選択2
side:ヴィルト
悩んだが、やはり、しばらくはユーリオンに付いて行く事にした。
とりあえず、世話になった分の借りくらいは返しておかないと、気持ち悪いしな。
朝食の席で答えを伝える。
「ルナマリアにも興味があるし、やっぱ付いて行くわ」
「うん、了解」
「か、勘違いしないでよねっ! べ、別にアンタの為なんかじゃ無いんだから!!」
「……ツンデレいらないよ」
「食費を浮かせたいだけなんだからね!!」
「はいはい」
この野郎、テキトーに流しやがって。
オークのツンデレなんて、希少だと思わないのか?
まぁ、需要に関しては知らんが。
飯を食った後は今日も仕事に向かう。
俺、こんな真面目ちゃんだったかな……まぁ、金は必要だ。
「おう、来たな」
「ああ」
「んじゃ、今日も働きますか」
いつもの4人で集まり、振られた作業をこなしていく。
途中で昼休憩を挟みつつ、夕方になる頃に今日の作業が終わる。
「なあ」
「ん、どうした?」
「……悩んだんだが、やっぱ一緒には行けねーわ」
「そっか、残念だ」
「悪ぃな」
「気にすんな。なら、今日は最後だし思いっきり飲もうぜ」
「おいおい、いつも思いっきり飲んでるだろうが」
「違ぇねーや、わっははは」
俺がいなくても、こいつらなら楽しくやれそうだ。
次にいつ会えるのか分からんし、飲むとするか。
「じゃあ、今日の支払いは最初につぶれた奴な」
「良いのかそんなこと言って、前回最初につぶれたのお前だぞ?」
「ばっか、あれは今日の為の作戦だよ」
「それ言ったら意味ねーだろ」
街に戻った後、真っ直ぐに店に向かう。
意味なんて無い、馬鹿みたいな会話ばかりしながら飲む。
酒の質は悪くても、悪くない時間だった。
結局、言い出しっぺの本人が最初につぶれちまった。
有言実行は大事な事なので、本人の財布から今日の支払いを済ませる。
「「「ゴチになります」」」
本人は酔いつぶれているので、聞こえていないだろうが、礼は言わないとな。
後は、今日のMVPを街外れの家に送り届けて解散だ。
一番力のある俺が背負おうと思っていたのだが、俺達に任せろと言われてしまう。
「お前は明日の準備でもしとけ」
「楽しかったぜ、また飲もう、今度もこいつの奢りでな!」
「ああ、またな」
荷物は、纏めるのに時間が掛かる程には無いのだが、領主邸からは離れた位置にある。
その気遣いは受け取っておこう。
こうして俺達は店の前で別れた。
それが今生の別れとなる事を知らずに。




