女神様役ティアの場合
「あのぉ、神様?どれだけこの椅子座ってればいいの?おそくない?来るの。もうお尻がいたいよ」
ティアは何故これでバランスが取れているんだろうというくらい背もたれが長く伸び、むだに高級感を出すために宝石店が散りばめられた大理石のような硬い椅子に座っていた。
かれこれ1時間は立つのではないだろうか。
----いやぁ、ごめんごめん。なんかお客さんあるくのとても遅いのよ。なんか決意できてないのかな?----
どこからともなく聞こえてくる声はとてもやさしく、聞き心地のよいものだった。
----あっ、飛んだって!記憶はコンビニに行く途中にトラックに轢かれたって事にしておくから、下手なこと言わないようによろしくね!----
(自分は女神様。自分は女神様)
そう自分に言い聞かし、ティアは役になりきる。
そして、優しく、さっきの神様の声を意識して
語りかける。
「あなたは死にました___」
「キモいキモいキモいキモいキモい!」
ティアはジョッキに並々に注がれたビールを一気に煽り、一通りなどに流し込んだあと叫んだ。
「あいつ、ずっとニタニタわらってんのよ。もうなに考えてるかまるわかりよ!挙げ句の果てには私のこともエロい目でみてるのよ!?」
「あなたはいいじゃない、これからあんまり関わることないんだし。仕事の半分はもうおわりでしょ?わたしはハーレム要因なのよ?!」
そう言うのはティアの飲み友達のヴァニラだ。
プラチナの髪にちょこんと猫耳がついており、目は少し吊り上っている、いわゆる猫目である。
しかしその顔は美しくてキツイ顔であるが、猫耳だけに可愛らしく見える。
感情と猫耳が連動しているようで耳がぐっと立っている。
ティアはいつもその耳をもふもふしたいと思っているが、それを言うとヴァニラは怒るのでぐっと我慢する。
「いいじゃない、ヴァニラ達は転生後のイケメンになってからのお客さんの相手だから。でも、言っても仕方ないわね。どっちも大変であることに変わりないし。」
そうねぇとヴァニラが同意し2人でうなだれる。
「それにしても、忙しいくなるからまた、一緒に飲めなくなるね。」
ティアは寂しそうにつぶやく
「まぁ、まだまだここには来なさそうだけどね。はじめの町から程遠いし、私は4番目のハーレム要因だし。」
ヴァニラは慰めるようにティアに言った。
「でも、早めに切り上げないとバッティングしたらまずいし」
ティアは項垂れながら言う。
「そりゃ、立ち寄った飲み屋で女神様が酒に溺れてたらびっくりするだろうしね」
ヴァニラはクスクスと笑いながら言う
それにつられてティアも笑った。
ひとしきり笑ったあと2人はまた項垂れた。
筆者、非モテですから女性の気持ちはわかりません。
仕事あとのビールが格別なのはみんな一緒だと思いたい