やる事が多い1日
side:ユーリオン
翌日目覚めると、身体の調子はとても良かった。
むしろ、風邪をひく前より良くなっている気がする。
知らず知らずのうちに疲労が溜まっていたのかな。
今度は過労死なんてのは笑えないので、自分の身体が子供である事を自覚しよう。
前回の反省を活かし、暖かくなる昼から出かける事にする。
ニクスと一緒に、育てている村まで米を買いに行く。
病み上がりで心配されたが、時間は有限だ。
申し訳ないが、ここは我が儘を通させてもらう。
早朝と違い、昼間は人が多く活動する時間だ。
護衛の心配をされたので、ジャックも連れて行く事にした。
リュックに顔を出したジャックを入れ、それを背負う。
教えてもらった村の近くまで飛んでもらい、そこから少し歩く。
歩いていると、途中で賊っぽい4人組に絡まれた。
時間がもったいないので、テキトーに縛って転がしておく。
村では問題が2つ起きた。
まず1つ目は、子供1人で尋ねてきたので、まともに相手してくれなかった事。
2つ目は、領主の証を見せると、ひたすら頭を地面に擦り付けて謝罪され、話を聞いてくれなかった事。
なんとか、こちらが今回は問題にする気が無い事と、肝心な用件を伝える。
見せてもらった米は、ジャパニカ米とインディカ米の中間くらいだろうか。
この米なら、パエリアやチャーハン向きかもしれない。
村に問題が発生しない程度で、売れるだけ売ってもらった。
村としても臨時収入は有り難かったようで、お互いにwin-winだった。
今後はもっと増やすようにお願いし、村を去る。
心配しているだろうから、余計な寄り道はせず、真っ直ぐに帰る。
屋敷に戻ると、ジェードに汚れたり臭いがしても問題無い部屋を借りる。
早速、味噌や醤油の調味料作りに取り掛かる。
専門家では無いので、日本の米以外からも造れるのか不安だったが、大丈夫なようで安心した。
すぐに出来ないのが本当に残念だ。
以前森で採取した渋柿を干し柿に、梅を梅干しにしていく。
梅の一部にはカルシウムを使い、カリカリ梅にする。
外で干す必要があるので、ニクスとハクアに見張りを頼む。
野生動物が食べるかもしれないし、いたずらされても困る。
今度は調理場を借りて豆腐作りに挑戦だ。
こちらは味噌や醤油に比べれば簡単だし、すぐに作れる。
海水からにがりを用意し、水につけておいた大豆をミキサーにかける。
後は煮たり絞ったりして固めればいい。
おからも出来たので、今回はクッキーに利用する。
お茶の時間に出したら喜ばれたので、また作ろう。
「これが作りたかったの?」
「いえ、これはオマケです」
「?」
母様の疑問にそのまま答えても良いのだが、夕飯のお楽しみにとっておく。
やりたい事だけやる訳にもいかない。
昨日休んだ分も働かなければ。
ジェードと相談しながら街の方針を固めていく。
夕食の時間になった。
豆腐は、味噌があれば味噌汁に、醬油があれば冷奴か湯豆腐にするのだが、まだ無理だ。
なので今回は、塩とオリーブオイルか、デザート寄りになってしまうがハチミツレモンで頂こう。
豆腐は予想以上に大好評だった。
普段はあまり食べない母様が、本当に珍しい事に豆腐はお代わりを頼んだ。
年のせいで年々食が細くなっているジェードも絶賛してくれた。
食事が終わって部屋に戻ると、ピエリスとアイリスが尋ねてきた。
2人も豆腐がかなりお気に召したようで、また作って欲しいと頼まれた。
肉や魚を使わない豆腐は、エルフに大好評だ。
今度、お爺様達にも持って行こう。
ジャックには、味噌と醬油の見張りを頼んでいた。
どちらも普通に作れば、かなり時間が必要だが、鑑定と錬金術で工程を早める。
それでも、今夜は徹夜になりそうだ。
ジャックは眠る必要が無いので、話し相手と寝たら起こす役になってもらう。
部屋の温度にも気を遣うので、また風邪をひかないように厚着しておく。
さあ、頑張るか。




