第三回 よもぎ子 VS まとら (1)
カードを切り、5枚引く。最初の手札やいかに。
C白い霧【攻撃魔法】対象にマヒの状態異常を与える。
C癒しの光【防御魔法】対象のHPを2点回復する。
Cターンストップ【防御魔法】3ターンの間、どちらかの場のターン開始時のローテーションを無効化する。
B馬車【通常アイテム】どちらかの場をひとつローテーションさせる。
B鋼の盾【装備アイテム】装備者のDF+1
(悪くはない……よな?使えないカードとか無いし)
妨害、回復、ローテーション操作と、序盤から手が広そうではある。
「これ、いきなりAばっかりとか引いたら大変だよなー」
「ゲームによっては、引き直しがアリのものもあるよ」
「へぇ~」
サブカードを確認したら、次はメインカードの陣形を整える。
C戦士 HP:5 AT:2【追撃(前)】通常攻撃を加えた相手に、1点の特殊ダメージを与える。
C僧侶 HP:4 AT:1【防魔+1(後)】1ターンの間、防御魔法の使用回数を1つ増やす。
C魔法使い HP:3 AT:2【攻魔+1(後)】1ターンの間、攻撃魔法の使用回数をひとつ増やす。
(え~と、確か先攻は通常攻撃ができないんだよな……)
前衛を任せられそうなカードはC戦士くらいだが、せっかくの高い攻撃力を生かせずに後衛に回ってしまうのでは、あまりに惜しい。
(ターンストップ……これは、次の手番も同じ陣形って意味でいいんだよな?じゃあやっぱり、この陣形でいくか)
「おたがい準備は整ったみたいだね。いざ、メインカードオープン!」
1ターン目、先攻よもぎ子の手番。
先攻:よもぎ子
前衛 HP:4/4 AT:1 C僧侶【防魔+1(後)】
後左 HP:5/5 AT:2 C戦士【追撃(前)】
後右 HP:3/3 AT:2 C魔法使い【攻魔+1(後)】
手札:B馬車 B鋼の盾 C白い霧 C癒しの光 Cターンストップ
山札MC:3 山札SC:19
後攻:まとら
前衛 HP:5/5 AT:1 C調合士【合成+1(後)】
後左 HP:3/3 AT:2 C泥棒【妨害(後)】
後右 HP:4/4 AT:1 C店番【アイテム+1(後)】
手札:5枚
山札MC:3 山札SC:19
「あ!魔法使いだ!魔法使いがいる!」
「合成ってなんだ??ていうか、泥棒と店番が並んでるってどうなの」
よもぎ子は、通常攻撃のできない最初のターンを一番ATの低いC僧侶に任せ、次の手番で前衛に出したC戦士をCターンストップで居座らせよう、という作戦のようだ。
前衛に居座ればその分、攻撃を多く受けることになるが、高いHPと手札の回復魔法でカバーできるであろう。
一方のまとらは、アイテムを駆使して戦うようだ。
「いいな~魔法使い。わたしも魔法使いたいなー」
「それより合成ってなに」
「え?そっちにも入ってたでしょ、これ」
まとらが見せてきたペラ紙には、『合成効果一覧表』と書かれていた。
よもぎ子は箱の中を確認してみるが、そんなものは1枚も入っていない。
「入れ忘れかな?あとでコピーしてあげるよ」
「うん……」
合成効果はアイテム2枚と【合成(後)】のスキルを使用することで得られるようだ。
現時点のよもぎ子のデッキでは使用することはできないが、相手が使用してくる可能性がある以上、知っていると知らないとでは天と地の差がある。入れ忘れ許すまじ。
……改めて、相手の場のメインカードを確認する。
