老紳士
この日は、チェックインも少なく、穏やかな平日の晴れた日でした。
(今日もチェックインのお客様も、残りわずかか)っとパソコンで画面操作していると、1人の老紳士が、ウォークイン(予約なしで来られるお客様)でこられた。
『1名だが、泊まれるかね?』と老紳士は尋ねる。
私は、笑顔で『大丈夫ですよ。ただし、当ホテルは、全館禁煙ですが、構いませんか?』とお伝えした。
老紳士は、答える『葉巻しか吸わんのじゃ・・・』
私は、それを聞いた瞬間猫ミームに出てくる、猫の驚く顔ぐらいのスピードで、老紳士を見てしまった。
(落ち着け、落ち着け、何かの聞き間違いだろう、とりあえず再度禁煙は、念を押しておこう)
『そうなんですね〜 一応葉巻も当ホテルは、吸えないですが、大丈夫ですか?』
(ここで念を押しておかないと大抵のお客様、吸ってしまうのだ、、禁煙と言う文字を顔面に貼り付けてあげたいと、毎回思うが、、、いかんいかん話がそれた)
老紳士は、少し渋った顔をしながら、
『よかろう、それでいくらだね?』
(いや待て待て、素泊まりなのか、朝食付きなのか、何泊なのか言ってくれよ〜←これ皆さん是非忘れずにお伝えください。ウォークインの場合は)
『えっ〜と、お客様、何泊のご予定でしょうか?また、プランによって変わるものでして〜』とタブレットでホテルのプランを笑顔でお伝えつつも、上記のようなことを思ってるのでした。
すると老紳士は、タブレットをチラッとみて、
『1番高い部屋、朝食付き、1泊』と、、、
『かしこまりました。それでは、こちらの方に、、』
(まぁここからは在り来りな、ホテルのチェックイン内容なので、お部屋の案内まで割愛。)
『ごゆっくりお過ごしくださいませー。』
老紳士をお部屋まで、送り届けて、数時間後。
老紳士が、外出されるとこを、他の方のチェックインをしながら、チラッと見ていた。
とりあえず、今日はトラブルもなく、終わった〜っと思いながら、夜勤で出勤してた子と、引き継ぎ兼雑談をしていると。
ホテルマンとしては、ある意味では、来て欲しくない車が、ホテルの正面に止まる。
まず、2人の警察官が、降りてくる、、、、
(やりがったな…どのお客様だ....)
ホテルの中に入ってきた、2人の警察官
『あの、すいません、こちらにこの方ってお泊まりになってたりしませんか?』とお名前を言われて、、、
(オーマイゴット!!老紳士!!アンタ何やりやがりましたか?)
『あの〜特徴教えていただいてもよろしいでしょうか?』
(頼む、まだ、あの老紳士じゃないでいてくれ、、、、頼むぞ)
『えっ〜と〇〇代で、白ひげで、、、、』
(オーマイガー!!いやまだワンチャン、、、)
『パンイチで、、、』
(パンイチ・・・・えっ〜とそれうちのお客様じゃないような〜・・・)
『あちらから見えますかねパトカーの後部座席の・・・・』
(おい、、、老紳士よ、、あんさんどうしたよ、、、あしたのジョーの最終回並にやつれてるじゃないかよ.....)
『はい、残念ながら、うちのお客様ですね、、、お手間を取らせてすみません、、、それで、あの方は、どうなってここまで?』
警察官曰く、このような通報が入ったと
『身ぐるみを剥がされた、おじいさんが、バス停と戦っているから保護して欲しい』とのことだった。
現場に駆けつけると、パンイチ姿のおじいちゃんが、バス停にもたれかかっていて、何者かに身ぐるみを剥がされたとアルコール臭を漂わせながら、叫んでいた。名前を聴いた所、このホテルの名前を連呼し始めたので、確認のためきた。っと。
なお、結構暴れたらしく、警察署へ1泊するとのことだった。
(なんとはた迷惑な、ちなみに、翌日わかったことなんだが、
この老紳士は、身ぐるみを剥がされたのではなく、酒に酔ってフラついた拍子に、信号機とぶつかり、信号機とボクシングを始め、自分で衣服を脱ぎ始めたのが、バッチリ監視カメラに写っていたとさ、、、)
なお、当ホテルのルームキーは、グローブかけのような感じで、近くのバス停にかかっており、近隣住民より、お電話をいただき取りに行く羽目に。
老紳士は、骨折と高いホテル代と警察官のお説教で、この街を去っていった、、、
最後に私から一言『だから葉巻も吸うなって言ったよな!!』、、、