隣の席の友達とはだいたいすぐ話さなくなる
俺と小島は話しながらそしておそらくお互いオタク特有の転校生への夢を見ながら我らが教室……2年4組の元へと向かった。
うちの学校はA組とかじゃないんだよね。
教室のドアを開けるとそこにはさきほども会った青陽さんが日直日誌を早くも書き始めていた。
ずっと青陽さんのことを追いかける自分に多少なりの気持ち悪さを感じながら自分の席に着いた。
小島と話しても良かったけどあいつはどうやらトイレに行ったらしい。
というわけで俺はぼっち奥義実はバッチリ起きているけど寝てるから話しかけないでね戦法を使った。
そんなくだらないことやあんなことを考えていたら、チャイムが鳴った。
ここで起きる時のコツはあくまでいままで寝ていましたよという感じを出すところだ。
というわけで俺はチャイムが終わりかけのところで辺りを見渡しながらあれ?チャイム鳴ったのこれ?みたいな空気を出しながら起き上がった。
でもこれだれも見てないんだよなぁ るすを
さあ、はやくこい先生、俺の中で美少女と噂の転校生(仮)をつれてな……!
クックック今から会えると思うと楽しみだぜ!
……1人でこれやるの悲しいね。
てか美少女って決まったわけじゃないしそもそも女の子とも限らないしどうしようめちゃくちゃ不良だったらいじめられちゃう。
「青陽挨拶してー」
おっとそんなこと言ってると先生様のお出ましだ
さあ見せてくれ新型のモビルスーツの性能ってやつをな!
なんてどこかテンションがおかしくなってしまった俺は廊下を見る。
シルエットしか分からないがどうやら女の子なのは確実のようだ。長い髪を風になびかせながら左右に揺れている。
「それと今日から転校生がきまーす。」
先生の話を聞いていなかったが転校生というワードを聞き、耳の意識が先生の方へと行く。
色んなところから様々な声が聞こえる。
こんな時期にだとか女子?だとか色々。
「入ってきて〜」と先生が言う。
そこから一瞬間を置き、教室のドアが開く。
数秒前まで騒がしかった部屋は彼女の華麗という言葉が最も似合う黒髪に呑み込まれていく。
上靴での不格好な足音だけが耳の中へと響き渡る。
とても黒髪の持ち主が出している音とは思えない。
場違いなような感覚に陥る。
凛とした日本の美女、という感じだろうか。
どこかもの寂しげなような憂いているような儚げな表情は部屋のもの全員の視線を黒髪からその整った顔へと移す。
そこから彼女は立ち止まり、間を取り声を少しだけ、遠慮するように、しかしそれでもはっきりと聞き取れる声量で出した。
「臼井柚葉です。よろしくお願いします。」
十二分なのだ。彼女を紹介するには、喋りすぎなくらいだ。なぜかそう思った。
ほんの少しの間があいてから拍手がおこった。
特に男子共の拍手がうるさい。チンパンジーのお人形かてめえらはよぉ
あ、俺もだったわ。
「席は〜齋藤の横だ」
あ、俺の前じゃんやっためっちゃ嬉しい。
これはワンチャンないかな?ないです。
それからホームルームが終わりクラスの大半というか陽キャ共は臼井さんの方へと行った。
質問攻めにあっている。
どこから来たの?前の学校は?彼氏は?
そんなくだらないことを聞かれ少し困惑したような表情をしている。これも転校生の宿命だ……ドンマイ。
しかし孤高の狼であるこの俺は近づかなかったあえてだよ、あえて君子危うきに近寄らずだよ。
小島に転校生の感想を聞こうと小島の方へと向かった。
「おーい戸島」
彼からきた返事は無視だった、彼のお得意の小島だよ!がなかったことに寂しさを感じるって言うこともないけどもう一度彼を呼ぶ
「小島ぁ!」
あ、想像以上に声がおっきかった、陰キャあるあるだよね(笑)
とか思ってたらクラスの奴らがこっちみてるんだけど死んだわ俺、どんな声出してたんだよ
「あぁどした」
「トイレ行こうぜ」
本当はトイレなんてどうでもいいけどちょっと気まずいからね早く教室から出たいの
「1人で行ってこいよ……」
小島はどこか無機質な冷たいような、声で返事をする。
元気がないのだろうか。普段はこんなことを言うやつじゃないんだけ……いや、言うわめっちゃ言うわ。
まあ触らぬ小島になんとやらだし1人で行きたくもないトイレにでも行くか。
少し自分でもドライだなと思ったけどこれが都会の乾いた風によって擦れたシティーボーイなんだよ。
そうしてトイレから戻ってきた俺は授業の準備を始める、きっと今日もいつもの日常が待っている。いや、少し違うかもだけど、違うといいなぁ。
どうも2話目で初めまして盆と申します。
本当はところどころくそ寒ギャグをはさみたいんだけど臼井さんが来たとこだけギャグが無くなっちゃったよ。なんかそこだけ真面目な感じになっちゃったけど、基本的に八割型ぐらいボケようと思ってるからシリアスなのはあるけどどっか抜けてるよ。
あと流水くんの名前はう○ちしてる時に水を流して思いついた。