新人潰しのザコ役三人
ハエルはギルドの扉を開ける。現場に着く間に何度も妻と息子の言葉が頭の中に流れていた。
ギルド内はガヤガヤしていてすでに他の役の人たちは集まっていた。
「どうしたハエル。暗い顔してるな。」
声をかけてきたのはハエルの仕事仲間のキースだった。
「ちょっとな。妻に仕事の心配されてな。」
「あぁ、俺たちが休暇中だった間仕事に入ってた新人のマルコの事があるからな。」
「内の妻にも泣かれたよ。普段はあんなに気が強いのになぁ。」
そういうのはザムだ。
ハエルはマルコとザムとおんなじ役割なので3人で入り口に近い席に着く。
「結婚が羨ましかったけど、それはキツイなぁ」
マルコが言ったすぐ後にギルドの扉がひらかれ、屈強そうなおやじが入ってきて声をあげる。
「さぁ、お前たち仕事の時間だ!もうすぐ新人がくるぞ!!しっかりやれよ!」
その言葉と共にギルド内の人々は自分の役の最期の確認をしてきを引き締め直す。
「言っててもしかねぇ。さぁ無事に家に帰ろうぜ。」
ザムがいうとマルコとハエルは役に入り込み、ゲスな笑い声をあげながら酒に手を伸ばした。
扉が開く。入ってきたのは若く、細めのイケメンである。
見るからに場違いで弱そうだ。
ザムは立ち上がりその新顔の前にたつ。
上から下を舐めるようにみたあとに、馬鹿にしたような声で
「おいおい、みなぁ顔だな。冒険者のメダルをかけてないってことは依頼者か?まさか、冒険者になりにきたってわけじゃねぇだろうな。」
新顔はこれ見よがしにため息をついて
「冒険者になりにきたんだ。道をあけてくれ。」
といった。その言葉を引き金に
マルコとザムとハエルは笑い、ハエルが言う。
「おいおい、おめぇみてぇなやつはすぐ死ぬぜ。その装備はパパに買ってもらったのか?死にたくなかったら今すぐママのとこかえっておっぱい吸ってな!」
そういうと、ギルド内が笑いに包まれる。
新顔はそれをうけ
「ザコたちはだまってろよ。」
といってザムを押す。
「いってぇな。てめぇ、ばかにしてるんじゃねぇぞ。」
ザムが新顔の胸ぐらをつかんだところで、新顔の後ろにいるティファに、今気付いたような顔をしてしゃべりかける。
ティファは第1のハーレム要因役だ。
「おいおい、にいちゃん、いい女連れたんじゃねぇか。痛い目会いたくなきゃその女ここにおいてきな。お嬢ちゃんも俺たちの方がいいにきまってるしな。」
「たしかにそうだな!なぁ、お嬢ちゃん。いいことしようぜー」
ハエルがそれに乗っかり立ち上がる。
マルコもゲラゲラ笑いながら立ち上がり。3人で新顔を囲む。
「はぁ、仕方ないな。このザコどもに格の違いを見せつけてやるか。」
そういって新顔はにやけ顔でザムを投げ飛ばす。
ハエルはてめぇといいながら胸ぐらをつかんだ。
おどろくほど無駄が多いパンチをハエルはワザと食らうい気絶したように見せかける。
マルコがビクビクする演技をしたあと、新顔の
「まだやるのか?」
の声に弾かれたかのように、マルコとザムはハエルを担いでギルドをでていく。
この時にザムは
「覚えていやがれ!」
と、アドリブをつけた。
3人の1番最初の仕事は無事終わった。
まだ、この3人の仕事は残ってます。
妻子持ちは大変そうですなー