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狂喜乱舞を日常で  作者: 盆
3/6

おしとやかなやつにはなにかがあると紀元前から相場に決まっている

会話の時に変な言葉になってるか不安になります、盆です。

対戦よろしくお願いします。

さあ、授業の始まりだ、寝よう。

そう思ったけれども視線は黒板の方へ……もとい前の席の女の子、臼井さんの方へといく。

くっ……!抗いがたいぜ!

しばらく臼井さんの方を見つめていた。

大丈夫、他のやつからは黒板を見てるようにしか見えない。

それからしばらくたった辺りで臼井さんの机から消しゴムが落ちた。

キョロキョロと辺りを見渡している。

見失ったらしい。

一緒に探そうと俺も下を見たところ臼井さんのすぐ後ろにあった。

これ天啓と我は彼女に消しゴムを渡した。

なんちゃって、天啓なんか日常会話で使わないわな。

すると臼井さんは少しだけの笑顔とお礼を俺にプレゼントしてくれた。

やばい、惚れちまいそう。

俺には青陽さんがいるのに……!

それからはずっと臼井さんの笑顔が俺の頭に張りついていた。

気づいたら4時間目も終了していたらしい。

あまりにも早い。

昼ごはんのお時間だ。

俺はいつものように小島と飯でも食おうと小島の方へと向かった。

しかし、そこには小島はいなかった。

どうしたのだろうか、教室から出たにしては少し時間がおかしい。

教室のどこを探しても小島はいなかった。

仕方ない、今日はぼっち飯だなと思いながら教室を出て購買に向かおうとした矢先、件の転校生、臼井さんが話しかけてきた。

なんだ、焼きそばパンは買ってこんぞ。

「さっきは消しゴム拾ってくれてありがとね。」

「あ…いや、うん」

なんだか変にどもっちまう。

あ、いつもの事だったわ

「それで良かったらなんだけど、お昼ご飯一緒に食べない?」

この子こんななりして初対面の男とご飯食べちゃえる子なの?

お母さん悲しい……!

しかし俺には断る理由なんてこれっぽっちも無いいや、少々恥ずかしいぐらいか。

「いいよ」

しまった……!ぶっきらぼうすぎたか……!

「ほんと!じゃあ行こ!」

あれ、気にも止めてない天使かな。女神かな。

この際小島なんてどうでもいいと購買へと向かった。

「ごめんね〜、色んな人が声掛けてくれたんだけど私、人多いのちょっと苦手で……」

あぁ、そんな感じするなと心の中では色々なことを思いながら

「へぇー、大変だね。」

とどうでも良さそうに返事をしてしまう。もっと気の利いた返事をしろよ馬鹿野郎。

本当は購買で買って教室で食べるつもりだったけどそれだったら食堂で食っちまったほうがいいか。

そう思い

「食堂でいい?」

と臼井さんに聞いた。

了承を得たので俺は唐揚げ定食を注文した。

うちの学校は唐揚げがいちばん上手いんだよ。

臼井さんもどうやら同じものを注文したらしい。

さっきまでは歩いていたから会話がなくても何とかなったけど今は待っているので少しだけ気まずい。

なにか会話はないかなと思いながらも出てこない自分に少し嫌気がさした。

すると臼井さんが

「ねえ、君名前はなんて言うの?」

え、言ってなかったっけ、言ってなかったわ。

「流水樹、流れる水で流水」

「珍しいね、その苗字」

「うん、俺以外見たことない。」

「そうなんだ、改めてよろしくね、樹くん。」

下の名前かい。

やばい、顔がちょっと熱くなってる

名前で呼ばれるだけで赤くなるなんて最高に童貞っぽい。

どどど童貞ちゃうわ!

「うん、よろしく臼井さん」

必死に表面を取り繕った。

そんなことをしている間に出来ていたらしい唐揚げ定食を受け取り、座れそうな席を探す。

あ、奥の方空いてるわ。

そこに臼井さんを促すと自分も臼井さんの向かい側へと座った。

そこから特に印象的な会話をした訳でもなく、お互いご飯を食べているからか必要最低限の間を取り持つぐらいの会話しかなかったが、俺はずっと臼井さんへの一抹の気まずさを感じながら話題の出てこない自分を打ち消すようにご飯をかき込んだ。