C調合士 HP:5 AT:1【合成+1(後)】1ターンの間、一度だけアイテムの合成効果を得ることができる。
C泥棒 HP:3 AT:2【妨害(後)】2ターンの間、このカードが後衛にいるときのみ相手のアイテム使用回数をひとつ減らす。
C店番 HP:4 AT:1【アイテム+1(後)】1ターンの間、アイテムの使用回数をひとつ増やす。
どれも後衛スキルを持っているためか、能力値は低めだ。前衛での怖さは感じない。
しかしアイテムの使用回数を増やせないよもぎ子にとって、C泥棒のスキルはなかなかに厄介そうだ。
「よし、じゃあいくぞ。えーと、C白い霧でC店番を攻撃、アイテム+1を封じる。これでターン終了な」
C白い霧を店番の横に置き、ターン経過を表すカウンターを乗せる。
「うわ!いきなり状態異常とか、性格悪いな~」
「なんだよー」
「じょーだん!次はわたしの番だね」
2ターン目、後攻まとらの手番。
先攻:よもぎ子
前衛 HP:4/4 AT:1 C僧侶【防魔+1(後)】
後左 HP:5/5 AT:2 C戦士【追撃(前)】
後右 HP:3/3 AT:2 C魔法使い【攻魔+1(後)】
手札:B馬車 B鋼の盾 C癒しの光 Cターンストップ
山札MC:3 山札SC:19
後攻:まとら
前衛 HP:5/5 AT:1 C調合士【合成+1(後)】
後左 HP:3/3 AT:2 C泥棒【妨害(後)】
後右 HP:4/4 AT:1 C店番【アイテム+1(後)】マヒ
手札:5枚
山札MC:3 山札SC:19
「マヒくらっちゃったし、ここはこれかな。C鉄の剣をC調合士に装備!C僧侶を攻撃!」
C鉄の剣【装備アイテム】装備者のAT+1DF-1
C鉄の剣は、攻撃力が上がる代わりに防御力が下がるカードだ。次のターンの被ダメージを考えながら使いたい。
よもぎ子はダメカンを2つ手に取りC僧侶の上に置いた。
「ちがうちがう!」
「え、なに。え?え?」
何か間違えただろうか?言われたとおりにやっているはずなのだが……とよもぎ子は思った。
「攻撃を食らったら「くっ!」とか「ぐっ!」とか言わないと!カードゲームの作法だよ??」
そんな作法があるものか。素人だからと言って馬鹿にして。
しかし思い返してみると、弟が友達と遊んでいるときにそんな感じで叫んでいた気もする。
「じゃあ、もう一回いくよ。いい?」
「あ、ああ……うん」
ばかばかしいと思いつつも、一応つきあってみる。
「C調合士でC僧侶に攻撃!」
「くっ……!」
「おお~!上手い上手い」
「え、そう?」
よもぎ子はおだてに弱かった。
3ターン目、先攻よもぎ子の手番。
先攻:よもぎ子
前衛 HP:5/5 AT:2 C戦士【追撃(前)】
後左 HP:3/3 AT:2 C魔法使い【攻魔+1(後)】
後右 HP:2/4 AT:1 C僧侶【防魔+1(後)】
手札:B馬車 B鋼の盾 C癒しの光 Cターンストップ
山札MC:3 山札SC:19
後攻:まとら
前衛 HP:5/5 AT:2 DF:-1 C調合士【合成+1(後)】装:C鉄の剣
後左 HP:3/3 AT:2 C泥棒【妨害(後)】
後右 HP:4/4 AT:1 C店番【アイテム+1(後)】
手札:4枚
山札MC:3 山札SC:19
「手札が減ってるから、カードを1枚引くよ」
B守護の風【防御魔法】2ターンの間、どちらかの場すべてのMCのDF+1
(Bランクか……今は使えないけど、結構便利そうなカードだな。でも、後衛のDF上げる意味って何かあるのかな?)
