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スケルトンの奴隷商  作者: ぎじえ・いり
ダンジョンへ
31/67

ドッペルゲンガー

一度外に出て、野営をし、翌日またダンジョンへと潜っていく。


7階層以降に現れたオークハイも物の数では無かった。

特に問題なく進み、やがて12階層へと辿り着く。


ソリアのダンジョン、最後の階層だ。


ここには悪魔が現れる。

普通のモンスターと毛色の違う奴が現れるのだ。


最下層をうろうろしていると、ひとりの人間の姿が見えた。

冒険者ではない。

なぜならそいつは鎧と槍を装備した女性、ナーと全く同じ顔、姿形をしていたのだから。


「これは」


ナーが困惑したように呟く。


「ドッペルゲンガーさ。会うのは初めてか?」


人間の真似をする悪魔。

そこに立つのは能力的には、ほとんど変わらないナーの影。

つまり自分が強ければ強い程に厄介になる特殊なモンスターだった。


ナーの影が突き掛かってくる。

それを前列のエキオンが剣で弾いた。


そこに隊長が接近して一閃する。

それをナーの影は半身でかわすと弾かれた槍をそのまま横薙ぎに振り回す。

エキオンと隊長は後退してかわした。


人の影にしかなれないので、コイツがエキオンになる心配は無い。

ならば問題は無いだろう。


エキオンと隊長が攻撃を追加し、かわし、追いつめていく。

やがて、隊長が槍をはじき、大きな隙が生まれた。


そこにエキオンが音も無く飛び込み、一閃する。

これで終わり。


俺もナーも、スケルトン達もそう思っただろう。

しかし、終わらなかった。


エキオンの剣は新たに現れた影の剣に防がれる。

新たに現れたのは、両手剣を手にした長身の男、つまり俺だった。


「まあ、俺の影も出るだろうな」


さすがに俺の影まで加わってはエキオンでも面倒だろう。

エキオンと隊長の間を縫って、俺も前へと出た。


そこから一進一退が続いた。


俺の攻撃は俺の影に防がれる。

使っている武器はグレンデル討伐に使った両手剣であるにも関わらず防がれた。


武器まで同じ性能か?


そこまで深く考えた事は無かったので、これは失敗だったなと打ち合ってから考えた。

一度、退がる。

そこに補うようにエキオンが前に出て、俺の影の一撃を受けた。

こうした連携は村の回りで散々試しているので、流れるように立ち回れる。


「エキオン!しばらく抑えていろ!」


その間に隊長が抑えていたナーの影へと迫る。


ナーの影が突き出した槍を隊長は脇を開けてかわした。

かわした直後に隊長が脇で槍を抑える。

骨しか無い隊長が槍を抑えられたのは、ほんの一瞬。


しかし、その間に俺はナーの影へと肉薄し、その首を一撃で刎ねた。

これで1体。

斬られたナーの影は闇に溶けるように消える。


そのままエキオンが抑えていた俺の影へと迫る。

エキオンの攻撃のリズムに合わせて俺と隊長が代わる代わる斬撃を放つ。


数の上でさらに不利になった俺の影は追い込まれた。


やがて攻撃がゆるくなったのに合わせ、エキオンが強く剣を弾き返すと、その先が天井へと突き刺さる。

それは俺の目の前でバンザイをした状態で停止していた。


「じゃあな。能力が同じでも経験が違えば仕方無いだろう」


俺の顔が乗った首を、躊躇する事無く刎ね落とした。

“生者の真似をする悪魔”の部分を“人間の真似をする悪魔”に改稿しました。

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