目覚め
目を開くとそこは広大な高原だった。
激しい頭痛に襲われながら、俺はゆっくりと歩みを進める。
どのくらい歩いたことだろうか。
気が着くと目の前に巨大な門がそびえ立っていた。
見上げるほど大きな門。
その時の僕は何故だか、その門に触れようとしていた。
その時だったーーーー
「その門を通れば後には引けないよ?」
背後から聞こえた声。
振り向くとそこには、人がいた。
僕にはその人の顔が認識できず、不思議なことにその人は、
男のような、女のような。
老人のような、若者のような。
子供のような、大人のような。
そんな風に見えるのだ。
僕は身震いしていた。それもそのはず、僕は今この瞬間、未知の場所で、得体の知れない人物と今まさに会話をしようとしているのだ。
だが、僕には聞かなければいけない。
ここがどこで、何故僕がここにいるのかを。
だが、まずその前に、この人物に聞くことがある。
「あなたは、誰なんだ?」
その人物は、少し考える様子で、俯くと、数秒後に顔上げ語る。
「そうだな。君たちの世界で言うところの、神さまとも言うべきかな」
僕は、唖然とした。
それも、「神さま?」と、聞き返すほどに。
いわゆる、神さまとは、ゲームやアニメに出てくる、あの神さまである。そんな非現実的な言葉に動揺が隠せずにもいたが、反面、少しだが、その人物=神さまの存在に僕は納得すらしていた。
それもそのはず、知らない場所に、巨大な門。
それを目の当たりにした僕は、顔の認識できない人物が神さまと名乗っていたとしても納得してしまう。
その矢先、「神さま?」と聞き返した僕に、神さまは、慌てて訂正した。
「私は、君が思っている神さまとは少し違うかな。
世界を創った者。いわば創造神は別にいる。僕はその創造神の使いみたいな者だよ。
私ができる事と言えば、数多の世界を見ること。そして、世界の崩壊を防ぐこと。
君の世界のようにね。」
神さまだの創造神だの。
僕の頭はすでに容量を越えようとしていた。
頭を抑え、一度冷静になった僕は、神さまのある一言を思い出す。
「いま、なんて言った?」
僕は恐る恐る聞き返した。
「私ができる事と言えば、数多の世界を見ること。そして、世界の崩壊を防ぐこと。のところかな?」
神さまは、少し惚けた顔で言うが、その顔に僕は腹が立ち、声を荒げて、掴みかかった。
「違う!そこじゃない!あんたは今、世界の崩壊が、俺の世界が壊れたと・・・」
少しの沈黙の後、神さまは淡々と答える。
「その通りだ。。」
その目は、どこか冷たく。哀れむように、僕を見下ろす。