表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スケルトンの奴隷商  作者: ぎじえ・いり
避けられない戦い
39/67

エイルマーニ

その後、前交渉は順調に進んだようで、10日後にはエイルマーニへと向かった。


エイルマーニにはルークとスミスと共に来た。

ルークが手配した普通の馬の馬車にはスケルトンも乗っている。


俺にはエキオンが、ルークにはバンザイが、スミスには隊長が付き、そして行商用にビフロンスから2体のスケルトンを連れて来ていた。


辺境ならともかく、エイルマーニほどの大きい都市、それも始めて訪れる都市にいきなり大勢のスケルトンを連れてきても、それほど大きな成果は出ないだろう。

手続きが面倒になるだけだ。


スケルトンを連れて入るには手続きが必要になる。

スミスに馬車とスケルトンを任せ、正門の前で一度別れた。

エキオン、ルーク、バンザイと共に中へと入る。


数が多いスミスの方が時間が掛かるようだ。

道すがら既に打ち合わせはしてあったので、それをただ待っている必要は無い。

ルークとともに先に進んだ。


エイルマーニはエイディアスと同じように街の回りを高い塀に囲まれていた。

正門をくぐり、最初に目に入るのは街の中央に高くそびえ立つ城だ。

エイディアスには城が無い。


ルークはその城を見上げながら口を開けた。


「いやあ、やっぱり城のある街はかっこいいですね」


なんだ?その間の抜けた感想は。


見ればバンザイは手を額に当てて城を見上げている。

その手、意味あるのか?


見ればエキオンも同じ事をしていた。

エキオン、お前もか。


茶の栽培が行われている修道院区に向かう前にまずは城の中の行政部へと顔を出し、挨拶回りを行った。


話しの内容はほとんど世辞とほんの少しの周辺情勢の情報交換だった。

特に気になる話は無い。


修道院区への許可はほとんどルークが事前に通してあったので、雑談程度の話で解放された。


特に俺に関する話は出ない。


ルークが面倒を避けるために、今回来たのはルークがメインで、俺の方はただの護衛としてあった。


修道院区へはさすがにエキオンとバンザイを連れて入れないので、待ち合わせた場所でスミスと落ち合い、預け、修道院区へと向かった。






最初に礼拝堂へと通され、そこで、祈るように言われた。


エイルマーニで信仰されているのは円卓の神々、中でもトリストラムのようだ。

特に信仰に興味は無い。


それでも祈りの作法程度は知っているので、形だけは真面目に祈った。


修道院長の居館へと通され、やっと茶の話になる。

席に付いた俺とルークの前に紅茶が差し出された。


さすがに本場と言うべきか、エイディアス公の館で飲んだ物よりも、はるかに香りが良かった。


紅茶を運んできた修道女が部屋を出て行くと、修道院長が切り出す。


「茶の木に興味をお持ちという事でしたね」

「ええ。是非とも、お話を伺わせて頂きたく参りました」


ルークが笑顔で応じる。


実際の茶の木の育て方、気温の変化に対する強さ、品種の事などを聞いていく。

どうやら育てるのはそれほど難しくないようだ。


寒さに弱いらしいので、そこだけ気をつけなければならないらしいが、そこまで冷え込む地域でも無いので、気にしなくても良いだろう。


製法によっては、紅茶以外にも緑の茶も作れるらしい。

簡単にその辺りの説明を聞き、まずは試しに、という事で苗木を数本貰える事になった。

まずは育つのかどうか、それを試さない事には始まらないだろう。


ルークの交渉のおかげか、苗木はタダで貰えた。

まとめて用意して欲しい場合にはどれくらいの金額になるか、あちらの言い分をそのまま使えば、どれくらいの寄付が必要かの話を触り程度に進めて、退室した。






「うまくいきそうですね」

「まずは植えてみてだな。もうすぐ冷え込み出す。それで根付かなかったら意味が無い」


季節はもう冬と言っても良いだろう。

鎧の下に綿でも入れたい所である。


スミスの姿を探して広場へと向かった。


広場には様々な商人がテントを並べていた。

この街の商人もいれば、行商人もいる。


さすがは商業同盟。

すさまじい賑わいだった。


スミスのテントは端の方に、ひっそりと佇んでいた。

商っている物が物だ。


無駄に明るいイメージで売り出す必要はないだろう。

エキオンが俺の元に、バンザイがルークの元に戻る。


ルークは市場の様子が見たいようだったので、自由行動とした。


「調子はどうだ?」

「あまり良くありません。こちらでは人間の奴隷が他の国よりも安く買えるようです。単純な労働力で考えるなら、そちらの方が安上がりになるのでこちらで商売を進めるのは難しいかと」

「そうか。まあ、多少ならば値を下げても構わんぞ」


足がかりを作る、そういう意味では値段を下げてでも売っておきたい所だ。

適当な豪商を探して、1体くらい進呈しておいた方が良いかもな。


許容範囲を話し、区切りがつくと、スミスが懐から出した1枚の封書を渡された。


「カドモス様、これを」


裏を見る。そこには見覚えのある印があった。

ドラゴンの意匠。

そんなに凝ったものでは無い。


「痩せた長身の男でした。渡せ、とだけ告げて、押し付けられました」


魔力的なものは感じられない。

開いた瞬間、呪詛が溢れ出したりはしないだろう。


開いて確認すると、場所が指定してあった。

来いって事か。


スミスと別れ、その場所に向かった。

没ネタ。

絵描きがインスピレーション!とか叫んで、スケルトンの頭に絵を描く。後にアーレスの村に再登場。村のスケルトンの頭に干支を描いて、それがそのままあだ名になるって展開を考えたけど、普通のスケルトンの書き分けって必要無いか、と思い直して没に。

「やれ!ネズミ!」「イノシシは左から回れ!」みたいな?

ドジッ子はまさかの総レース柄を発注。とかも考えたけど、ゴス子に改名しなくちゃいけなくなるから没。ってか、エロそう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