ヴィルトの紹介
side:ユーリオン
しばらくは行動を共にするので、ヴィルトを皆に紹介した。
真っ先にピエリスが、護衛として警戒心を強める。
「ユーリオン様、その者は信用できるのですか?」
「なんだ、魔族いやオーク差別か?」
「違う。お前がオークだろうとヒューマンだろうと、ましてや同じエルフだろうが関係ない。
俺は主を護る護衛として、近寄る者は疑い、怪しい者は遠ざける義務がある」
ピエリスの問いに、僕は真剣に答える。
「そう簡単には信用できないかも」
「……おい」
「だけど、これから同じ時間を過ごす内に、小さなものが積み重なって信頼になり、
いずれは信用に変わっていけたら良いなと思うんだ」
他者を信じる心と有り様は美しいと思う。
だけど、簡単に信じるのは思考放棄であり、自分と相手に対する無責任だとも思う。
それに簡単にできる信頼関係よりも、時間をかけた信頼関係の方が強固になるはずだ。
「……俺は反対ですからね」
「まぁまぁ、ユーリオン様が言うなら、とりあえず様子見でも良いんじゃ」
まあ、ピエリスは特に反対するだろうとは思っていた。
時間をかけて仲良くやってくれればいい。
突然ヴィルトが僕を脇に抱えて皆から離れる。
部屋の隅まで移動すると、小声で聞いてくる。
「なあ、あの緑髪のエルフの女の子、俺に絡んできたアイツとどういう関係なんだ?」
「アイリスの事? アイリスはピエリスの妹だよ」
「彼氏はいるのか?」
「……え、いや、そういう話は聞いた事が無いけど………」
「なら、作戦はガンガン行こうぜ! で行く」
「え」
「まずは外堀からだ」
ヴィルトが皆の方へ戻っていく。
アイリスの事が気に入ったようだが、上手く行くかなぁ?
「お義兄さん、今後の俺の働きを見ていてください!」
「誰がお義兄さんだ、殺すぞ」
「アハハ! 仲良くしましょうよ」
「馴れ馴れしいぞ」
嫌がるピエリスにヴィルトがガンガン絡んでいく。
その隙にアイリスを手招きで呼ぶ。
「なんか、アイリスの事気に入ったみたいだよ?」
「仲間として、仲良くするのは良いですけど」
「けど?」
「それ以上の関係は無理です」
「無理かぁ」
「無理ですね」
駄目とか、嫌とかならまだしも、無理が出るとどうしようもない気がする。
限りなく「0」に近い可能性で前途多難だが、少しだけ応援してあげよう。




