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6:ワイ、王様に謝られたンゴ

「正直すまんかった。」


 寝ていたら起こされて、そのまま兵士に連れられて王様の前まで連れてこられた。大きな部屋の奥に階段があって、その上に立派な椅子が。そこに王様が座っていた。謁見の間というやつだ。

 で、いきなり、なぜか王様に謝られたンゴ。


「えっと……何に対する謝罪なのでしょうか?

 まだ私がどんな罪を犯したのかも知らされていないのですが、今度は何を理由に謝られたのですか?」


 尋ねると、王様は呪い殺しそうな目でワイの隣の兵士を睨んだ。凄い迫力だ。

 ワイを牢屋からここまで連れてきた兵士だが……あ、思い出した。この人、ワイを牢屋まで連れていった兵士たちのリーダー格だった人だ。

 兵士は青い顔をして小さくなっている。


「君は何も罪など犯していない。

 スラム街の住人たちを支えた功労者だ。その功績を讃えようと思って、君をここへ連れてくるように命じたんだが、何をどう勘違いしたのか、犯罪者として連れてきてしまったようだ。

 詳しいことは調査中だが、余が命じてから、そやつが命令を受け取るまでのどこかで、情報の伝達にミスがあったという事だ。組織の長として、このような不手際を起こした事、大変申し訳なく思っている。」


 王様が「そいつをつまみ出せ」と命じて、居並ぶ騎士たちの一部が兵士を連れていった。


「セカンド君。君にわざわざ王城まで来てもらったのは、ただ褒めるためだけではない。

 君がスラムの住人たちに配っている、その素晴らしい製品を、我々にも渡して欲しい。もちろんタダでとは言わない。」


 まずは実際に使ってみたいとのことで、近衛騎士団から5人を選抜して部隊を組ませ、キャンプをーーもとい、野営をやってみる計画があるらしい。具合が良ければ、軍全体で使うよう制式採用するつもりがあるとのことだった。

 なので、まずは5人分のキャンプ道具を一通り出して渡した。

 結果は後日ということで、ワイは試用が終わるまで王城で待つように言われた。

 それから、スラム街を支えて改善していることに対する褒美として、かなりの金額を貰った。そこに今回の5人分の道具の代金も入っているという。値段の交渉はしていないから価格未定なのだが、報奨金と一緒に渡されたことで、道具の値段をいくらにしようが「それを引いた分が報奨金だ」と言われることになる。さすがに王様だけあって老獪だ。

理論的には「これだけじゃ足りない」とふっかける事もできるが、それをやるクソ度胸はワイにはないンゴ。それに、後で中身を確認したら、そんな事する必要はなかった。豪邸が2〜3個買えるほどのお金が入っていたからだ。大金すぎてビビったンゴ。



 ◇



 待っている間に、ワイは手紙を書いた。

 宛先は嫁と義父だ。スラム街を巨大ショッピングモールにする計画を伝え、協力を求める内容だ。

 手紙を出した2日後には返事が来て、任せておけとの事だった。

 それからさらに数日待って、ワイは再び王様に呼ばれた。


「大好評だ。

 近衛騎士団の奴ら、快適すぎてバカンスのようだったと報告してきたぞ。」


 だろうね。やってきた事はキャンプなんだもの。まんまバカンスだよ。

 しかも近衛騎士団に渡したのは、スラムの住人たちに配っているものよりグレードが高い。そうしないと、近衛騎士団をスラムの住人と同格に扱うことになってしまって失礼だからだ。騎士というのは騎士爵をもっているから、領地はないけど一応貴族だ。平民の、それも貧民層と同格に扱っては、問題になってしまう。そしてもちろん、キャンプ道具に限らず、ハイグレードな方が快適なのは当然だ。


「それで、軍の制式採用にする話だが、残念ながら今回は見送ることにした。

 報告によると、『あまりに快適で、思わずくつろいでしまう。作戦中に必要な緊張感まで奪われるので、使用場面には注意を要する』との事だったんだよ。君が牢屋の中でもスヤスヤ眠っていたのは、それほど快適だからということなのだな?

 それで、今回は軍の制式採用にするのではなく、近衛騎士団が護衛任務につくとき、その護衛対象が使うための備品として購入することにした。」


 だから数はこのぐらいで、納期はこのぐらいで……と、細かい事が決まっていった。

 近衛騎士団が護衛するときの、その護衛対象が使うものとして購入する……ということは、つまり、王侯貴族が使うという事だ。ワイのスキルで召喚したアイテムが、王室御用達になってしまったンゴ!



 ◇



 嫁が待っているスラム街に戻ると、住人たちが謎の大歓迎をしてくれた。

 またワイの配給が始まるのが嬉しいのかと思ったら、それだけではなくてーー


「俺たちの働き口を作ってくれるんだってな!?」

「マジであんたスラム街の救世主だよ!」


 巨大ショッピングモールの計画が、すでにスラムの住人たちに周知されていたらしい。しかも歓迎されているということは、もう説明とか説得とかしなくても、すぐに開発していける感じのようだ。パパさん、準備よすぎィ!

 しかも、この後パパさんに会ったら、巨大ショッピングモールの店舗にする土地も手配できていて、図面さえあればすぐ着工できる状態だった。

 ワイは、王様から貰ったお金を全部つぎ込んで、巨大ショッピングモールを作ることにした。従業員には、もうキャンプ道具を使い慣れているスラムの住人たちを雇い、巨大ショッピングモールは大繁盛した。店舗建設につぎこんだお金もすぐに回収できて、従業員たちも人並みに給料がもらえて喜んでいる。もうスラムの住人とは呼べない状態だ。

 売れまくるので、ワイは召喚を繰り返し、それでレベルが上がって魔力が増えて、余裕ができた分、新商品を売り出したりして、絶好調だ。

 我が家として使ってきたテントも、新しくハイグレードな物に替えて、嫁との生活もますます充実している。

 そんな時に、騎士団を引き連れたどこかのご令嬢がやってきた。


「どういう事ですの!?」


 なぜかご令嬢はご立腹だったンゴ。

 なんで……???

 てゆーか、誰???

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