第6話 新たな教室を教えてくれ!
新しい生活がリヴィを待ち受ける
心地よい朝の日差しで目が覚めた。
あの依頼から数日後、ついにこの日がやって来た。
王都の宿でいつも通りにケント、ミリト、ソラリスの3人と一緒に朝食を食べた。
必要な荷物をまとめて、身支度を整えた。
そして、宿を出発し王都を歩く。
ここまでなんら普段と変わらない行程。
私なら大丈夫…私なら大丈夫…私なら大丈夫…私なら…
「あのーリヴィちゃーん?だいじょぶ?」
顔をあげるとソラリスが私を見ていた。
「ダイジョウブダヨ。」
「全然大丈夫じゃないじゃん!緊張しすぎ〜」
「だってケントが今朝、『王都の魔法学校は、国中から優秀な魔法使いが集まって、魔法を学んだり、研究したりする場所なんだ』って。そんなすごい場所に魔法を使いこなせない私が行ったら……」
「行ったら?」
「『魔法を使えないやつは雑用しとけ!』って言われて、その後なんやかんやで裏口入学がバレて、ソラリスまで……」
「なんとか系小説じゃないんだから。そんな意地悪な人いないよ。」
呆れたような顔を向けてこないでよ。いるかもしんないじゃん
「それに、リヴィちゃんの入るクラスは魔法を習いたての子も多いから安心して。」
「そうなの?」
「うん。魔法学校は、実力や年齢に応じてクラス分けをしているの。優秀な人から学びたての人まで集まるからね。」
「へぇ、じゃあ私もクラスの人と仲良くなれるかな?」
私の質問にソラリスは満面の笑みで言った
「もちろん!みんな優しい子達だもん!」
その笑顔に私の足取りは軽くなって……心なしか少し浮いていた
それから、魔法ガッコーに着いて私は教室の扉の前に立っていた。中からはソラリスがクラスの人に話をしている声が聞こえる
「よし、みんな!今日は授業の前に、新しいクラスメイトを紹介しまーす!」
中からはガヤガヤとなにを言っているかわからないが、声が聞こえる。
そんな中、ソラリスが『パンッ!』と手を鳴らし仕切って言う
「はい、それじゃあ入ってきてー!」
その言葉を聞いて扉に手をかける……
あれ?開かない……
力いっぱい引いてもガタガタいうだけで開く気配がない。
あっ、もしかして
今度は押してみたが、それでもガタガタいうだけで開かない
力いっぱい押そうとしたところで扉が不意に開いた
「わぁ!」
勢いあまって頭から突っ込むように倒れた
「リヴィちゃん……これ、横引き戸だよ……」
扉のそばにいたソラリスがそう苦笑いして言うと、クラス中から笑いが起こる。
「うぅ〜」
恥ずかしさで唸っているとソラリスが喋り出した
「えっと、この子が今日からこのクラスのクラスメイトになる子だよ!自己紹介できる?」
顔を赤くしながらも立ち上がる
見渡してみると20人弱の自分と同じような背格好の人たちが座っていた
「初めまして。リヴィーシャでしゅ。リヴィって呼んでください!魔法はまだうまく使えませんがよろしくお願いしましゅ!」
緊張でカミカミになりながらもこっそり練習していた通りの自己紹介はできた
ソラリスが再び、取り仕切って話す
「はい、みんな仲良くしてあげてね!それじゃ、リヴィちゃんはあそこの空いてる席座ってね!」
ソラリスの言う通りに後ろにあった空いてる席にそそくさと座ると、さっそく隣の人が話しかけてくれた。
「初めまして、私はレティア・トラマグナ。分からないことがあったらなんでも言ってね。リヴィちゃん。」
綺麗な白銀の長髪に見惚れてしまったが、すぐに我に返った。
「こちらこそよろしくお願いします!レティアさん!」
レティアは落ち着いたように微笑んだ
「そんなかしこまらないで、敬語なんて使わなくていいのよ。クラスメイトなんだから。」
レティアから溢れるオーラはなぜか少し安心するなぁ
「うん。よろしく、レティア。」
そう言うと、学校内に鐘の音が響き渡った
それに続いてソラリスが教室の前に立って話し始めた
「よし、じゃあ授業の時間です!今日は火を出す魔法をやってみましょう!」
火の魔法…そういえば、ケントと初めて王都に来たときお店の商品燃やしちゃったなぁー
頭の片隅にそんなことを思い出しながら、ソラリスの話を聞いていた
「それじゃ、復習ね。まず魔法を使うときは、魔法式で魔法陣を作る。そして詠唱をする。」
魔法ってそんな風にしないと出ないの?
