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平凡高校生の退屈な夏休み

作者: 天条 光

 人生に於いて最高の時とはいつを示すか、それは夏休み(学生時代限定)だと俺ーー佐々木幸太郎は考えている。特に高校生の夏休みは格別。ある意味で夢と希望に満ち溢れている。本当ある意味でだ。

 高校生とは長い人生の中で最も至高な時である。理由は至極簡単。まず、金銭的な自立が出来るようになり、自分の好きな物を自由に買えるからである。 

 高校生からはアルバイト行為が可能になるため、自分自身の意向がお金の範囲内で可能になる。しかし、まぁ、それで羽目を外して犯罪行為を働くやからを生む原因にもなっているが・・・・。

 ともかく。

 高校生は人生最高の時である。大人のように時間を制限されるこもない。大人のように税金を払う必要のなく働け、おまけに法律上は未成年に分類されるため深夜無理やり働かされることもない(因みに、俺のバイト先の先輩は労基法無視の労働時間である・・・社会怖っ!)

 それに一部の選ばれし男子は幸福のひと時を過ごす。つまり・・・・リア充化するということ。

 まぁ、俺はその枠外の人間だからな。残念なことに・・・・。

 ともあれ。

 高校生は人生最上級のメインディツシュ(時間)である。 では、そんな最高の時を過ごすは何をしているかというと----


「くそ・・・・選択し一つ間違えただけでバットエンドってクソゲーかよ!! たくよ・・・これ値段と価値が釣り合ってなさすぎだろ・・・・」


 美少女ゲームに興じていた。


「幸次郎!! もう夜遅いんだから静かにして!! ご近所さんに迷惑だから」


 リビングでくつろいでいた母親がそう言ってきた。

 ーーーーそんな大声出してるあんたの方が近所迷惑だと思うが・・・・。

 内心で至極当然(俺の意見)を呟くが、これを口に出すと、「口答えするな!!」とか、「あんたがわるいからじゃない!!」とか言われて面倒になるからここは我慢しよう。

 

「ごめんごめん」

 

「まったく・・・・早く寝なさいよ」

 

「了解」   

 

短く素っ気なく答えると母親はリビングに戻っていった。すると馬鹿笑いが聞こえてくる。

ーーだから、近所迷惑じゃないんですか?

 と、俺は再び思った。だが、母親ーーもとい大人という存在自体がそうゆうものだから仕方ない。

 自分勝手、自己中心的という言葉がびったり合う。

 お金が無いと言っているくせに毎晩大量のお酒に浪費し、お金が無いというのに車を買え替えたり、自分の意見が取らないと不機嫌になる。まるで子供、幼児。俺が母親から学んだ唯一の教育ことである。

 まぁ、それはさて置き。

 今日買ってきたゲームが外れてしまった・・・・どうするべ?

 俺はやることを探すために部屋を見渡した。まず目に入ったのは・・・・宿・・・・何も見えません。

 いやいや、夏休み初日に化け物を討伐する必要はないだろ? まぁ、最初の頃に終わらせて夏休みを享受するのも選択しとしては一理あるが、やはり化け物(夏休みの宿題)は最終日決戦(一夜漬け)が醍醐味でし、しょ!? 動揺を隠せない俺であった。と、次々!!


「SPSと3SDか・・・・」

 

視線の先にはベットであり、その上に無造作に置かれた我が相棒の二機の姿が見えた。

 現代の技術結晶・・・・その名もゲーム機。 ・・・・カッコよく言ったはずなのに・・・・なぜだろうか・・・・非常に恥ずかしい。

 確かにゲームをやるというのは悪くない選択であるのだが、いかんせん今はその気分じゃない。

 

 さっきまでパソコンでゲームして嫌な思いしたしな・・・・それに今あるカセットは全てクリア済み。もし、プレイしても無意味に時間を浪費するだけで現状の解決は出来ない。

 現状の解決。つまり、暇な時間を”有意義”に使う方法である。だから、ゲームではいけない。なぜなら、有意義な時間に時間を使えないからである。間違えないで欲しいのだが、俺は暇つぶしの方法を詮索しているのでない・・・・そこは理解して頂きたい。

 と、誰に語り掛けるわけでもないのに注文を付けるまるで迷惑な客に落ちた俺はそこで一つの考えが浮かぶ。・・・・そうだ。SNSしよう。


「そうと決まればパソコンつけてーーネットに接続してーー後はログインするだけ!」


 (ログイン)と書かれたアイコンをクリックして、ネットの世界に意識を埋没させる。

  すると自分のアカウントが表示される。


「えーと・・・・お知らせと友達申請は・・・・ゼ、ゼロだと・・・・」


 画面を見つめながら絶望に顔を歪ませ、目の前の事実から逃避行動に出る。

 え~嘘でしょ!! だってだって地球人口の約半数が利用しているSNSというサービスなのに一人からも招待も、話しかけられてもないなんて。何より、運営からも見放されている事実・・・・。


「まぁ、たまたまだろ!!そうだよな!! そうだよ!! そうに決まってる!! じゃあ、気を取り直して自分から話しかけにいこう」

 

