コロシアムの建設
side:ユーリオン
今日はコロシアムを建設予定地に建てに行く。
1人では大変なので、ギルド経由で、土魔法が使える者を集めてもらった。
土魔法は使えなくても、護衛という事でピエリスと、現場指揮にジェードも一緒に来てくれる。
「それじゃ行ってくるね」
「行ってらぁ~」
「………」
土魔法を使えるヴィルトが見送る気満々なので、縛って無理矢理連れて行く。
働かざる者、食うべからずだ。
「あ、糸が肉に食い込む! 痛い、痛い!」
「行くよ、後、手伝ってもらうからね」
「働きたくねぇ……働かずに食う飯が一番美味い」
「ニクス」
あまりにもクズな発言をするので、少しお仕置きが必要だ。
名前を呼んだだけでも意図が伝わり、ニクスがヴィルトに火を吹く。
「熱い熱い! チャーシューになっちゃう!!」
「……こんなのを側に置くのですか?」
ピエリスが心底理解できないという表情だ。
偏見の無い土地を目指す為にも、色々な種族に居てほしい。
それに同じ異世界人という事で、シンパシーを感じている部分もある。
「……まぁ、長い目で見てあげて」
土魔法が使える者達と合流し、移動する。
あまり人数は集まらなかったが、人が少ないので仕方ない。
完成予想図としては、古代ローマの円形闘技場コロッセウムをイメージしている。
現場に着いたので、土魔法でコロシアムを小さくした物を作り、皆に見せる。
これで、イメージは伝わったはずだ。
この中だと、僕が一番レベルが高いので、まず大雑把にそれっぽい物を作る。
その後、手分けして形を整えていく予定だ。
中央の舞台と、それを見る観客席があれば良いので、そこまで難しくは無い筈だ。
最初は大雑把に作るから大丈夫かと油断していた。
これまでに無いほど大きい物を作った為、かなり魔力を消費してしまった。
貧血に近い感じで、少し眩暈もする。
ちょっと休ませてもらおう。
後の指示はジェードに任せ、仰向けで倒れこむ。
ごめん皆、後は頼んだ。
「………これは、驚きましたな」
「ユーリオン様、頑張りすぎですよ」
「土魔法使い数日分の働きを、1人でこなしてしまうとわ」
驚いてばかりもいられないと、ジェードが指示を出し始める。
ピエリスも寝ているユーリオンの護衛に専念しようとする。
「……おい、何をしている?」
「いや、こういう時には作法ってものがあるだろ」
ヴィルトが寝ているユーリオンの顔に落書きしようとしていた。
当然、そんな事をピエリスが許すはずもない。
脅しか本気なのか判断に困るが、ピエリスが剣を抜く。
「お前もとっとと働いてこい!」
「わ、わかったよ」
ヴィルトも皆と同じように働き始めるのだった。
やろうとした事は最低でも、そんな様子を見ていた他の者は、オークに興味を持ち始めた。
「なあ」
「あ?」
「領主様に悪戯しようとするなんて、命知らず過ぎんだろ」
「俺は誰が相手だろうと、退かぬ!媚びぬ!省みぬ!」
「ハッハハ! あんた意味は分からないが、面白いな!!」
「まあ、俺は『面白いの擬人化』または『面白いが服を着て歩いている』と言われているからな」
「なんだそりゃ、しかし、気に入ったよ、今日の仕事が終わったら一緒に飲まないか?」
「………考えておく」
「おう」
「そこの2人、サボっているようなら、給金は無しですよ」
ジェードの言葉に2人は顔を見合わせる。
ただ働きはごめんだと、2人して1度笑うと、仕事に戻るのだった。




