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【異世界転生】理想の執事を目指します  作者: 夜空のスピカ
第2章 ダンジョンへ行くまで
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フェニックスの名前


 side:ユーリオン


 エレナが使用人見習いとして屋敷で働く事になった。

 アイリスが教育係を担当するそうなので、安心して任せられる。


 やはりエルフ以外の使用人はエレナを見かけると、あまり良い顔はしない。

 僕と母が認めているので、屋敷にいる間は安全だとは思うが、できるだけ気に掛ける事にする。


 エレナの件で少しごたついたが、街へ行ったのはフェニックスの為である。

 テイマーズギルドで買ったレッドホークの卵が孵化した事にしたので、誤魔化せると思う。


 母に名前を付けないのかと聞かれたので、雛に聞いてみる事にする。

 これまで名前を付けようとしなかったのには理由がある。


 本来は人に懐かないと聞いていた。

 名付で愛着を持ってしまうと、飛んで逃げられた場合に悲しいと思っていたからだ。


「君に名前を付けてもいいかい?」

「ピィー」


 了承してくれたと判断する。

 しかし、考えてみるが良い名前を思いつかない。

 前世では、名付けする機会が無かったので、経験が無いのだ。


「……ピーちゃんってのはどう?」

「……ぴぃ…」

 

 言葉は分からなくても、嫌そうなのは伝わってきた。

 ネーミングセンスが無くて申し訳ない。


「なら、ニクスは?」

「……ピー」

 

 ピーちゃんと呼ばれるよりは良いと思ったのか、納得してくれる。


「なら、今日から君はニクスだ。よろしくね」

「ピィー!」

 

 ニクスは返事をすると、ふらつきながらも僕の頭の上に飛んできた。


「ニクス凄い! もう飛べるんだね」

「ピィー!」

 

 僕はニクスを頭に乗せたまま母に見せに行くのであった。


 しばらくは問題も起きないまま過ごしていたある日、セバスチャンが久しぶりに来てくれた。

 実は3歳の誕生日に父に欲しい物はあるかと聞かれたのだが、特に思いつかなかった。

 なので、セバスチャンに弟子入りしたいと、正直に言ってみた。


 しかし、王族が執事に弟子入りしたいなど、当然ながら前代未聞であった。

 また、セバスチャンは国王のサポートをする程の有能な人物だ。

 側に幼い子供がいては邪魔になる為、非常に残念な事に弟子入りは叶わなかった。

 

 僕が落ち込んでいると、面白半分ではなく、真剣だった事が伝わったのだろう。

 弟子入りの代わりに、セバスチャンが余裕のある時には、会いに来てくれる事になった。


 多忙な人物である為、月に2~3回くらいだが、現場で働く本物の執事の話を聞けるのだ。

 僕が理想の執事になる為には欠かせない貴重な勉強のチャンスである。


「お久しぶりです、ユーリオン様」

「すみません、貴重な休みに」

「お気になさらずに。休みと言っても、この年になると、やりたい事も特にないのです。

 若者が自分の話を真剣に聞いてくれるのですから、これ以上の楽しみはありませんよ」 

「ありがとうございます」


 こちらが気にしないようにと、フォローしてくれる。

 こういう細やかな気遣いも見習いたい。

 

 部屋へと案内し、簡単な挨拶から近況報告していると、ノックとともにエレナの声がする。


「ユーリオン様、お茶をお持ちしましたので、失礼致します」

 

 セバスチャンがいかに素晴らしい人物であろうと、この国の人間である。

 エレナを不快に思ってしまうのではないかと警戒するが、微笑んだままであった。


「おや、可愛らしいお嬢さんですね。ありがとうございます」

「あ、ありがとうございます」


 エレナはお茶の用意をすると、照れながら戻っていく。


「意図したわけではないのですが、さすがですね」 

「そうなのですか? 私はてっきり試されたのかと思いましたよ」

「エレナは偶々縁がありまして、ここで働く事になったのです」

「あの容姿ですと、さぞかし大変だったでしょうね」

「セバスチャンでもやはり、あの髪と瞳は不快に思いますか?」

「……全く気にならないと言えば噓になります。ですが、こういう仕事をしていると、

 人は見かけによらないという事が嫌でも分かってしまうのです。

 なので私は、何事も外見だけで判断せず、中身を知るようにしています」


 本当にできた人物である。

 不可能だとは分かっているが、皆が彼のようであれば、エレナも生きやすいのにと思う。


「みんなが貴方のように、彼女の中身を知ろうとしてくれれば良いのですが」

「それは難しいですね。学びながら生きていくには、人の寿命はあまりに短すぎる。

 だからこそ先人の知恵を借り、残されたものを頼りに生きてしまう」

「……なんとか、彼女を見る周囲の目を変えてあげたいのですが」

「それは苦難の道となるでしょうね。

 それでも、誰か1人でも自分の味方だと思える人物がいるだけで、人は生きていけます。

 ユーリオン様の存在は、彼女の支えとなっているはずですよ」 

「ありがとうございます」


 少し暗い雰囲気になったが、その後はセバスチャンが色々な話を聞かせてくれた。

 自分の武勇伝だけを語るのではなく、失敗談や恥をかく事になった話も聞かせてくれる。

 そこで得た経験なども教えてくれる為、本当に勉強になった。

 

 そして4歳になる頃には座学だけでなく、剣術や魔法も教わるようになった。

 それまでは独学で魔糸関係ばかり鍛錬していたので、他の魔法は初期レベルだ。

 剣術も前世で習った剣道とは別物であり、実戦に近い内容だった。

  

 グランファーレル王国の王族にある、しきたりの一つにダンジョンへ入るというものがある。

 これは男子だけになるが、5~7歳までの間に神々の試練とも呼ばれるダンジョンへ入り、

 モンスターの恐ろしさを知り、国の為に戦う者たちの気持ちを知る為らしい。 


 前から興味はあったので別に良いのだが、僕は最低年齢である5歳で入る事になった。

 といっても、もちろん1人で入って攻略するわけじゃない。

 あくまでも安全第一であり、護衛の人と一緒に入るレクリエーションのようなものだ。

 

 噂で聞いただけだが、アリアノールが僕がダンジョンへ入る事を推薦したらしい。

 あまりにもあからさますぎるのだが、暗殺でもするつもりだろうか?

 

 ちなみにアリアノールは4人目を妊娠中らしい。

 おめでとうございます。


 それからの座学や実技はダンジョンへ向けたものとなった。

 この世界では、一括りにする場合はモンスター。

 区別する場合には、魔物と魔獣に分けられている。


 魔物は「ゴーレム」「スライム」といった魔法的な存在か、

 「レイス」「ゾンビ」のようなアンデッド系が分類される。


 魔獣は動物が魔力を得て進化した種とされており、

 「獣」「魚」「虫」など、交配なんかで増えるモンスターが主に分類される。

 

 植物系は魔物か魔獣かで、今でも学者の間で論争されているらしい。

 ワイバーンなどの亜竜系は幻獣種ではなく魔獣に含まれている。

 

 そうして日々勉強と鍛錬、時々お茶会やパーティーに参加しつつも時が過ぎ、5歳となった。

 もう少しで、初めてのダンジョンへ向かう事になる。





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