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第5話 迷子の居場所を教えてくれ!

リヴィはどうやら一人で山道を歩いているようだ。

こんにちは、リヴィです。


私は今、人生……魔女生?最大のピンチに陥っています。


それは……

「ソーナンしちゃったーーー!!」


そう!山でソーナンしてしまったのです!


なぜこんなことになってしまったのか……遡ること10分前……



ケント、リヴィ、ミリト、ソラリスの4人は依頼で、巨大な魔物が現れるといわれている山に来ていた。


ケントが気合いを入れるように言った。


「よしっ!山に到着したし、さっそく入るかー! 全員遭難しないようになー!」


ん?ソーナン?


私は思わず聞いた

「ねぇケント、ソーナンって何?」


ケントは私の方を向いて言った。


「はぐれたり、迷子になったりするってことだ。山の中は広いし危険なとこが多いから、迷子になったら帰れなくなっちゃうんだよ。今回は例の巨大な魔物もいるらしいからなおさら気をつけろよ。」


「まぁ今回はミリトとソラリスもいるし、そうそう遭難は……」


その時、草むらから音がした。


私がその方向へ目を向けるとそこには気持ち悪いイモムシの魔物がいた。


そこからは逃げるのに夢中で覚えていない。

ただひたすらに叫びながらその場から走って逃げ、気づいたらソーナンしていた。


うぅ……無理だよ……誰よこんな依頼にしたの。


……私なんだよな〜


とにかくまた変な魔物と出くわす前にケントたちと合流しないと……まだそんなに遠くはないはず。




一方ケント、ミリト、ソラリスの一行。


「なぁ、ミリト。俺があいつに遭難するなよって言ってからどれくらい経った?」


「だいたい10秒後には遭難してたんじゃないかな。」


ケントが呆れた顔をする一方でソラリスは目を輝かせて言った。


「ねぇ!それよりあの子、すごく速くなかった!?あれって魔法だよね!?」


ケントが観念したかのように言う。

「やっぱり、いつかはこうなるか。二人には話さないといけないな。あいつのこと。」


そういうとケントは手短にこれまでのリヴィとのことを説明した。


ケントが話し終えるとソラリスが目をより一層輝かせて言った。


「『吹雪の魔女』ってあんな子だったんだー!もっとお年寄りな感じの魔女かと思ったら同い年くらいの見た目でびっくりしちゃった!」


ケントが念押しするように言う

「二人ともこのことはできるだけ他の人に話すなよ。特にソラリス、お前だ。」


「もっちろん!」

にっこりした笑顔でソラリスは答えた。


そこに割って入るようにミリトが言う。


「それじゃ、すぐにリヴィを探さないとまずいね。思い通りに魔法が使えないとなるといくら彼女でも危険だ。」


そう言って三人は山の中を進んでいく。




その頃リヴィはというと……


「ひっ!なに……あれ……」


一際大きな魔物に遭遇していた。




なに…あの魔物…ムカデ?


あんな大きいの見たことない……でもまだ距離がある。幸いにも私には気づいてないみたい。



今のうちに……そう思って後ずさりしたとき、背後から気配を感じた。振り返るとそこにはイモムシ型の魔物、それも群れでいる。


気づけば左右からも別の魔物が来ていた。



「ひっ!囲まれてるー!!来ないでー!」


「あっ。」



気づいたときには遅かった。リヴィが声をあげたことで巨大なムカデの魔物がリヴィに気づき近づいてくる。



むりむりむりむりむりむりむりむりむりむりむりむり……



もはやリヴィにはまともな思考が出来ず、顔が酷く青ざめている。


ムカデの魔物をはじめ、リヴィの周りを囲む魔物たちはそんなリヴィを観察している。中には威嚇をする魔物もいた。


しかし、その魔物たちの中に一体としてリヴィに襲いかかるものはいなかった。


この魔物たちは本能で動く。そしてその本能が告げているのだ。


コノ生命体ニハ敵ワナイ……


リヴィの中にある膨大な魔力の気配、青ざめた顔がより一層、魔物たちに恐怖を与えていた。


そう。つまり!今現在!お互いがお互いに恐れ慄き一歩たりとも動けなくなるという謎の拮抗状態になっているのだ!!