とりあえず、当初の予定通り自分の場にCターンストップをかける。
「げ!C泥棒やられちゃうじゃん……Cランクでローテーション操作とかずるくない?」
「ずるくないない」
魔法は専用のスキルが必要な分、アイテムより効果が高めだったり低いランクで扱えたりするようだ。
よもぎ子はC戦士でC調合士に通常攻撃と追撃を加えてターンを終了した。
「くっ……!さすがC戦士、CランクでもトップクラスのHPを誇る(多分)C調合士をここまで削るとはね。でも、この残った1ポイントが、後によも!……あなたを苦しめることになるのよ」
ずいぶんと楽しそう。
(あそこまでノリノリでやる必要無いよな……)
4ターン目、後攻まとらの手番。
先攻:よもぎ子
前衛 HP:5/5 AT:2 C戦士【追撃(前)】
後左 HP:3/3 AT:2 C魔法使い【攻魔+1(後)】
後右 HP:2/4 AT:1 C僧侶【防魔+1(後)】
手札:B馬車 B鋼の盾 B守護の風 C癒しの光
山札MC:3 山札SC:18
ローテーション停止(2ターン経過)
後攻:まとら
前衛 HP:3/3 AT:2 C泥棒【妨害(後)】
後左 HP:4/4 AT:1 C店番【アイテム+1(後)】
後右 HP:1/5 AT:2 DF:-1 C調合士【合成+1(後)】装:鉄の剣
手札:4枚
山札MC:3 山札SC:19
「わたしのターン!ドロー!」
まとらは手札の中の1枚を右手に持つと、残りの手札とよもぎ子の場を交互に見やった。
「C説明書を使いB営業妨害を使用!よもぎ子の手札から1枚捨てる!」
「え?なに?ちょっと待って」
よもぎ子はカードの確認を求める。よかろうとばかりにまとらはカードをずいと差し出す。
C説明書【通常アイテム】1ターンの間、Bランクの通常アイテムを使用できる。
B営業妨害【通常アイテム】相手の手札を1枚選んで捨てる。このカードで相手の手札を覗くことはできない。
「……。序盤に引いてよかったね」
「わたしもそう思う」
よもぎ子は、引いたばかりのB守護の風を捨てられてしまった。
その後まとらはC泥棒でC戦士に攻撃してターンを終了した。
5ターン目、先攻よもぎ子の手番。
先攻:よもぎ子
前衛 HP:3/5 AT:2 C戦士【追撃(前)】
後左 HP:3/3 AT:2 C魔法使い【攻魔+1(後)】
後右 HP:2/4 AT:1 C僧侶【防魔+1(後)】
手札:B馬車 B鋼の盾 C癒しの光
山札MC:3 山札SC:18
後攻:まとら
前衛 HP:3/3 AT:2 C泥棒【妨害(後)】
後左 HP:4/4 AT:1 C店番【アイテム+1(後)】
後右 HP:1/5 AT:2 DF:-1 C調合士【合成+1(後)】装:C鉄の剣
手札:3枚
山札MC:3 山札SC:18
「カード捨てられちゃったけど、その分も引けるからあんまり損した気分は無いなー」
「テキストを見た感じ、相手の手札を見れるカードなんかがあるのかもね」
「なるほど」
確かにそれなら効果的にカードを捨てられそうだ。
しかしアイテム使用回数制限のある中で、そのコンボを決める手間に見合った結果が得られるのかどうか。
新たに引いたカードは次の通り。
C爆薬【通常アイテム】対象に1点の特殊ダメージを与える。
A力の壁【防御魔法】2ターンの間、前衛が受ける物理ダメージをすべて無効化する。
(お!これは……)
「まずC癒しの光でC戦士を回復!そしてC戦士でC泥棒を攻撃、撃破!」
「ううっ……でもまあ、これはしょうがない」
まとらはC泥棒の代わりにB商人を場に出した。
「さらにC爆弾でC調合士を攻撃、撃破!ターン終了!」
「げ!1ターンに2体も!1ターンに2体もやられた!」
残った1ポイントがどうのこうのとは何だったのか。C調合士は捨て場に置かれ、B錬金術師が場に姿を現した。
よもぎ子は新たに場に出たMCを確認する。
B商人 HP:6 AT:2
【アイテム+2(後)】1ターンの間、アイテムの使用回数をふたつ増やす。
B錬金術師 HP:7 AT:2
【合成+1(後)】1ターンの間、一度だけアイテムの合成効果を得ることができる。
【アイテム+1(後)】1ターンの間、アイテムの使用回数をひとつ増やす。
B商人はC店番をそのまま強くした感じのカードだ。
このカードが後衛にいるだけでアイテムが3枚も使えるため、多少の妨害は苦にもならない。
一方のB錬金術師はC調合士とC店番を合わせたようなカードで、このカードひとつで合成効果が得られるのは大きい。HPがB商人より1多いのも嬉しい。
(泥棒の代わりみたいな【妨害】持ちはいないみたいだな……それにしても)
