コロシアムの建設2
side:ユーリオン
目が覚めると、もう夕方になっていた。
側に控えていてくれたピエリスにお礼を言う。
手伝いに向かおうと思ったのだが、もうすぐ作業終了時刻だと言われる。
ジェードと進捗具合を確認して今日は終わろう。
「順調?」
「おや、お目覚めですか。あまり、若いうちから無理をしてはいけませんよ」
「気をつけます」
「ユーリオン様のおかげで、だいぶ早く完成しそうですね」
「なら、明日も」
「いえ、それは止めておくべきかと」
「体調ならもう大丈夫だよ」
「それもありますが、そればかりではございません」
「と言うと?」
「早く完成しすぎても、参加者も観客もいなければ意味がありません。
それに、あえて遅くする必要はありませんが、住人の仕事を用意するのも領主の仕事ですよ」
言われて初めて気づいた。
確かに場所だけあっても、告知が遠くまで届いていなければ、人は集まらない。
僕が積極的に関わる事で早く完成するだろうが、その分働き口が減ってしまう。
少し焦りすぎていたかもしれない。
「ジェードの言う通りだ。明日からは任せるよ」
「その方が良いでしょう」
ジェードが微笑んでくれる。
僕もこういう笑い方が自然になるような、年の取り方をしたいな。
今日の作業が終了する。
街に戻り、給金を支払う。
ヴィルトも屋敷に戻ると思っていたのだが、違った。
「……今日はちょっと飲んでから帰るわ」
今日一緒に作業していた者達が待っているようだ。
仲良くなったなら、それは良い事だ。
サービスで蒸留酒を渡しておく。
「楽しんできてね」
「ああ」
僕達は屋敷に戻る。
砂ぼこり等で汚れてしまったので、まずはお風呂だな。
身体を奇麗にし、自分の部屋に戻ると、母様が待っていた。
「何かあったのですか?」
「倒れるまで無理をしたそうね」
「………」
ジェードかピエリスが、母様に報告してしまったようだ。
………効果があったかは不明だが、口止めしておくべきだった。
その後、夕食の時間まで、説教という名の愛情を感じる時間は続いた。