しかしこの状態は長くは続かなかった。魔物の群れの中に、意を決して逃げ出したものがいた。



「いやぁぁぁぁぁぁああ!!」



正気の限界を迎えていたリヴィにとって魔物が動いたということが最後の引き金となりありったけの叫び声が出た。


それと同時に、リヴィの周りに巨大な炎の渦が現れる。その炎はまるで爆発のするように周囲を巻き込んでいった。


炎の渦が消え、そこに残ったのは頭を抱え、その場にぺたんと力なく膝から崩れ落ちたリヴィだけだった。




その炎はケントたちにも見えていた。


「あの規格外の炎、間違いなくリヴィだ!」


ケントがそう言うと、3人はすぐに走って炎の方へ向かう。


3人はやがて、現場と思われる場所に着いた。


辺りは焼けこげて、その中央にリヴィが見える。


ケントが駆け寄って話しかける。


「リヴィ!無事か?」


しばらくリヴィはぼーっとしていたがやがて現状に気がついた


「ケント!良かったーー!そうだ、ムカデの魔物は?」


ミリトが驚いたように声をあげる。

「これのことか。すごいな、これほどとは。」


その視線の先には丸焼けになったムカデの魔物が倒れている。


ソラリスが目を輝かせてリヴィに駆け寄る。

「すごい!これリヴィちゃんがやったの?すごいすごい!どうやるの?」


リヴィはあわあわとしている

「えっと、えっと……なんかよく分かんなくなって気づいたらワッてなってボッてなって……」


ミリトは冷静にソラリスをリヴィから引き離す

「これがケントの言っていたリヴィの魔法の暴走か。このレベルの魔物を一人で倒せるほどとは……」


ケントも考え込むように言う

「今までこれほど強い魔法の暴発はなかった……しかも、魔力の暴走を抑えるための指輪をしているのに……」


考え込む二人をよそに、ソラリスが明るく話しを切り出す。

「あーのー!とりあえず、任務完了ってことで帰らなーい?リヴィちゃんもこんな山、はやく出たいよね?」


リヴィは首を縦にブンブン振っている。


ケントがはっと我に返った

「そうだな、さっさとこのムカデの足だけ回収して帰ろう。」



一行は近くの街までとりあえず戻った。その日はもう遅かったのでその街の宿で一泊することにした。


その宿の一室で4人は会議をしている。


ミリトがその場を仕切っている。


「では、今回のトークテーマ、リヴィの魔力暴走についてだ。ケント、今日見てわかった通りリヴィの魔法はかなりの威力がある。今回はそのおかげでリヴィ自身を守る結果となったが、今後、普段の生活でいつ暴走するかわからない。」


「ああ、わかってるよ。だが正直、この指輪でも抑えられないなら現状では手の内ようがないんだよな。」


「私がせめて魔力の制御の仕方だけでも覚えられればいいんだけど。」



3人が頭を悩ます中ソラリスが元気よく手を上げた。

「はいはーい!それじゃ、リヴィちゃんを魔法学校に入学させればいいと思いまーす!」 


ケントがすぐに立ち上がる。

「いやいや、それは……それは………アリか。」


ミリトがすかさず言う

「ナシだろ。まず一年に一度の試験を経て入学しないといけないし、入学したとしてもそこから卒業まで何年かかると思ってるんだ。」


ケントも確かにと頷く。


それでもソラリスの勢いはおさまらない。


「大丈夫!私、魔法学校の卒業生だし!なんなら特別講師もやってるから、裏口入学もなんのその!それにリヴィちゃんはたぶんすぐに卒業できるよ。」


そう。このソラリス・リーサスはかつて魔法学校を過去最高成績で卒業し、今現在、世界有数の魔法使いとして多くの人に知られている。普段の彼女の様子からは到底そうは見えない。


魔法学校というワードに一番反応したのはリヴィであった。


「魔法ガッコー?なにそれ!」


ソラリスが嬉しそうにリヴィの方に身を乗り出す。

「簡単に言ったら魔法について勉強するところだよ。そこなら魔法の扱い方もすぐに身につけられるよ!」


「いいなぁ!私行ってみたい!」


ケントはよく考えた末に結論を出した。

「まぁ、それが一番かもな。リヴィが行きたいならなおさらだ。」


リヴィとソラリスの二人が口を揃えて喜ぶ。

「やったー!」


ケントが慌てて付け加える。

「ただし!あんまり裏口入学とか、言わないようにな。ほんと、バレたら面倒だから。あと、魔女だってこともバレないように。」


「はーい!」


あまりに深刻な話題だったはずの議論はあまりにも突然に結論が出たのだった。




ちなみに、ムカデの足は高く売れたのでその日の夕食はだいぶ豪華だったそうだ。




次回 魔法学校へ!

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