いつかの言葉
パラスの親父の所に顔を出した。
「よう貴族様じゃねえか。こんな汚い店に何の御用でしょう?」
最近、顔を出していなかったからな。
親父は不機嫌そうだった。
「その卑屈過ぎる冗談は好きじゃない。親父、頼みがある」
親父の顔が真面目なものに戻った。
「お前の頼みはいつも唐突だな。だが、俺はそれが嫌いじゃ無い。なんだ?話してみろよ?」
俺は親父に武器を注文した。
それを聞いた親父は笑った。
「豪気だな。遂に自ら戦争を始める気にでもなったか?」
それに真面目に答えた。
「ああ。そのつもりだ」
村へと戻った。
執務室にはナーが、隊長が、ルークが、バンザイが、サストレが、カタブツとグンソウがいた。
俺のこれまでの事を、そしてこれから起こるであろう事を、将軍に話したように話した。
ルークが口を開く。
「なら私は貴族院に向かいましょう」
俺の事を何もかも話すか。
仕方無い。
ルークがそう考える可能性は考えてあったので、ショックは大きく無い。
「そうか。なら」
それを今されるのは困る。
手を挙げ、エキオンに命令しようとした時、ルークがそれを遮るように口にした。
「勘違いしないで下さい。貴族院に行くのは情報集めと根回しです。将軍が動いているからといって、将軍単独で事に当たるのは骨が折れるでしょう」
そう言って、何を思ったのか、バンザイを見て笑った。
真面目な話をしている時に何を考えているんだか。
しかし、それは普段のルークの姿と何ら変わりない、自然な姿だった。
「あくまでも西方でリッチが発生し、それがこちらに流れてきている。その情報を確かなものにします。カドモス様はこれに何の関係もございませんよね?」
あからさまに、そして分かりやす過ぎる確認だった。
ならばこう答えるしか無いだろう。
「そうだ。西の知り合いからリッチの情報を聞いた。こちらに出現する恐れがある。通常戦力でこれに当たるのは危険すぎるので、アンデッドに詳しい俺が作戦を取るべきだと考えた。そう話した」
「ええ。私はそう聞きました。ああ、一応、不審があるといけないので、これを渡しておきましょう」
それはバンザイの依り代たる鍵だった。
受け取り、バンザイに命じる。
「バンザイ。ルークを見張れ。不審があれば、その場で処断しろ」
バンザイがその命令にうなずいた。
「さて、私は行きます。では」
ルークとバンザイが部屋を出た。
結局はルークの言う通りになったな。
いつかの科白を思い出す。
私なら閣下のお役に立てると感じていたからにございますよ。
そこには何の気負いも照れもなかった。
なぜならそれは事実だったのだから。




