家名の正式決定
今日は家名の件で王城へ来ていた。
いつもと同じく、国王の私室へと、セバスチャンに案内される。
父とはいえ、国王陛下との謁見である。
丁寧な挨拶から入ろうとするが、本人に止められる。
「堅苦しい挨拶は不要だ。この場には私達しか、いないのだからな」
「分かりました。今日は家名が決まりましたので、その報告に」
「もう少しかかるかと思っていたが、早かったな。それでどんなものに?」
「フェニックスを名乗ろうと思います」
「………」
流石に、すんなり分かったとは、いかないか。
「お前の事だ。幻獣種の名を使う事は危険だと分かっているのだろう?」
「はい、図書室で本を借り、調べました」
「……では、なぜ?」
「ブロブレム領は領主が変わる事で名も変わり、新たに生まれ変わる事になります。
ならば、フェニックスの名ほど、再生する土地に相応しい物はないかと」
父は目を閉じて考え込んでいる。
納得できる部分はあるが、歴史から学ぶ危険性は、無視できないといった所だろう。
「……セバスチャン」
「納得できる良い名前だとは思いますが、やはり、危険性は無視できないかと」
名前を呼んだだけで、言いたい事が伝わっている。
羨ましい主従関係だ。
僕も将来はそうなりたい。
「フェニックスの怒りを買い、領地が襲われたらどうするのだ?」
「これまでの歴史を調べましたが、幻獣種の名を使う事が怒りを買うのではなく、
その名を汚す行為をした事で、逆鱗に触れていたようです。
なので、フェニックスの名に恥じない土地にすれば、問題ありません」
これは適当に言ったのでは無く、調べたり、ニクスに聞いて分かった事だ。
流石にフェニックス本人に許可を貰っているとは言えないので、説得できる材料は集めた。
「……しかしなぁ……」
「それに僕は、理由は不明ですが、月神様に選ばれました。
そんな僕が治める土地なら、フェニックスもいきなり襲うような真似はしないかと」
あまり、神の名を印籠のように使いたくは無いが、これくらいは許してほしい
「……そうだな。神の使いとも言われる幻獣種だ。神に認められたユーリオンなら大丈夫だろう」
「では、良いのですか?」
「あぁ、グランファーレル王国現国王として、正式に認めよう」
「ありがとうございます。今後はユーリオン・フェニックスと名乗ります」
「3ヶ月もすれば、ブロブレム領からフェニックス領に変更される。
領民の不安を取り除く意味でも、お前には1度視察に向かってもらいたい」
確かに顔も見せない領主のせいで、土地の名が変わるのは不安に思うだろう。
領主になるとはいえ、子供が顔を見せても、不安が不満に変わる可能性もある。
しかし、『百聞は一見に如かず』とも言う。
自分の目で確認し、治せる所は早めに対処した方が良い。
前領主のせいで荒れている状態を、ギリギリの所で保っているらしい。
人口も減り、今では商人どころか、冒険者もほとんど寄り付かない状態だ。
ボロボロの土地という事は、逆に言えばチャンスとも言える。
復興している今だからこそ、何かできれば、領民からの信頼を得る事ができる。
復興後に、新しい領主ですと出て行っても、今更何だと不満に思うはずだ。
将来的に快く迎えてもらう為にも、何か役に立たなければ。
「わかりました。一度様子を見に行ってきます」
「あぁ、そうしてくれ」
「一緒にルナマリアやフォレスティアを見てきても良いですか?」
旧ブロブレム領を見に行くならば、せっかくだから、他国に行けないだろうか。
母様の母国であるフォレスティアや、マリア様のいるルナマリアを見てみたい。
立場があるので、簡単に旅に出る事はできない。
だけど、今回の視察は良いチャンスとも言える。
「ふむ、長旅になるのは危険かもしれない。だが、これは良い機会だとも言える」
「では、許可が貰えるのですか?」
「あぁ、もちろんアメリアの許可も必要だがな」
「母様に確認してみます」
「おそらく許可が出るだろうから、私の方でも準備はしておこう」
「ありがとうございます」
屋敷へ戻ると、母様に早速確認する。
許可はすんなりと貰えたが、母様も一緒に行く事になった。
確かにフォレスティアへ行くなら、母様が一緒の方が良いだろう。
フォレスティアになら、エレナも連れて行けるかもしれない。
というか、屋敷に1人残す方が心配である。
もちろん視察という目的は忘れていないし、今後にも関わる重要な任務だ。
だけど、今回はダンジョンの時とは違い、旅行に近い感じなので、凄く楽しみだ。
評価とブクマをお願いします。




