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36 ワイ、森林でキャンプするンゴ

 エルフ王国にやってきた。

 といっても、まだ国境を越えただけで、街は見えてこないが。


「大きな森ですね。

 この森は、どれぐらいの広さですか?」

「エルフ王国全体がこの森です。

 つまり、私たちエルフはこの森の中で生活しています。」


 国全体が森……ものすごい広さンゴ。

 森には落葉広葉樹が多く、落ち葉や枯れ枝が大量に落ちている。


「そろそろ昼ですね。食事にしましょうか。」

「そうですね。」


 と、エルフの大使の部下と話し合い、ワイらは休憩をとることにした。

 空は晴れているが、森の木々が生い茂っていて、ほとんど空が見えない。日差しを遮るために、タープもテントも必要ない環境だ。前世のワイもキャンプ場では森林サイトをよく使ったンゴ。

 キャンプ場ではソロキャンパーを中心に森林サイトが人気だが、その理由は大別して2つ。1つは、芝生サイトや砂利サイトよりもワイルドな感じがして、より野営に近い雰囲気で身近に自然を味わえること。岩や木の根があったり斜面があったりして地面が平らとは限らないので、どこにどのように設営するか考えるだけでも楽しい。もう1つは、枯れ木や枯れ枝が燃料になったり、立木がポール代わりになったりと、現地調達がはかどること。もちろん頭上に木の葉が生い茂っていてタープがいらないという点も大きい。つまり荷物を減らせるのだ。

 ところが、こういう場所では地面の状況に気を付けてキャンプを楽しまなくてはならない。具体的には、落ち葉や枯れ枝だ。焚火をする場合には、これらをどかして、地面に土をむき出しにした状態を作ってから、そこで焚火をすることになる。それでも火の粉が飛ばないように細心の注意を払わなくてはならず、万一の場合には山火事になるリスクを承知して、その回避に努めなければならない。


「……うーん。」

「ご主人様……?」

「落ち葉が多すぎる。雨が少ないのか、よく乾いているし……これは危険だ。

 見ろ、彼らも焚火はしないようだ。」


 エルフの大使の部下とその護衛たちを見ると、彼らも焚火をしないで食事をするようだ。

 食材は野菜が中心で、切って盛り付けるだけの、つまりサラダである。

 エルフというと弓矢が得意なくせに狩猟による肉食よりも採集による菜食主義みたいなイメージがあるが、好んで菜食主義になったのではないのかもしれない。この環境では、火を使うことが危険すぎるのだ。


「よし、俺たちも焚火なしでやろう。」


 キャンプといえば焚火。キャンプとは、堂々たる火遊びである。確かにそういう側面はあるが、この環境では無理ンゴ。

 キャンプの要素といったら、座って休む、眠る、食事をとる、周辺を散策する、といった4つぐらいに大別できるだろう。その食事に火を使わないとなれば、メニューは限定される。


「さて、どうしようか。

 彼らと同じくサラダにするか、スティック野菜とマヨネーズという手もあるな。

 多少手を加えるなら、カルパッチョやマリネ、ナムルというのも……あとは漬物・和え物・酢の物あたりか。

 食材を召喚すればサンドイッチや冷や汁も作れるな。」


 カルパッチョは、肉や魚を薄切りにしてオリーブオイルやソースをかけた料理。

 マリネは、肉や魚などの食材をつけ汁に漬け込んで柔らかくする料理、およびその調理法。

 ナムルは、野菜を塩ゆでしたものを調味料とごま油であえたもの。


「……おっと。ナムルは無理か。」


 塩ゆでのために火を使って湯を沸かさないといけない。

 いずれにせよ、火を使わない料理といったら、切る、混ぜる、挟む、と調理工程が単純だ。


「ご主人様、聞いたことがない名前ばかり並べあそばされましたけど、とりあえずマヨネーズとはどういうものですか?」

「じゃあ、それにするか。」


 まずは野菜を召喚してスティック状にカット。

 続けてマヨネーズを召喚し、小さめの容器にたっぷり出しておく。


「こうやって食べるんだ。」


 野菜スティックをつまんで、マヨネーズにつけて口へ。ぽりぽり……うん、うまい。


「やってみろ。」

「こうですか? ……あら。おいしいです。さすがご主人様が召喚あそばした食材ですね。」


 俺たちがポリポリと野菜スティックをかじっていると、エルフたちが興味深そうにこっちを見た。

 そのうち我慢できなくなった大使の部下が声をかけてくる。


「それはどういう……調味料ですか? 見たこともないものですね。」

「卵と酢と油を混ぜたものです。サラダにかけても美味しいですよ。どうですか?」


 マヨネーズを差し出すと、「では」といって大使の部下がサラダにかけた。

 そして一口。


「うまい!」


 食べるペースが上がった大使の部下を見て、護衛たちもますます興味深そうにしている。

 しかし雇い主の客人相手に「くれ」とは言いにくいようで、ガン見しながら我慢している顔がちょっと怖いンゴ。


「よかったら皆さんも――」

「「ありがとう!」」


 どうぞ、と言い切る前に持っていかれた。

 ……あ~あ……あんなにかけて……けっこう高カロリーだから太るぞ? まあ、戦闘職業の人たちだから大丈夫か。運動量が多いもんな。

 しかし、異世界にマヨネーズは鉄板だなぁ。前世の世界では18世紀半ばに最古の記録があるんだったか。

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