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1:ワイ、実家からポイされたンゴ

この作品は不定期更新です。

 長男教って知ってる?

 長男は跡取りだから大事だけど、それ以外はいらない子。

 そういう価値観というか思想というか……まあ、そういうやつ。

 いらんなら作るなよ! って思うけど、できちゃったもんはしょうがない。女の子だったらどっかいいトコに嫁がせてやれば、「あの名家と付き合いがある家」ってことで家格が上がる。だから一応産むだけ産んでみろ、というわけで生まれたのがワイ。名前はセカンド。2番目の子だからセカンド。


「子供を放り出しちゃ世間体が悪いから15までは育ててやったけど、次男なんかいらんのや。出てけ。」


 というわけで、ワイ、実家からポイされたンゴ。ついでに村からも追い出されたンゴ。

 ちなみに、この世界は15歳からが成人な? なんでかっていったら、15歳以上で教会いって神様に祈ると、1回だけスキルというのが貰える。スキルというのは、努力もせずにいきなり一流の腕前になるという、とんでもないご利益のこと。たとえば「剣術」というスキルをもらったら、剣なんて持ったこともない人が、いきなり剣の達人になる。

 なので、とりあえずスキルをもらうために教会へ行った。どんなスキルだろうと、いきなり一流の腕前になれるんだから、それを頼りに生きていけるはず。なお、村からは追い出されたので、近くの都市の教会だ。神様に祈り、スキルをもらう。


「召喚……か。」


 精霊や悪魔や天使を召喚して、従者として使うことができる。召喚した相手のことを総じて「召喚獣」という。ただし召喚していられる時間には限りがあるし、召喚できる相手の強さは、自分の強さに比例する。自分自身が直接戦えないのと、強力な召喚獣ほど体が大きい傾向にあるため、狭い場所では満足に戦えないとか、とっさの場合には召喚する暇もないなどの弱点がある。

 正直微妙だな、と思っていると、その時ワイに電撃が走った。

 知るはずのない記憶が大量に思い出され、ワイは前世の記憶を取り戻した。前世のワイは、異世界のサラリーマンで、営業職だった。趣味はキャンプ。そして名前は二郎。次男だから二郎だ。どうやら召喚スキルで前世の記憶を召喚したらしい。転生するときに前世の記憶は消されるのが普通だが、異世界からの転生だったせいか、消し方が甘かったようだ。


「え? ……あれ? これは……2つ目のスキル……!?」


 二郎(ぜんせ)セカンド(いまのワイ)とは別人扱いなのか、なんと2つ目のスキルが貰えてしまった。

 2つ目のスキルは「キャンプ」。つまりキャンプの腕前が一流になる。キャンプなんて楽しんだ者勝ちなのに、一流のキャンプとか意味が分からない。あと、こっちの世界では「キャンプ」なんて言葉も概念もないンゴ。

 と思っていたら、その時またワイに電撃が走った。


「うわ!? ちょっ……! スキルがバグった……!?」


 1人の人間に2つのスキルが与えられるのは、この世界的にエラーらしい。そりゃそうだ。聞いたことない。なのでエラーが変な作用を起こして、2つのスキルの効果がバグり、無理やり1つのスキルに融合したような効果になった。

 努力せずに一流の腕前になるというスキルの特性上、貰った瞬間に使い方が分かる。バグって効果が変わっても、どうなったのか即座に分かった。


「……キャンプで使うものだけ召喚できる……? どーゆーこと……?」



 ◇



 つまり、こういうことだ。

 キャンプで使うテント、キャンプで食べる食料、キャンプで着る服。それらキャンプで使うものなら、何でも召喚できる。ただし召喚するには魔力が必要で、中には魔力不足で召喚できないものもある。主にグランピングで使うような高級品だ。どうやら安物ほど召喚に必要な魔力も少ないらしい。普通の召喚スキルと違って、1度召喚したものは時間がたっても消えないし、スキルを解除みたいな方法で任意に消すこともできない。ずっと残り続ける。ただし普通に経年劣化や化学反応を起こす。燃やせば燃えるし、食べれば栄養になるというわけだ。やったぜ! これで衣食住に困らないンゴ!

 しかし、戦う力は失ったわけだ。ならば街の外に出るのは危険だ。魔物が出てくるからね。というわけで、街の中でキャンプすることにした。もちろん、下手な場所でキャンプしたら叱られる。下手すれば逮捕されるかもしれない。

 なので、兵士が巡回に来ない、近隣住人が通報しない、そういう場所を求めて、スラム街にやってきた。行政の支援とか一切ないから、犯罪者が大勢隠れている。危険すぎて教会もスラム街では炊き出しをしない。見捨てられた土地というわけだ。だから、ここには生活に困っている人が大勢いる。ワイが潤沢に物資を使えるのを見た彼らは、


「ちょっと分けてくれないか?」


 と、悪臭ただようボロ布の服ですり寄ってきた。

 くっせぇ! 鼻が曲がる!

 だが前世が営業職だったワイ、そんな失礼なことは言えないし、態度にも出さない。


「どうぞ。差し上げますよ。

 ただ、数に限りがありますから、いつでも、いくらでも、というわけにはいきません。

 品切れになったら、次に仕入れるまでおとなしく待っていてください。決して奪い合ったりしないようにお願いします。希望者が多い場合は、前回受け取った人が遠慮するなどして譲り合ってください。マナーよくお願いします。住み心地がいいと思えなければ、私はいつでもここを出ていきますからね。」


 集まった悪臭を放つ人々は、一斉に何度もうなずいた。

 そして、第1回の食糧配給が始まった。

 魔力さえ回復すれば、アイテムは何度でも召喚できる。食料配給が回を重ねるごとに、ワイはスラム街で有名人になっていった。あと、ワイの要求通り、スラム街の住人がマナーよく過ごしてくれるようになったンゴ。

 有名人になるつもりはなかったけど、まあ、おおむね順風満帆ーー


「あんたがセカンドか?」


 ファッ!?

 なんか怖そうな人達が現れたンゴ……!

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