後編
薄暗い通路をソロリソロリとびくびくしながら進んでいく、キョロキョロしながら、進む。時折水の滴る音がポチャンと響いて空だがビクッと反応する。「真っ暗でなにも見えないよ……明かりが欲しいよぉ」っと壁を伝って歩く。
暫く歩くと一番奥に到着したのか、棚にランプがあり、お酒の瓶が置いてあります。「これがマタタビ酒なのかな?」と呟いて一本持ち上げるとランプの火が消えたのか辺りが完全に暗くなりました。
仕方なく手で壁を伝って出口へと戻り始めました。けれど全然出口に辿り着きません。不安になって泣きたくなってきた時、ふと長のおじいちゃん猫の言葉を思い出しました。
「アドバイスとして、一つだけ、魔法は心の内にある。イメージをして出来ると信じること。忘れないように」私でも魔法が使えるって事?明かりが欲しい……優しい明かりが。妖精の物語のように掌に小さな生命であり、光を生み出す。周りを優しく照らして……掌から何か種のようなものがこぼれ落ちると通路一杯にスズランのような形のひかる花が生えて優しく廊下を照らしました。
明るくなった通路を出口まで歩くと、長とジーンが待っていてくれたんだ。
マタタビ酒をおじいちゃんに渡すと「良く頑張ったね」と頭を撫でてくれたんだ。
ジーンも「これで、君も僕達の一族……家族だね」っと相変わらずニヤリと笑って言ったんだ。
その後、私でも、猫のように動けるように変身する魔法を教えてくれた。「試しに使って見なよ。基本その姿で動く事になるんだからさ。魔法は心の力だから、しっかりと自分を強くイメージするんだ」と
ジーンに促され魔法を使う。光が迸ったあとに鏡に写ったのは、
緑がかった薄い茶色のゆるい流れるようなショートの髪、中性的な幼い顔には、高温の炎の青い煌めきのような瞳、凛々しく結ばれた口元は意思の強さを思わせた。
細身の体に緑青色のロングコート、上は白い清潔なシャツに、黒いジーンズ。細い体には不釣り合いな幅広いベルトにウエスタンブーツ。腰に帯びたエペに羽を差した黒いノーブルハットを被った姿はまるで、長靴を履いた猫を何となく連想させる姿だった。
格好と見え方に驚いた私は「これが、私? 嘘でしょ?」と言おうとしたら、ジーンは被せるように「これが、君本来の姿だね。ふむ。似合うじゃないか」とまた、ニヤリと笑った。
「さぁ、此れからが僕らの冒険の始まりだよ。ワクワクするじゃないか」と私の背中を叩いたのだった。
そうして、私たちの冒険は始まったんだ。
読んでくださってありがとうございます。
少しでも楽しんでくれたなら、嬉しいです( ≧∀≦)ノ