表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スケルトンの奴隷商  作者: ぎじえ・いり
避けられない戦い
48/67

オーバードライブ

ソリアのダンジョンでモンスターを殺して回る。

ガサツが斧を振るい、エキオンが剣を突き刺す。

ゴキゲンが喉を割き、ナーが槍で突く。

隊長が、俺が剣を振るう。


効率的に。

無駄無く。

すばやく。


逃げる敵はドジッ子が射殺した。


村には今、デカブツが稼働しているのだ。

防備にこれ以上の万全は無いだろう。


精鋭スケルトン達が容赦無しに駆逐していく。


最下層。


そこで、俺の影が出た。

殺し、ダンジョンの最下層まで引きずって行く。

これがデスナイトになるまでには時間がかかるはずだ。

しかし、それがどれほどの時間なのかは分からない。


急ぎ、殺し、進んだ。


そして最奥へ。


俺の影の死体にネクロドライブをかける。

使うのはエキオンを造る時に使ったオーバードライブ。

それをアレンジして、魔力をダンジョンから引っ張ってくる。


依り代には俺の左手を使う。

左手は赤くただれたような色に染まっている。

腐敗しているのか、そう思わせるような有様だった。


思い出していた。

婆は依り代らしい何かを手にしてはいなかった。

エキオンと同じく、自身を依り代のしたのではないのか?


これの難点は、創造されたスケルトンが例え使い物にならない何かだったとしても、それがやられた時点で俺の左手もダメになる事だろう。


「ネクロドライブ」


下地になる魔法が完成した。

後はこれを強化するだけだ。


今は馬鹿な事だと分かっていても試すしか無い。

祈るような気持ちで念じる。


応えよ。

力はここにある。

成れ。

デスナイトに!


ダンジョンから魔力を引き込んだ結果、死体には無尽蔵とも思える魔力が集まっていた。

紫がかったもやに包まれ、その姿は見えない。


応えよ。

俺の手を取れ。

下れ。

デスナイトよ。


「オーバードライブ!」


左手がどくんと大きく脈打った。

黒いモヤが立ち上がる。


「ぐ」

「閣下!」


ナーが声を上げた。

強烈な痛み。

生気が吸い取られる。


脳裏に暗い何かがよぎった。

暗い暗い何か。

婆の笑い声が聞こえた気がした。


「閣下!お気を確かに!」


右手に手が触れた。

ナーの手が。

そしてエキオンがその上に手を重ねた。


右手のエキオンの印が脈打った。

温かい何か。

体の芯に炎が灯った気がした。


「下れ」


命じる。

意志を保つ。


意志こそが創造を可能とし、意志こそが従わせる。

己の肉体を。

そして目の前で生まれ落ちる何かを。


「下れ」


命じた。

目の前で立ち上がったモヤは、その中の何かに吸い込まれ、やがて形を表す。


それは俺と同じ鎧を着たスケルトンだった。

身体からは不気味な、禍々しいオーラ。


デスナイト。


最強のスケルトンの一角がそこにいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