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スケルトンの奴隷商  作者: ぎじえ・いり
エイディアスの骸骨商会
3/67

スケルトン対ゴブリン

ガサツと何やらかくかく頷き合っていたゴキゲンが村の奥へと進んで行く。

その姿は建物の影へとあっという間に消えて行った。

その間にドジッ子がするすると近くの家の上へと登り、モンスターが来ると思われる方からは見えないように屋根の向こう側に姿を隠す。


今いる場所はちょっとした広場になっていた。

村だった頃には市が立ったのか、集会でも開いたのか。

今となっては知る由もない。


その中央に隊長がひとりで陣取る。

広場の入り口に近い位置の家の影にカタブツが隠れた。

ガサツとトータスは既にどこかへと消えている。

逃げたのではない。

挟撃出来るように回り込んでいるのだろう。


特に打ち合わせをする訳でも無く、ここまでスムーズに動いている。

俺と新顔はその様子がよく見える家の中へと入り、窓から観戦する事にした。


新顔、ちょっと近いぞ。

ぐいっと手で押し返すと、分かったのかちょっと離れた。

ってか、お前も見るのか?


ゴキゲンが走ってくる。

その姿は必死なようにも見える。

骸骨なので表情がある訳ではない。

しかし、他のスケルトンと比べて小柄な彼が手と足を精一杯振っていた。


その割に進みが遅い。

敵を引きつけるためにわざとああしているのが見て取れた。

ゴキゲンが本気で走ればそれはゴキゲンな事になる。

追ってくるシルエットは小さかった。

緑色の肌を持った子供ほどの身長の亜人種、ゴブリンだ。


廃村になったこの場所に入り込んでいたのだろう。

その数は少なく7体しかいなかった。


まだ入村したばかりなのか、それとも別働隊がいるのか。

ゴキゲンは走りつつ、頭だけを時折ぐるりと1回転させて後ろを見る。

スケルトンだからできる芸当である。

そしてそれは馬鹿にしているようにも見えた。


それにいらだったのか、弓を持ったゴブリンが時々立ち止まり、矢を射る。

ゴキゲンは慌てたように、実際には余裕を持ってかわしていく。

その度に剣を持ったゴブリンと弓を持ったゴブリンの間に距離が出来る。

やがて4体と3体のグループに分かれてしまった。


ゴキゲンは広場まで来ると、急に加速する。

あっという間に隊長の脇に辿り着き、そしてナイフを抜いた。


隊長も両手剣を鞘から抜き放つ。

隊長から暗い紫色のオーラが漏れ出し、広場の中の緊張感が一瞬で膨れ上がった。

そのオーラに気圧されたのか、剣を持った4体のゴブリンは広場の入り口から一歩も進めなくなる。

一瞬の間が生まれた。

そこに矢が1本、2本と降り注いだ。


ドジッ子が屋根の上から一息に、次々と矢を射っていた。

以前に矢を持たずに木の上に陣取った事から彼女はドジッ子と命名されたが、その腕は確かだ。

2体が瞬く間に胸に、そして顔に矢を受けて倒れた。


そこに隊長が1歩、また1歩と踏み出して行く。

一歩、後ずさったゴブリンが、脇の家の影から飛び出してきたカタブツに斬り伏せられた。

さらに降ってきた矢が剣を持った最後の1体の胸に刺さり絶命させる。


あまりにも早い状況の変化に弓を持った3体は動けない。

そこに回り込んでいたガサツとトータスが切り込む。

弓を構える間もなく2体が斬り伏せられた。


最後のゴブリンは戦意を喪失したのか武器を捨て、後ろを向き、走り出そうとした。

それを隊長が枝でも払うように両断した。


楽勝だったな。

となりの新顔がなぜか万歳をしていた。

あれが仇でも無いだろうに。

とにかく片付いたので家から出た。






実際にはゴブリンは村の中に、まだまだいた。

それは非戦闘員のゴブリンだったり、若く実力の伴っていないゴブリンだった。


それをスケルトン達に命じて始末して回る。

ゴブリンは人を襲うのだ。

人を食べるためではない。


ゴブリンの場合は服や武器防具、様々な道具を奪うため。

時として麦などの食糧を奪う事もある。

そのために人を襲い、人を殺す。


非戦闘員だからと言って、放っておく訳にはいかない。

後にはゴブリンの死体の山が残った。


ゴブリンの死体からもアンデッドは作れる。

だがそれをする意味は無いだろう。

それで出来るのは命令を聞かないアンデッドだ。


俗にスケアクロウやボーンヘッドと呼ばれる使い物にならないアンデッド。

これは人語を解さない生き物の死体で造ると生まれてくる事が多い。


テイマーとかの才能があると、スケアクロウでもうまく使えるらしいと聞いた事はある。

俺にそんな才能は無いし、第一それでは卸せないから作るだけ魔力の無駄だ。


ゴブリンの死体は適当な廃屋に集めさせて燃やす事にした。

放っておいて、妙なモンスターを呼び込んでも困る。

全てが終わるのを見届けてから、骸骨探しへと移った。

ちょっとここまでの3話分を改稿しました。

どうしても序盤は文体が決まらないので、変な文章になりがちですね。

読みやすくなるように直しましたが、内容はほぼ変わっていません。

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