私、詠唱なんてしたことないはず……魔法式とかも知らないし
困惑していると、ソラリスが続けた
「でも、それだけじゃダメなんだ。魔法を使うには1番大切なことがあるんだったよね。」
そう言って、ソラリスが教室全体を見まわす
「じゃあ……レティア!覚えてる?」
レティアに動じた様子はなかった
「はい。魔法を使うために1番大切なことは、想像することです。」
ソラリスはニッと笑っていた
「そう!どんなに綺麗な魔法陣や詠唱でも、自分がその魔法を使っているイメージができないと、その魔法は使えないんだー。逆に、魔法を使うイメージができていると魔法陣や詠唱が完璧じゃなくても魔法が使えるんだよ!ほら!」
そう言うとソラリスの指先から小さな炎が出てきた
「慣れてくるとこんなふうに、簡単な魔法は無詠唱でも出せるようになるよ!」
「なるほど…」
「いや、リヴィちゃん。先生はあんなこと言ってるけど、無詠唱なんてあんなに小さい魔法でもできるのは先生くらいだから…」
レティアが呆れたような顔をしていた
「よし、じゃあさっそくやってみよー!」
そんなレティアをさておいて、ソラリスの指導のもとで実習が始まった
安全性を考慮して一人ずつ順番に、火の魔法を発動していった。他の人たちは皆、その様子を見守っている
クラスのみんなが綺麗な魔法陣を描き、詠唱をして、手から小さな火を出すことができていた。
中でもレティアは人一倍大きい火を出すことができていた。クラスのみんながだいたいマッチくらいの火を出したのに対し、レティアはコンロくらいの火だった。
「さすがレティアだなぁ」
クラスのみんなが口々にそう言っていた。
レティアってやっぱりすごい子なんだなぁ
そんな関心をしていたらレティアが席へ戻ってきた
「次はリヴィちゃんの番だよ。頑張って。」
「うん。行ってくる!」
教室の前へと出て、ソラリスから教わった通りの魔法陣を手のひらに作ってみた
「火の精霊よ!我に祝福を与え給え!…イグニス!……」
詠唱をしてみたが、火は出てこなかった。
「なんでぇ〜」
「リヴィちゃん。もっと想像しないと。自分の手に魔力が集まって、その魔法陣から火が出てくるイメージをしてみて!」
ソラリスが笑顔でアドバイスをくれた
魔力が集まってくるイメージ……
「火の精霊よ!我に祝福を与えた給え!イグニス!……」
もう一度詠唱をしてみたが、何も起きずしばらく固まってしまった
恥ずかしーーい!!
みんなできてるのに!
ソラリスからアドバイスもらったのにーー!!
恥ずかしさのあまり、目を瞑っていると…
……ボッ………
その音を聞いて目を開けると、火が出ていた。誰よりも小さい、今にも消えそうな火だった。
やった!けど、小さい……
ふと目線を上げるとクラスのみんなが私を見ていた
なになに!?視線が怖いよぉー。小さくてごめんなさいぃー
内心怯え切っている私に声がかけられた
「やったね!できてるよ、リヴィちゃん!」
その声の主はレティアだった
続け様にクラスのみんなも口を開いた
「リヴィちゃんすごいよ!」
「今日入学したばかりなのにすげーよ!」
そんな声を聞いて、みんなの優しい視線を見て、心が軽くなった。まるで自分でも無意識な重りが外されたような感覚だった
「やったよ!ソラリス!」
笑顔でソラリスの方を見ると、
「言った通りだったでしょ?」
そう言ってニッと笑ってみせた
席に戻るとレティアが優しく微笑んでいた
「リヴィちゃん、すごいね!」
「ありがとう!でも…みんなと比べたらまだまだ小さかったし、レティアなんて人一倍大きかった。もっと頑張らないと!」
レティアは少し驚いたように見えたが、すぐにまた優しい微笑みに戻った
「魔法を習い始めて間もないんでしょ?それで魔法を使えるなんてすごいことだよ。このクラスの人たちはみんな習い始めてから1週間は魔法を使えなかったんだよ?」
その事実に少し安心していた
「そうなんだ……」
「そう。だからリヴィちゃんは十分すごいの。私なんかよりよっぽど魔法の才能がある。すぐに私たちなんて追い越しちゃうよ。」
まっすぐに褒められてすっかり照れてしまった
「そうかなぁ〜。ありがとう、これからも頑張るよ!」
学校のチャイムが鳴り、初めての授業を終えた。
ここからリヴィの学生生活が始まる
次回 リヴィの本領発揮!