「アイテム使いたい放題じゃん!いいなー」
6ターン目、後攻まとらの手番。
先攻:よもぎ子
前衛 HP:5/5 AT:2 C戦士【追撃(前)】
後左 HP:3/3 AT:2 C魔法使い【攻魔+1(後)】
後右 HP:2/4 AT:1 C僧侶【防魔+1(後)】
手札:A力の壁 B馬車 B鋼の盾
山札MC:3 山札SC:16
後攻:まとら
前衛 HP:4/4 AT:1 C店番【アイテム+1(後)】
後左 HP:7/7 AT:2 B錬金術師【合成+1(後)】【アイテム+1(後)】
後右 HP:6/6 AT:2 B商人【アイテム+2(後)】
手札:3枚
山札MC:1 山札SC:18
「いきなり2体もやられちゃったけど、勝負はここからだよ!わたしのターン!ドロー!」
手札を見たまとらは、2枚を手に取りふふふと笑った。
「B錬金術師のスキルを使用して合成効果を発動!」
「おお!ついに!」
やられる側なのに、なぜかちょっと嬉しそうなよもぎ子。
まとらは、パシッとカードを場にたたきつける様に出した。
「C爆薬+C爆薬!よものMCすべてに1ダメージ!」
【C爆薬+C爆薬】どちらかの場のMCすべてに1点の特殊ダメージを与える。
「おお……全体攻撃になるのかぁ」
「さらにB痺れ薬でC僧侶をマヒさせ防御魔法+1を封じ、最後にB鋼の槍をC店番に装備してC戦士を攻撃!ターン終了!」
これで防御系のアイテムでも引かない限り、C魔法使いがB錬金術師に倒される可能性が高くなった。
B痺れ薬【通常アイテム】対象にマヒの状態異常効果を与える。
B鋼の槍【装備アイテム】装備者のAT+1
7ターン目、先攻よもぎ子の手番。
先攻:よもぎ子
前衛 HP:2/3 AT:2 C魔法使い【攻魔+1(後)】
後左 HP:1/4 AT:1 C僧侶【防魔+1(後)】
後右 HP:2/5 AT:2 C戦士【追撃(前)】
手札:A力の壁 B馬車 B鋼の盾
山札MC:3 山札SC:16
後攻:まとら
前衛 HP:4/4 AT:2 C店番【アイテム+1(後)】装:B鋼の槍
後左 HP:7/7 AT:2 B錬金術師【合成+1(後)】【アイテム+1(後)】
後右 HP:6/6 AT:2 B商人【アイテム+2(後)】
手札:1枚
山札MC:1 山札SC:16
「あたしのターン、ドロー!」
C火炎弾【攻撃魔法】対象に2点の魔法ダメージを与える。
B魔法の鏡【防御魔法】2ターンの間、魔法ダメージを一回だけ無効化する。
(むむむ……)
攻撃魔法を引いたもののC魔法使いが前衛に出ているので使うことができず、他のカードもBランクやAランクばかり。
よもぎ子はC魔法使いでC店番に攻撃してターンを終了した。
8ターン目、後攻まとらの手番。
先攻:よもぎ子
前衛 HP:2/3 AT:2 C魔法使い【攻魔+1(後)】
後左 HP:1/4 AT:1 C僧侶【防魔+1(後)】
後右 HP:2/5 AT:2 C戦士【追撃(前)】
手札:A力の壁 B馬車 B鋼の盾 B魔法の鏡 C火炎弾
山札MC:3 山札SC:14
後攻:まとら
前衛 HP:7/7 AT:2 B錬金術師【合成+1(後)】【アイテム+1(後)】
後左 HP:6/6 AT:2 B商人【アイテム+2(後)】
後右 HP:2/4 AT:2 C店番【アイテム+1(後)】装:B鋼の槍
手札:1枚
山札MC:1 山札SC:16
「わたしのターン!ドロー!」
まとらはうーんと唸りながら、B錬金術師でC魔法使いを倒した。
「とうとうやれちゃったか……」
よもぎ子は場に出すMCを選ぶ。
(どっちを先に出した方がいいかな?)
B重戦士 HP:7 AT:3
【追撃(前)】通常攻撃を加えた相手に、1点の特殊ダメージを与える。
【反撃(前)】通常攻撃を受けた相手に、1点の特殊ダメージを与える。
B賢者 HP:6 AT:2
【防御魔法+1(後)】1ターンの間、防御魔法の使用回数を1つ増やす。
【攻撃魔法+1(後)】1ターンの間、攻撃魔法の使用回数をひとつ増やす。
前衛と後衛、ハッキリと役割が分かれている。
(C戦士もC僧侶もすぐにやられそうだし、どっちでもそんなに変わんないかな……)
よもぎ子は、より手札を使えるB賢者を選んだ。
「そっちのMCって、なんか王道感あるよね」
「そうなの?」
ちょっと羨ましそうにまとらが見てくるが、特にファンタジーなどに縁のないよもぎ子にはよくわからなかった。
「うーん、B賢者かあ」
まとらは少しばかり考えたのち、特に何もせずターンを終了した。
いよいよ、これでお互いにBランクが場に出たことになり、戦いは後半戦へと向かう。