 ・・・・自分から話しかけにいかないと相手してくれないし。


「この人なら趣味合うし、性格良さそうだからこんな俺でも相手してくれるだろう」


 アカウントに書かれている内容を見つめながら、暗い部屋で一人呟いた。

 名前は、桐ケ谷 アスナ。某有名ライトノベルの登場人物の合成ネームだろう。

 歳は未記入のため分からないが、少なくとも10代のはずだ。その証拠にご丁寧に学生書がうつり込んでいる写真が公開されている・・・・個人情報ダダ漏れじゃねえか・・・・。

 その他には、自分の好きなアニメについて事細かに書かれており、そこからアニメ魂の深さが感じられた。間違いない。

 そうと決まれば行動するべし。思い立ったが吉日である。

 俺はキーボードを操作し、「初めまして。良かったらアニメについて語りませんか?」とまとも且つアニメ好きであることを伝える文章を入力。見直しをしてから書き込んだ。   


「まぁ、返信が来るまでしばらく休憩するか。そうだ・・・・夜空でも見て気分転換しよっと」


 パソコンの前から立ち上がり、傍にある窓を開ける。すると、生暖かい風が肌を撫で、部屋の中を漂い始める。 

 俺は視線を満天の星が輝くであろう夜空に向ける。案の定と言うべきか夜空には数えきれない程の星々が輝きを放ち、幻想的な風景を作り出していた。 

 --綺麗だ。まことに綺麗だ。穢れの無い純粋な輝きだ。

 と、ここでお気づきだとは思うが俺に関する事実を話そう。

 え? なんでこのタイミングかって? しいて言えば、気紛れだ。もっと正確に言えば、満天の夜空に輝く星々が自分と正反対で反抗心が沸き起こったから・・・だと思う。

 俺--佐々木幸太郎は友達がいません。ボッチです。

 それだけではない、俺は同級生からイジメられている。故に俺に近づいてくる心優しき人はおろか、そういう人も仲間に加わっている始末、まったく以て迷惑極まりない。

 原因としては、俺が通っている神風高校の有名人に恥を搔かせてしまったしまったことである。しかし、真実悪いのは九分九厘相手側である。廊下を走っていた相手は階段横から出てきた俺に激突し、腕の骨を折ってしまい、痛みで泣き叫んでしまったのである。これが女子であれば少しは罪悪感が生まれるが、残念ながら相手は屈強な体躯の男。俺が感じたのは”女々しい男”ただそれだけ。

 しかし、まぁ、相手が悪かった。

 それを目撃したファンは俺が一方的に悪いような情報工作を行い、学校中にばら撒いた。

 結果、俺は全校生徒の敵となり、陰湿なイジメに翻弄される日々を送る羽目になってしまってわけである。

 その影響で俺に近づいてくる人は居なくなり、俺は孤独な学校生活を過ごしている。  

 これを踏まえ一つ聞きたい・・・・人間は善であるか? 悪であるか? 

 俺は悪であると思う。どんな良識ある人間も誘惑に負け、悪事に手を染める。それは人間が根本的には悪であるからだ。ただ仮初の善の皮を被り擬態しているにすぎず、その皮の裏にはどす黒い悪が潜んでいる。  

 でなければ、俺を良識ある人がイジメる理由が説明、証明できない。それを性格だからと安易に論じてしまうのか? 俺はそれは間違っていると思う。

 おっと、熱弁を振るいすぎた。失礼失礼。

 そろそろ返信が来ているだろう、と俺は夜空を見ながら思い、窓を閉め、エアコンをつける。


「さてさて、どうかな? おっ、来てる来てる」


 パソコンの画面を持ち上げ、確認すると(メッセージ1)と表示されていた。

 中を開き内容を確認する。そこには・・・・。


「話しかけんな・・・クズ」


「な、な、な、何だとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!! 舐めてんなこの小僧が!!! あ、頭にきた・・・・ウイルス流してやろうか? あん?」


 こいつは殺してやらないとな・・・・徹底的に。


「うるさいわね!! もう少し静かにしなさい!!」


 こううるさい雑音が一瞬耳に入ってくるが、今の俺には無視の対象だ。


「さてさて・・・・どう潰してやろうかな」


 一つは先ほど言った通りウイルス流してパソコンを壊してやることだが、それをやると人生終了しちゃうから却下。そこまでのリスクを負う必要がない。

 なら、精神的に論破する。つまり、口げんかあるという方法。

 まぁ、一番手っ取り早いし、これでいくか。


「まずは罵倒の代名詞でいくか」


(お前のかーちゃん出べそ!!」


 しばらくすると返信が来た。


(開けちゃだめだよ・・・大事な大事なパソコンがウイルスに侵されるよ? P.S ウイルス流しますた。さようなら)


「え?」


一瞬、相手の言っている事が理解できず静止してしまった。いや、理解を拒んだ精神が静止したの方が表現的に正確かもしれない。


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! ウイルスがきた!! ヤバい!!」


真夏の常闇に若い男の悲痛な叫び声が木霊した。



 

 

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― 新着の感想 ―
[良い点] 前半は神吉拓郎を偲ばせるような軽いタッチで悪くないと思った。 [気になる点] 後半のだらけ方はなんだろうか。ように言えば、勝負を知らないヘンテコランナーのように、ただ前半は全速力で走り、後…
2014/09/25 23:13 退会済み
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