能なんかに負けないだろう。


 それにしても、ユーリオンはつくづく幻獣種に縁があるなと思う。

 今後も増えるかもしれないと想像すると、一緒の時間が減るようで淋しさを感じる。


 でも、私が1番最初にユーリオンと出会ったのだ。

 ユーリオンにとっての1番は誰が来ようと、譲るつもりは無い。


 



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