第2話 マイホームってやつを教えてよ!
リヴィに頼まれて家に案内することになったケント。2人はリヴィの家がある森の中を歩いていた。
リヴィの家に向かってる間もリヴィはいろんなことを知りたがった。
「家ってどんな感じかな〜〜。豪華かな?豪華なんでしょ!なんてたって世界最強の魔女らしいし!こんなに広い森の中だからうんと広い家なんだろうな〜」
「………」
何も言えねー!!いやさ、ホントに広い家だったら『楽しみにしてろよ〜』とか、『びっくりするぞ〜』とかベタなこと言えたしさ、逆に狭い家だったら『実はめっちゃ狭いでーす!』『えー!』なんてくだらないやり取りできたのにさ!あの魔女の家普通の大きさなんだよ!大きくも小さくもない。レンガ造りの普通の二階建ての家。
「どうかしたの?もしかして私の家そんな広くない?」
「いや、そーゆーわけでは…」
「…えっと、なんかごめん。勝手に舞い上がちゃって…」
「いやホント、広くも狭くもなく普通って感じだから。」
気ぃ使わせちゃってるじゃねーかよ!
いやそもそも俺の家じゃねーのに何で気使われなきゃいけねぇんだよ!
「そういえば、森には動物のいた痕跡があるけど動物自体は見当たらないのね。」
「動物っていうか魔物だね。やつらは生存本能が強いから……」
「そうなんだ?」
いや、何でって顔してるけどあなた完全に魔力溢れてるからね。そりゃそんな魔力放出してたら魔物も寄ってきすらしないよ。
そうして平和な森を歩いていくとリヴィの家に着いた。
「着いたぞ〜!」
「これは……普通ね!」
ですよね!そう思いますよね!
「まぁ入ってみなよ。」
「うん! おじゃましま〜す。」
いや、あなたの家だけど!
「中もちゃんと綺麗ね。」
とりあえずどこに何があるか紹介するか。
「こっちが台所で……こっちが洗面所で……ここがトイレで……ここが……」
一階は大体案内し終えたかな。
「あとはニ階だな」
「見た感じだと二階は寝室とかかな?」
「そうそうこっちが俺の部屋で、隣がリヴィの部屋。」
「そうなんですか……って、ケントもここに住んでるの!?」
「そうだけd」
「えーー!それってつまり!同!棲!」
「違う!断じてない!」
「歳の差があっても身体は若い男女、同じ屋根の下で暮らしていて何もないはずもなく……キャー私知らないうちにこの人にー」
「ない!んなことは断じてない!そもそもリヴィは部屋に籠りっぱなしなことが多いし、オーラが強すぎて殺されそうだし!」
てゆーかなんでそんな知識は残ってるんだよ!
「さてどーだか。」
こいつからかいやがって…なんとか話題を変えないと…
「んなことよりリヴィの部屋に行ってみようぜ。」
「『行ってみようぜ』って行ったことないような言い方だなー」
「そりゃ、行ったことないし。」
「行ったことないんですか!?」
「うん。なんか禍々しいオーラが部屋から出てたし、勝手に部屋に入ってリヴィに半殺しにされたくなかったし。」
「そんなに野蛮な感じだったの私?まぁいいや、それじゃあ行こっか。」
そうしてドアの前まで移動してリヴィがドアを開けた。
「え…」
リヴィの声を聞いて俺も中に入ると、そこで俺は目を疑った。
「ひっろーーーーーい!!」
「広すぎる……どういう魔法なんだ?空間魔法の一種なのか?」
正直あの魔女が規格外なせいでどんな魔法か全然分からない。ただ一つ言いたい。
「なんで俺の部屋は広くしてくれなかったんだよーー!」
「私の家だからじゃない?」
「うっ、ほんとにその通りだけどさーー、いいじゃん少しくらい〜〜。」
「そんなこと言われてもー、あっそうだ!私お腹すいちゃったな〜何か食べたいな〜」
くっ、こいつ話題を強引に変えやがった!でも俺もついさっきそれしたから逆らえねー
「一旦1階に戻って、冷蔵庫の中身確認しますか。」
そうして冷蔵庫を開けてみると解凍していた鶏肉があったのでとりあえずオーブン焼きを作ることにした。
「ケントは料理得意なの?」
「まぁ、人並みには。この家じゃ俺が作ること多かったし。」
ここに来て初めのうちはリヴィが料理をしてくれていたが、俺が料理が出来ることを知った途端闘いに負けた方が作るというルールが勝手に追加された。もちろん全敗中の俺は、リヴィが気まぐれで料理をしない限りずっとこの家でご飯を作り続けていた。
ということで!始まりました!ケントの簡単クッキングー!
