赤の軍勢
説教部屋に俺とエキオン、ナーと隊長、そして将軍とアウトノエが集まっている。
「出たぞ。スケルトンの軍勢、その数およそ600」
予想よりは少ない。
実際、周辺国の軍にも追われているらしい。
他国の軍とぶつかりながらも、その数を誇っている事を考えれば驚異的だった。
ソリアのダンジョン方面からこちらへ向けて進行中らしい。
「内容は?」
「デカブツは無しだ。良かったな。これで勝算ありなんだろう?」
目をとじ、その事実を噛み締めた。
「ええ。勝てます。改めてお願いします。エイディアス軍から300の兵をお借りしたい」
「それで何とかなるんだな?」
「絶対です。所詮はモンスターの群れ。備えは既に終わっています。戦術も指揮も何も無い連中に負ける道理がありません」
「分かった。万が一に備えて、いつでも出撃可能な体勢は取っておく」
「ありがとうございます」
「それと、ひとつ気になる情報がある」
将軍は一度、言葉を切り、エキオンを見た。
「連中のスケルトン、全部赤いらしいぞ?」
ナーもアウトノエも、そして隊長までもがエキオンを見た。
「注目されてもな」
エキオンが困ったように呟いた。
その後、スケルトンの軍勢はアーレスの村から半日ほどの位置で停止した。
こちらか打って出る訳にはいかない。
ただ、攻めて来るのを待った。
そして3日後の夜、その軍勢は進行を再開。
デカブツの手に乗り、そのまま手を上げさせ、彼方を見る。
魔力で強化した視力に移るのは赤いカニの群れのようにも見えた。
しかし、当然、カニではない。
そのカニの群れのような赤い軍勢はすべてスケルトンだった。




