領主としての仕事 2
side:ユーリオン
建設予定地の整地をしたり、街の環境に手を加えたり、人に会ったりしつつ、更に2日経過した。
醤油や味噌の発酵もだいぶ進んでいる。
明日くらいに試してみよう。
卵や牛乳が定期的に欲しい。
領内でも育てている者はいるのだが、やや遠いし、毎回購入するには値段が高い。
なので、身近で鶏や牛を育てたい。
と言っても、今すぐの話でもない。
次はルナマリアに向かうし、その後は王都に戻る。
将来的に、この地に落ち着いた際には屋敷の側で育てたいと思っている。
今日も街の様子を視察しに行く。
初日に比べれば、住人の表情が明るくなって来た気がする。
「領主様、こんにちは!」
「領主様のおかげで今日も快適です!」
最初は顔を伏せ、目も合わせないようにしていた住人達だった。
今では挨拶までしてくれるようになったので、良い状況だ。
人を集める施設を作ったり、大豆の加工品を作るのは大きな事業だ。
多くの住人達からすれば、現状自分には関わりが無く、領主の事が分からない。
なので魔法を使い、街の中に誰でも利用できる大きな銭湯を建てた。
中に入ると、受付の者が常におり、当然男女で別れている。
誰でも銅貨2枚(200円)で利用でき、冷やした果実水や石けん、タオル等も販売している。
最初は石けんくらい無料で良いかと思ったのだが、盗まれると言われたので有料にした。
流石に無限に湯の出る蛇口や、シャワーまでは用意できなかった。
汚れを流す場と湯船くらいのものだが、喜んでもらえている。
人は汚れていると、もういいか、更に汚れても良いかと思ってしまう。
清潔にする事で衛生環境も良くなるし、住人達からも感謝されるので一石二鳥だ。
また歩いていると、今度は子供達からも声をかけられる。
「あ、領主様だ」
「ユーリオン様!?」
「馬鹿! 気安く名前を呼んで良い方じゃないんだぞ!!」
僕個人としては名前で呼ばれても良いのだが、立場的にそういう訳にもいかない。
関係性によって呼び方が変わるので、それを許せば名前を呼べる関係になってしまう。
ここは聞こえなかった事にしておこう。
「なにか困った事はあるかい?」
「いいいいえ、俺じゃ無かった私達共は、常に感謝しししておりますです」
一番年上っぽい子が答えてくれたのだが、緊張からか滅茶苦茶だ。
隣の女の子に視線を向けると、意図を理解して答えてくれる。
「領主様のおかげで大人にお金を取られる事も、誤魔化される事も無くなりました。
私達も利用できる銭湯や、小さな女の子でも出来る仕事も用意して頂き、本当に感謝しています」
本当なら子供は働かず、学べる環境を作れたら良いのだが、今は難しい。
外国でもそうだったが、子供は貴重な労働力で、学ばなくても生活できるという考えが多い。
もしかしたら、学べば歴史に名を残すような者もいるかもしれないのだ。
……これも将来的な課題の1つだな。
頭を悩ませながら視察を終え、屋敷へと戻るのだった。




