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スケルトンの奴隷商  作者: ぎじえ・いり
ダンジョンへ
30/67

ウルクハイ

最初にオークハイの2体が同時に手にした片手剣を突いてきた。

その速さはオークとは比べ物にならない。


それをエキオンと隊長はギリギリで交わし、そのまま後列のカタブツと俺へと送るように体を入れ替え、背中で体当たりした。


よろけつつも2体はそのまま新たな目標を定めて突進してくる。


カタブツが1体の突撃を盾で受け、その動きを止めた。

ちょうど後ろにいたのは槍を持ったトータスだった。


トータスはカタブツの脇をすり抜けるように半身で前に出つつ、短く持っていた槍でオークハイの首の後ろ付近に刃を突き入れる。

血がトータスの頭を濡らした。


俺の方にも1体が突っ込んでくる。


俺の手にしている剣は両手剣だ。

リーチは俺の方が長い。


しかし、振りかぶるだけの天井の高さは無い。


迫り来るオークハイに対して俺は、そのまま前へと倒れ込んだ。

倒れゆく俺を見て、オークハイの口角が吊り上がる。

剣は俺の頭を目がけて突き進んできた。


その切っ先が当たるかどうかの所で、軽く上半身をひねる。

自然に。そしてほんの少しだけ。


頭をかすめるようにしてオークハイの突きが通り過ぎる。

刃こぼれしている様子までもが分かる距離で。


それを見たオークハイの表情は焦りを浮かべているだろう。

悪いが遅いよ。

今から剣を振り下ろしても間に合うまい。


右足を地面すれすれに踏み出して、体を起き上がらせる。

それに合わせて手にした剣をオークハイの腹へと押し当て、すれ違い様にそのまま剣を引いた。


金属鎧を着ていたにも関わらず、剣は鎧ごとオークハイを両断した。

オークハイにしては練度が低いな。

生まれたてか?


その間にもエキオンが2体、隊長が1体を斬り伏せた。

これで残るは2体。


だが、その2体はそのまま闇の中へと逃げ去った。

ふがいない。


「閣下。あまり今の技はお使いにならないようにして頂けますか?」


後ろで新米スケルトンの面倒を見ていたナーが近づいてきて、文句を言った。


「そうか?あまり剣を振り回せないダンジョンでは有効なんだがな」


あれならオークハイに小細工を使われる暇は無い。

一撃で済むから楽でもある。


「万が一と言う事もある技に見えました。あれは命を投げ出す類いの技ではありませんか」


どうやらナーは怒っているらしかった。

分からん。

何が気に入らないんだか。


「豚顔相手にどうこうなったりはしないさ」

「相手が問題なのではありません!とにかくあの技はお止めください!私は一瞬……」


一瞬?一瞬の先はなんだ?

刺されたとでも思ったのか?

それこそありえないだろう。


珍しく、ナーの語気が荒くなっていた。

何だ?俺が悪いのか?

思わず周りを見る。


新顔スケルトン達は棒立ちだ。

しかし、明らかにこちらを見つめている。


トータスはそろそろと、嫌にゆっくりとした動作で後列へと下がっていく。

ナーの視界を避けるようにしているのは気のせいだろうか?


隊長とエキオンはわざとらしく壁の方を向いていた。

壁には特に何もおかしい所は無い。

隊長までもがそうしているのは、エキオンが命じたのか?

その様子が妙にむかつく。


カタブツとゴキゲンは前方を警戒をしている風だったが、ゴキゲンはたまに頭を回してこちらをちらりと見る。


なんだ、お前ら。

誰も何も言っていないが、何となく俺が悪い的な雰囲気を全てのスケルトンから感じた。


「……悪かったな」

「閣下は後列をお願いします。私が前に参りますので」


何故か、後ろへと回された。

一体、何が不満なんだ?

まったく。

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