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もう、語られる事がない怪談。  作者: アマチュアーン
3/4

二つの地蔵様。(友人の話)

 

 これは友人から聞いた話です。


 仮に「二つの地蔵様」と銘打ちます。


 阿蘓大橋。通称赤橋。


 自殺の名所と言うのは、事実なようです。


 私は、昔行ったきりで、良く知りませんが、友人の話を一言で表すと。

 「要塞」

 だそうです。


 欄干の外側に更に高い欄干を重ね。

 上部は有刺鉄線でガード。

 橋の下には、落下防止ネットを何重にも、張り巡らせていたようです。

 

 消防団等の地元の自治会も見廻りをしていたとか、していないとか。


 更に、赤は人を誘う事で、緑に塗り替えてますから「要塞陸橋」ですね。


 風光明媚より質実剛健の方が、良く合うと言ってました。


 さて、これはそんな友人から聞いた話です。



 赤橋には、二つの地蔵様が祀ってあったそうです。


 橋の上には「待て待て地蔵」橋の下には「来い来い地蔵」と言っていました。


 「待て待て地蔵」は自殺を引き留める。

 「来い来い地蔵」は人を引き摺り込む。


 そして、その二体の地蔵は、互いに力比べをしているようで、一定周期で力関係が変わると、言ってました。

 

 「待て待て地蔵」の力が強い時は安心だが。

 「来い来い地蔵」の力が強い時は、絶対に夜は近付くな。

 もし近付いても、絶対に車から降りたりせずに走り抜けろ。


 もし捕まったら必ず引っ張られる。

 仮にその場は踏み留まっても、必ず引っ張られる。

 だから夜の赤橋には近付くな。 

 

 と真剣な表情で言ってました。


 私は、興味本位で「どうやって判断する?」と訊ねると、友人はため息混じりで、


 「朝、人が落ちてるか。網に引っ掛かっていれば始まり」


 と言ったのは印象的でした。


 確かに、3メートル以上の欄干を登り、有刺鉄線の痛みに耐えて、飛び降りる。

 更に、網に引っ掛かると、そこから這い出てまた飛び降りる。

 

 心身衰弱した人間に、果たして可能でしょうか?


 はっきり言いますと、自殺するなら赤橋でなくとも、別の橋の方が楽です。

 大幹の大樹も沢山あります。


 少し大分方面に行くと、ホームセンターもあります。


 事故にしてもそうです。

 赤橋は直線で、距離も其ほど長くありません。

 しかし、事故が多いとも言っていました。

 それも何故か、橋の中間地点で欄干に真正面から突っ込む事故が多いとも、聞きました。


「赤橋は人を引き摺り込む」


 そんな魔性があったのかもしれません。

 

 

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