オークとの再会2
ユーリオンがサービスワゴンに昼食を乗せて部屋に戻ってきた。
懐かしい匂いから、ヴィルトはメニューに期待する。
「味噌汁か!?」
「正解! ライスは無いからパンで我慢してね」
メニューは、豆腐とワカメに大根の入った味噌汁、焼き魚、冷奴まである。
ここに炊いた米もあれば、シンプルだが立派な和食の完成である。
残念ながら、炊くのには向かない品質な米の上に、量も無いのでパンで妥協するしかない。
「なんでこれで米が無いんだ……」
「鰹節も無いけど、醤油はあるから魚と豆腐に使ってね」
「箸はあるのか?」
「もちろん」
ヴィルトは最初に味噌汁に手をつける。
10年以上ぶりの故郷の味である味噌汁だ。
ゆっくりと味わうように一口すする。
「なんだこれ……不味っ! これ、味噌汁だけど味噌汁じゃねーぞ!?
こんな不味い味噌汁……飲んだ事が無えぇ……あぁ……ほんと……不味いなぁ……」
ヴィルトが文句を言うのも仕方がない。
ユーリオンは頑張って味噌を作ったが、所詮素人が初めて作ったものだ。
それっぽい物を作っても、日本の専門家が作る元の味を再現できる訳がない。
この味噌汁を日本人が10人飲めば、10人全員が不味いと言うだろう。
100人に飲ませてようやく、1人か2人が飲めると評価するレベルだ。
それでもヴィルトは、文句を言いながらも食事の手が止まらない。
箸で味噌汁の具を口の中に流し込み、味わっていく。
「不味い、おかわり!」
「青汁か!?」
ユーリオンはツッコミながらも、お椀を受け取り、おかわりを用意する。
ヴィルトはお椀を受け取り、また味噌汁をすすると動きが止まった。
「……母ちゃんの……味噌汁…………飲みてぇなぁ…………」
いつのまにか、ヴィルトの瞳からは涙が流れていた。
それは懐かしき味に故郷を想ったのか。
それは二度と会えない親に想いを馳せたのか。
ユーリオンはその涙には触れず、自らも食事に手をつける。
「ほんと不味い……けど、本当に懐かしい味だ……」




