創造魔法
街へと戻ってきた次の日、魔力も十分に回復したので、店の空いている空間でエキオンの武器・防具の創造魔法を試す事にした。
「早速たのむ」
「分かった」
倉庫から持ってきた2本の片手剣をテーブルの上に置く。
エキオンが手をかざすと、茜色の光が剣へと降り注いだ。
やがてぐにゃりと剣が溶けて、テーブルの上で水たまりと化す。
「わ、溶けたよ」
アンズが驚いて声を上げた。
剣を素材の状態に戻して、そこから不純物を取り除き、エキオン自身の魔力を注いで物質としての強さを底上げする。
創造魔法と言っても、無から有を造り出す物もあれば、有を別の有へと造り変える物もある。
今、エキオンが使っているのは後者だ。
無から造り出すよりも魔力の消費を抑えられる。
更なる強い光を浴びて、水たまりが水平に伸び、1本の棒の形へと変化した。
物質を魔力を織り交ぜて組み直し、自身に使いやすい形へと再構築する。
「マジックアルター」
後には茜色で幅広の片手半剣が現れた。
早速に鞘から抜き放ち、エキオン自身が確認する。
エキオンの魔力に裏打ちされたこの剣は、ただの鉄の剣よりも強力に造られているはずだ。
おおー、と声を上げるアンズを無視してエキオンに聞く。
「どうだ?魔力にまだ余裕はあるか?」
「もちろんだ」
なら、と続けて倉庫から持ってきた全身鎧を渡した。
エキオンが再構築すると、ヘルム、胸鎧、肩当て、手甲、腰鎧、レッグガードと各パーツに分かれた鎧になった。
色は勿論、茜色だった。
「全身鎧じゃ無いんだね」
アンズが聞く。
「骨しかないんだから、全身を守っても仕方ないさ」
早速装備し始めるエキオンの代わりに俺が答えた。
元々面積が少ないのに、攻撃を受ける面積を変に増やしても仕方無いのだろう。
例えば腹は人間にとっては守らなければならない部位でも、スケルトンにとってはただの空洞だ。
「盾は要るのか?」
「いや、必要無いだろう」
頭にモヒカンのような飾りのあるヘルム、コリュスを被り、既に渡してあった黒いマントを羽織って、装備が完成した。
「かっこいいね」
「ありがとう」
アンズが褒めた。
個人的にはそのモヒカンはどうかと思う。
モヒカンヘルムって名前あるんですかね?不明だったので、そのままモヒカンと書きましたが。
※モヒカンヘルムはコリュスと言うそうです。情報、ありがとうございました。