そういえば小島は結局どうなったんだろうか、ふと気になった。

とりあえずなんか会話しとけの精神で臼井さんに小島について尋ねてみた。

「臼井さん。さっき教室で小島…太っててメガネかけてて天パのやつみなかった?」

なんか臭そうなとも言おうとしたがさすがに酷いし臼井さんからの俺への評価も下がりそうだしやめといた。

「見てないよ、その人がどうかしたの?」

「いや、普段一緒に飯食べてるだけ。」

「そっか、それだけ?」

それだけというかオタク仲間というか

「まあ趣味も会うから一緒にいるみたいな。」

「へぇ〜、何が好きなの?」

言う訳には行かない。

ここでん〜おっぱいのおっきい女の子がいっぱい出てくるアニメ〜なんて言ってしまった日には臼井さんと二度と話せなくなる。おっぱいがいっぱい。

「小説とかをちょっとね。」

ライトノベルも小説みたいなもんだし嘘は言ってないってことにしておいてくれ。

「そうなんだ、どんな本がオススメなの?」

くっ!言っても分かんねえし言わなくても感じ悪いしどうしろってんだ。

「あー、天気の○とか?」

なんか大衆受けしたやつでも言っとけ

「面白いよね、私も読んだよ。」

どうやら読んでいたらしい。

もうお互い気づけばご飯は食べ終わっていた。

ついさっきまで感じていた、恥ずかしさと気まずさはいつの間にか消えていた。

彼女は近寄り難い雰囲気を持っていながらも喋ってみると意外と大丈夫。

もう少し会話をしたいなと思ったところで

予鈴のチャイムがなってしまった。

「鳴っちゃったね、戻ろっか。」

臼井さんはそう言うとトレイをもち席を立った。

俺もその後ろ姿を追い、同じように席を立つ。

あれ?このまま俺と臼井さんが一緒に教室入ったらなんか言われんじゃね?

そう思い、俺はなにか途中離脱する方法を探す。

あれだ、トイレだ。

「ごめん、トイレ行ってから戻るから先行っといて。」

「うん、分かった、それじゃあありがとね」

そう律儀に礼を言って去っていった彼女を見ながら改めて彼女の人間の良さを認識し俺は行きたくもないトイレに行った。

そこからの午後の授業は特別になにかがあるという訳でもなく、あっという間に放課後となっていた。

さっさと帰ってゲームでもしよう、そう思いカバンを手に取り帰ろうとした所で悪魔(先生)の声が聞こえてきた。

「流水おる?」

「いません、流水は帰りました。」

「おるやんけ。」

そう言い先生は手に持っていた本で俺の頭を殴った。痛い!そんなことするから結婚できねえんだよ!顔もそこそこ良いしおっぱいもあるのに!

「よし、殺す。」

なんで心読めんのこの人覇気使い?

「なんの用すか、音無(おとなし)先生。」

「お前だけ再テスト受けてないんだよ。」

「大変っすね、先生、それじゃ」

「帰ろうとするなクソガキ」

教師の言葉とは思えないような悪態をつかれたぴえん。

しかしこうなってはもう逃げられない、大人しく受けて帰るか、音無だけに……

先生がなぜか冷めた目でこっちを見てくるが気には止めない。

教室にカバンを置いて筆箱と単語帳をもち職員室へと向かった。勇者の1歩だ。

速攻で再テストを終わらせた俺は教室にカバンを取りに行く。

どうやらまだ教室は空いているらしい。

ドアを開き自分の席の方へ行こうとしたところで小島がいることに気がついた。

「おまたせ、まった?」

とふざけながら小島に聞く。

小島は何も言わず俺の方へと近づいてくるなんか言えよ滑ったみたいじゃん。

ふと小島の方に振り返ると小島は右手に刃物のようなガラスの破片のような物を持っていることに気がついた。

「おい、何持ってんだよ、怒ってんのか?」

やだこの子怖いわ。

小島は黙々とこちらの方へと歩みを寄せてくる。

しかしその刃物で何かをするつもりはないだろうと安心しきっている俺は小島に対して恐怖はない。

しかし、その瞬間に小島はそれを振り上げ俺を刺そうとしてきた。

体が固まり思考が停止し、何が起こっているのか微塵も理解できないまま俺の生涯は閉じようとしている。

スローモーションのように彼の振り下ろされていく右手に集中している。

そして、刃物が俺に刺さるその瞬間視界の端からなにか冷たい色をした、氷のような物が飛び出して来た。それは小島の脇腹に当たると小島は吹き飛んだ。どうした派手にすっ転んだのかよ。

それにより魔法のように固まっていた俺の体は動きを再開した。

急いで小島から離れ、俺を救ってくれた方向をみる。そこに居たのはおそらく今日1番見た姿。

「大丈夫、樹くん。」

1度見たら忘れることなんてできない。

臼井柚葉だった。












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