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第9話「戦闘」

 サジタリウスの攻撃により、怪人の拠点は吹き飛んだ。

 これでミッションクリア……とはいかず、例の怪人を生み出す装置を探さなければならない。

 放置していては、いずれ大きな脅威となって魔法少女達の前に現れるかもしれないのだ。確実に研究データ諸共破壊する必要がある。


「……何だ、まだたくさん生き残りがいるじゃん」


 拠点跡に近づいたところで、キャンサーが呟いた。

 彼女の言う通り、怪人達が瓦礫と化した拠点の下から這い出てくる。

 数にして約十体ほどだろうか。

 一度にこれほどの数の怪人と遭遇するのは、キャンサーにとって初めての経験だった。


「見ろ! あれは魔法少女達だ!!」

「施設を滅茶苦茶にしたのは彼奴らの仕業か!?」

「舐めやがって!! 全員で行くぞ、魔法少女の首を取るんだぁ!!」


 怪人達は、この騒動のせいで血の気が増しているようだ。

 魔法少女達を見つけるや否や、我先にと突っ込んでいく。


「へっ! おもしれー、 相手になってやるぜ!!」

「ミヤコも全力でイクっすよー!!」

「せっかく殺し合うのだし、すぐには死なないでほしいわね」

「うーん、お手柔らかにお願いします」

「じゃ、サッサと片付けちゃいますか」


 五人の少女が前に出る。

 レオ、カプリコーン、スコーピオン、ヴェルゴ、キャンサーは、迫り来る怪人達に立ち向かう。

 怪人を相手に驕りはない。五人は渾身の一撃を叩き込もうと身構えた。

 魔法少女と怪人、二つの勢力がぶつかり合う。

 そして、

 レオの強靭な鉤爪が、

 カプリコーンの巨大な角笛が、

 スコーピオンの尻尾の毒針が、

 ヴェルゴの神速の掌打が、

 キャンサーの最強のハサミが、




 怪人共の肉体を一撃で吹き飛ばした。




「な、ななななな!!?!」


 後ろで見ていた別の怪人が驚愕する。

 まさかの一撃。

 研究によって大量生産された怪人五体は、魔法少女五人の技によって呆気なく敗れてしまった。

 これを目撃した怪人達は、一斉に怖気づいてしまう。

 しかし、このままでは自分もヤラレてしまうと思ったのだろう。怪人達は、魔法少女達に攻撃を仕掛けようとする。

 が、


「ぐっ!? な、なんだ……急に力が……」

「ね、眠く……」


 バタリバタリと、二体の怪人が倒れる。

 魔法少女アリエスの能力だ。自身の力で怪人を眠りにつかせた。


「スヤ〜……」

「って、寝るのはまだよ!」


 リーブラは、仕事を終え眠りそうになっているアリエスのほっぺを摘んだ。

「痛い痛い!」と叫ぶアリエスを無視して、リーブラは前の五人に声を掛ける。


「あと三体よー! その調子でまとめてやっちゃってー!」


 《The 他力本願☆タイム》に入ったリーブラは、ドッコイセ〜とちょうどいい大きさの岩に座ってアリエスのほっぺを触り遊んでいる。

 元々リーブラは、戦闘に適した能力を持っていないので、前線に出るのは逆に邪魔になるだけだ。

 それはわかってはいるのだが、他の魔法少女にしてみればそんなリーブラに思うところがあるのだった。


「とりあえずあの子は後で説教するとして、最後の二体も手早く片付けよう」

「クソッ! このままで引き下がれるか!!」

「切り札を使うぞ! 覚悟しろお前らぁ!!」


 二体の怪人は、それぞれ薬を取り出してそれを呷った。

 魔薬マッドネスだ。

 薬を飲んだ怪人達はみるみる大きくなり、あっという間に巨木程のサイズまで成長した。


『フワァッハッハッハッハ!! 力が漲ってくるぞ!!』

『これで魔法少女を一網打尽に……』


 しかし、




「ライオンハーツ!!」

「ホーンクラッシュ!!」

「超猛毒針!!」

「ジャスティスノック!!」

「グラビトンハンマー!!」




 魔法少女達の奥義が怪人の体に直撃する。

 強大過ぎる攻撃を一度に受けた怪人は、抵抗する暇もなく一瞬で爆散した。


「うわ、容赦ないわねー」

「スヤ〜……」


 仲間の徹底した攻撃の嵐に、リーブラは少し引いていた。


「ば、バケモノだぁーーー!!」


 一方で、一人残された怪人は、仲間の惨状を見て一目散に逃げ出していた。

 怪人は、身を隠せそうな森の奥へ走る。

 しかし魔法少女達は、何故か怪人を追いかけようとはしなかった。

 いや、一人だけ後を追っている人物がいた。


「……………………」


 魔法少女ピスケス。

 無口無表情の少女は、空中を『泳いでいた』。

 あらゆる場所で水泳が出来るというピスケスは、回遊魚の如きスピードで怪人の前に回り込む。


「なっ!?」


 そしてピスケスは、スゥ〜っと息を吸い込む、怪人に向かって口からプッと何かを吐き出した。

 銃弾のように吐き出されたその何かは、怪人の額を貫く。

 ぐらっと倒れる怪人。

 怪人は、震える体でピスケスに視線を動かした。


「い、一体何を……」

「……………………ただの、水鉄砲」


 ピスケスは、そっと答える。

 口から放たれたのはただの水。

 ピスケスは、それを凄まじい速度で怪人にぶつけただけだった。


「た、ただの水……だと? バカ……なぁ…………」


 それだけ口にして、怪人は死亡する。

 こうして、最後の一体が倒された。

 魔法少女達から勝どきの声を上がる。


「よっしゃー! 今日も俺達の勝ちだぁ!!」

「イッエーーーイ!!

「い、いえーい……!」

「こんなものかしら。思ったより歯ごたえなかったわねぇ、残念」

「貴女はいつもそれだよね。バトるなら一人でやってよ」


 それぞれが思い思いに口にした。

 念のために、もう一度拠点周りを確認してみるが、生体反応は無し。本当に誰も居ないようだ。

 これで今回のミッション。拠点の破壊に続き、研究データと装置の破壊も実行できる。

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