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【異世界転生】理想の執事を目指します  作者: 夜空のスピカ
第4章 聖女様との出会い
29/216

ユーリオンとの交流


 side:マリア


 今日は協会にとっても、私にとっても大事な日。

 グランファーレル王国の国王様やユーリオン殿下にお会いし、婚約の話が決まる。

 初めてお会いした時は慌ただしく、残念な事にあまりお話できなかった。

 なので、今回はゆっくりとお話ししてみたいです。


 王城へと着くと、準備が整うまで待つように言われました。

 私の世話係をしてくれる2人は王城へと入れた事で喜んでいます。

 ですが、私にはその感覚が良く分かりません。

 目が見えれば、立派だという王城の外観を楽しめ、中に入れば喜びを感じられるのでしょうか。

 私にとっては、どんな場所へ行こうと真っ暗なので、やはり目が見えるのは羨ましいです。


 準備が整ったとの事で、別室へ案内されます。

 最初は歓迎の証に食事を振る舞って頂けるそうです。

 簡単な挨拶を行い、食事の前に神への祈りを捧げると静かな時間が訪れます。

 色々な料理が順番に運ばれて来るようで、見た目も美しいそうです。

 

 どんな料理か耳元で説明してもらう事で、1人でも食事はできます。

 ですが、静かに食事を行う中、私の食器を鳴らす音だけが響いてしまいます。

 なんだかとても恥ずかしくなってしまいました。


 音を鳴らさぬよう、パンをスープに浸して食べると、良くない雰囲気になってしまいました。

 こういう場では、マナー違反だったのかもしれません。

 私が謝罪を口にしようか考えていると、ユーリオン殿下がフォローしてくれます。

 ユーリオン殿下も私と同じように食べてくれたようで、空気が柔らかくなるのを感じました。


 食事の後には、ユーリオン殿下がお菓子を用意してくれたようです。

 以前のお礼との事でしたが、とても誠実で律儀な方なんですね。

 そのお菓子をユーリオン殿下が自ら用意した事には驚きます。

 

 果物に薄く飴をまとったお菓子だそうで、私は初めて食べます。

 色んな種類を用意してくれたようで、私の好きなイチゴもあり嬉しい。

 イチゴのちょっと甘酸っぱい味も好きなのですが、小さくて皮を剥く必要が無く、

 種を取ったりする必要も無いので、誰かの手を煩わせずに食べれる所が好きです。


 飴の部分は甘くパリッとしていて、柔らかいイチゴの食感と酸っぱさが合わさると、

 丁度いい味わいでとても美味しく、口の中が幸せになるのを感じました。

 この幸せを共有したくて他の方にも食べて頂くと、やっぱり喜んでもらえました。


 先ほどまではお腹いっぱいだと思っていたのに、お菓子は不思議と食べられました。

 そして本日の目的であるお話をする為、ユーリオン殿下と別室に移動します。


 ユーリオン殿下との仲を深める為、肩書ではなく名前で呼んでもらえるようにお願いしてみます。

 以前呼んだ『旦那様』は困らせてしまったようですし、周囲にまだ早いのではと言われました。


 名前を呼んでもらえると、なぜだか気恥しくて顔と胸が暖かくなってきます。

 私は『マリア』という名を気に入っていますし、男性から名前を呼ばれる事もあります。

 なのにどうしてユーリオン様に呼ばれると、嬉しいような恥ずかしいような気持ちになるのでしょう?


 ユーリオン様の事を知りたくて質問すると、執事になりたいのだと言われました。

 執事について私は詳しい事は分かりませんが、私の世話係をしてくれる2人のように

 誰かのお世話をする仕事だったと思います。

 それは王族であり、お世話される側であるユーリオン様のする事なのか疑問に思います。

 それほどまでに誰かお世話したい相手がいるという事でしょうか?


 ユーリオン様から心に想う人はいないと聞くと、不安だった心が和らぎました。

 それならユーリオン様に想ってもらえるようになる為にと、女性の好みを聞く事にします。

 女性からこんな質問をするのは、恥ずかしく、はしたない事かもしれません。

 それでも、できない事が人より多い私に、なりふり構っている余裕はありません。


 性格の方はどういう事か、少し難しかったのですが、髪は長い方が好きと言われて嬉しかった。

 私が料理や掃除などの家事ができない事を伝えても、問題じゃないと言います。

 それどころか、見えない事を負い目に感じなくて良いとまで、言ってもらえました。


 婚約の話が上がってから一番不安だった、ユーリオン様の気持ちについて聞いてしまいました。

 私の事を知って褒めてもらえて、そして嫌じゃないと言ってくれたのです。

 気づけば涙が溢れて止まらず、自分の感情が抑えられませんでした。

 横にいる2人もどうやら一緒に泣いているようです。


 私はユーリオン様の貸してくれたハンカチで涙を拭う為にリボンを外します。

 普段は隠すように言われていたのですが、ユーリオン様なら良いかと思えました。

 

 ユーリオン様のメイドをしている方も私と同じで瞳が左右で違うそうです。

 瞳を奇麗だと褒めてもらえると、とても顔が熱くなってしまいます。

 なぜか横の2人がまた泣きだしてしまいました。

 

 2人が落ち着いてきた所で扉をノックする音が聞こえてきます。

 お茶を持ってきて頂けたようです。泣いたせいか喉が渇いてしまいました。


 ユーリオン様が先ほど頂いた飴とは別の飴を用意してくれたようです。

 お礼なら十分に頂いたのですが、ありがたく頂く事にします。

 私からも何かお礼ができれば良いのですが、残念ながら今は思いつきません。


 その少し冷たい容器にたくさん飴が入っているそうで、少し重たさを感じました。

 蓋は少し硬かったのですが、これなら私1人でも開けられそうです。

 中には同じような飴が入っているけど、中身は色々違っていて、

 食べてみなければ分からないようになっているそうです。


 『見えないから、分からないからこそ楽しめる』そんな風に考えた事なんてなかった。

 ユーリオン様は誠実で優しく、なにより不思議な人だと思います。

 だって、見えない事は変わってないなのに、私の心に光を灯してくれるのですから。

 

 きっかけは月神様の神託でした。

 だけど、今はそれだけじゃないと分かります。

 私はきっと、ユーリオン様を好きになったんだと思います。

 初めての感情で、何をどうしたら良いのか、全然分かりません。 

 

 でも、ユーリオン様の側にいたい。

 もっと話をしたい。

 私も何かしてあげたい。

 それで喜んでほしい。 

 もしも、私と同じ気持ちになってくれたなら、それ以上の幸せは無いんじゃないかと思えます。


 今日、婚約が決まっても、結婚するのは10年以上先の話になるでしょう。

 結婚すると何が変わるのか良く分かりませんが、大人になっても側にいられる事は知っています。

 ずっと好きな人と一緒にいられるなら、早く大人になって結婚してみたいと思います。


 

















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