選択
side:ユーリオン
明後日には、ルナマリア神聖国に向けて出発する予定だ。
まだまだここでやりたい事はあるのだが、相手が相手だけに予定より遅れるのも問題だ。
またしばらくは、ジェードに頼らせてもらおう。
情報ではなく、実際に自分の目で見た事で、問題や改善点も見つかった。
ネットもテレビも無い世界なので、情報の伝達スピードが遅い。
なので、大きな問題は伝わって来ても、小さな問題は伝わって来ないのだ。
まさに〝百聞は一見に如かず〟である。
夕方になると、ヴィルトがコロシアムの建設作業から帰ってきた。
最初は文句を言っていたが、なんだかんだで毎日働いている。
「明後日、ルナマリアに向かうけど、ヴィルトはどうする?」
「どーっすかなぁ」
以前、今後の予定を話した時は、ルナマリアにも同行すると言っていた。
しかし、今はここで上手くやっているようだし、気が変わっているかもしれない。
仲良くなった者もいるようだし、ここに残って建設作業を続けるのも有りだと思う。
「僕達が行った後も、ここの部屋は使ってくれて構わないし、後から合流でも良いからね」
「あぁ、明日までには決めるよ」
「うん」
side:ヴィルト
自分が借りている部屋に戻り、寝っ転がりながら考える。
「ほんと、どーっすかなぁ……」
今日、一緒に作業している奴らの中で、1つの提案があった。
一緒に冒険者パーティーを組まないかというものだ。
魔大陸にいた頃、パーティーには良い思い出が無かった。
だが、こっちでなら、それも悪くはないかもしれない。
ユーリオンに負けた後、なんかもう、色々とどうでも良くなった。
今でも残っているのは、黒い光に対する怒りくらいだ。
忘れる事なんて出来る筈も無いが、少しくらいは目を逸らせる。
嫌な事から顔を背けたり、逃げ出す事は、悪い事だろうか?
誰もが皆、立ち向かわなければいけないのだろうか?
「あー、考えるのもめんどくさい!」
明日の事は、明日の俺に任せよう。