本日作っていくのは『冷蔵庫に入っていたおそらく鶏肉たぶん七面鳥みたいなやつのオーブン焼き〜余ってる野菜を添えて〜』です!
さっそく作っていきましょう!
まずは鶏肉に醤油やバター、塩、コショウなどの調味料で味付けをしていきます。
そうしたらあとはオーブンで3時間くらいじっくり焼くだけです!
えっ『3時間もかかってちゃ簡単じゃないじゃん』って?
大丈夫!この家には例の魔女が改造したオーブンがあるんだ!ここに鶏肉を入れて、魔法で火をつけて、オーブンに魔力を込めるとなんと!3時間かかるところがたったの3分で焼きあがります!
では待っている間に野菜を切って用意していきます!
用意できました!
えっ『いくら何でも野菜を切って用意するのが速すぎる』って?
大丈夫!みんなも少し剣の練習をすれば俺みたいに野菜を一瞬で切れるようになるよ!
〜一方でリヴィ視点〜
ケントなんかウキウキで料理してる……
それにしても何を作ってるんだろう?
ふと視線を感じてテーブルの上を見ると1匹の大きい虫がいた。
「む……し……?」
ムリムリ!虫はほんっとにムリ!しかも割と大きいし!
「ケント!」
「……」
「無視しないで!」
「……」
こいつはダメだ、完全に自分の世界に入ってる……
ってかなんで虫こっち見てんの?こっち飛んでこないよね!?
なんか羽広げてるけど飛んでこないよね!?
〜〜そして今、2つの世界が交わる!〜〜
オーブンのチーーンという音と同時に虫がリヴィの方へ飛び出し、それを見てリヴィは逃げ出す!
一方でケントは鶏肉をオーブンから取り出し、野菜と一緒に皿へ盛りつける!
リヴィが壁へ追い詰められる!
そしてケントが振り返る!
「リヴィ、できたぞ!その名も…」
その瞬間リヴィから悲鳴が上がる
「キャーー!こないでー!!」
そのリヴィの悲鳴と同時にリヴィから強力な風魔法が四方に放たれた。
〜〜〜〜〜〜
気づけば家の中はボロボロに傷ついていた。
俺はなんとか反射で防御魔法が間に合ったが鶏肉までは守れなかった……。
「ごめんなさい!大丈夫だった!?」
「ああ、防御魔法が間に合ってよかった。」
「料理もせっかく作ってもらったのに……」
「気にするなって、これはこれで新しい料理だ。その名も、『オーブン焼きサイコロ肉〜野菜の微塵切りを添えて〜』だな。」
「家までこんなに傷つけちゃって……」
あの魔法の感じは魔力の暴走だな。
リヴィの強い感情に、魔力が反応して魔法になってるってところか。
リヴィが言っていたが一度こうなると魔力コントロールができない限り強い感情がなくても突発的に魔力が暴走するんだよなー。
自分が魔女だったと知っていても、さすがにこうなっては戸惑うのも無理はない。
「とりあえずこれ食べて落ち着こう。」
「うん……これおいしいね!」
「それはよかった。」
一旦は元気になったみたいでよかった。
でも、とりあえず現状の話はしないとな。
「簡単に現状を説明すると魔力が暴走して、自分の意識に関係なく魔法が出やすくなってる。」
「そんな、どうにかならないの?」
「とりあえず確かこの家に俺が魔力暴走を起こしたときに使ってた魔力の放出を抑える指輪があるからそれを使おう。」
ぶっちゃけリヴィの魔力を完全に抑え込めるとは思っていないがないよりはいいだろう。
「それで、これから俺がいないときどうするかだが……」
「ん?ちょっと待って、ケントもここで暮らすんじゃないの?」
「ああ、無理だな。」
「なんで?もしかして私と一緒はやだ…?」
「違う違う違う!俺は冒険者だから!あちこちの依頼を受けてお金を稼いでるの!だからなかなか戻ってこれないかもってだけ!」
頼むからそんな半泣き顔はやめてくれ。俺の心がもたん!
「じゃあ…私も連れてって!」
「へ?」
「だから!私も一緒に冒険者のお仕事をさせてって言ってるの!この家もいつ壊れるか分からないし!」
どーする俺!正直リヴィの力を借りられたらこなせない依頼はないだろうし、楽しい冒険になりそうだけど、もしリヴィの魔力が暴走したら……
「ダメ…かな?」
「全然問題ない!一緒に行こうか!」
そんなお願いされたら断れないって!
でもまあ、何とかなるか!
いよいよ外の世界へ出発!




