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勝てるはずのない相手  作者: なにかは起きるホテル
1/1

老紳士

この日は、チェックインも少なく、穏やかな平日の晴れた日でした。


(今日もチェックインのお客様も、残りわずかか)っとパソコンで画面操作していると、1人の老紳士が、ウォークイン(予約なしで来られるお客様)でこられた。


『1名だが、泊まれるかね?』と老紳士は尋ねる。

私は、笑顔で『大丈夫ですよ。ただし、当ホテルは、全館禁煙ですが、構いませんか?』とお伝えした。


老紳士は、答える『葉巻しか吸わんのじゃ・・・』

私は、それを聞いた瞬間猫ミームに出てくる、猫の驚く顔ぐらいのスピードで、老紳士を見てしまった。


(落ち着け、落ち着け、何かの聞き間違いだろう、とりあえず再度禁煙は、念を押しておこう)


『そうなんですね〜 一応葉巻も当ホテルは、吸えないですが、大丈夫ですか?』

(ここで念を押しておかないと大抵のお客様、吸ってしまうのだ、、禁煙と言う文字を顔面に貼り付けてあげたいと、毎回思うが、、、いかんいかん話がそれた)


老紳士は、少し渋った顔をしながら、

『よかろう、それでいくらだね?』


(いや待て待て、素泊まりなのか、朝食付きなのか、何泊なのか言ってくれよ〜←これ皆さん是非忘れずにお伝えください。ウォークインの場合は)


『えっ〜と、お客様、何泊のご予定でしょうか?また、プランによって変わるものでして〜』とタブレットでホテルのプランを笑顔でお伝えつつも、上記のようなことを思ってるのでした。


すると老紳士は、タブレットをチラッとみて、

『1番高い部屋、朝食付き、1泊』と、、、


『かしこまりました。それでは、こちらの方に、、』

(まぁここからは在り来りな、ホテルのチェックイン内容なので、お部屋の案内まで割愛。)


『ごゆっくりお過ごしくださいませー。』


老紳士をお部屋まで、送り届けて、数時間後。

老紳士が、外出されるとこを、他の方のチェックインをしながら、チラッと見ていた。


とりあえず、今日はトラブルもなく、終わった〜っと思いながら、夜勤で出勤してた子と、引き継ぎ兼雑談をしていると。

ホテルマンとしては、ある意味では、来て欲しくない車が、ホテルの正面に止まる。

まず、2人の警察官が、降りてくる、、、、

(やりがったな…どのお客様だ....)


ホテルの中に入ってきた、2人の警察官

『あの、すいません、こちらにこの方ってお泊まりになってたりしませんか?』とお名前を言われて、、、


(オーマイゴット!!老紳士!!アンタ何やりやがりましたか?)


『あの〜特徴教えていただいてもよろしいでしょうか?』

(頼む、まだ、あの老紳士じゃないでいてくれ、、、、頼むぞ)


『えっ〜と〇〇代で、白ひげで、、、、』

(オーマイガー!!いやまだワンチャン、、、)


『パンイチで、、、』

(パンイチ・・・・えっ〜とそれうちのお客様じゃないような〜・・・)


『あちらから見えますかねパトカーの後部座席の・・・・』

(おい、、、老紳士よ、、あんさんどうしたよ、、、あしたのジョーの最終回並にやつれてるじゃないかよ.....)


『はい、残念ながら、うちのお客様ですね、、、お手間を取らせてすみません、、、それで、あの方は、どうなってここまで?』


警察官曰く、このような通報が入ったと

『身ぐるみを剥がされた、おじいさんが、バス停と戦っているから保護して欲しい』とのことだった。

現場に駆けつけると、パンイチ姿のおじいちゃんが、バス停にもたれかかっていて、何者かに身ぐるみを剥がされたとアルコール臭を漂わせながら、叫んでいた。名前を聴いた所、このホテルの名前を連呼し始めたので、確認のためきた。っと。


なお、結構暴れたらしく、警察署へ1泊するとのことだった。

(なんとはた迷惑な、ちなみに、翌日わかったことなんだが、

この老紳士は、身ぐるみを剥がされたのではなく、酒に酔ってフラついた拍子に、信号機とぶつかり、信号機とボクシングを始め、自分で衣服を脱ぎ始めたのが、バッチリ監視カメラに写っていたとさ、、、)


なお、当ホテルのルームキーは、グローブかけのような感じで、近くのバス停にかかっており、近隣住民より、お電話をいただき取りに行く羽目に。


老紳士は、骨折と高いホテル代と警察官のお説教で、この街を去っていった、、、


最後に私から一言『だから葉巻も吸うなって言ったよな!!』、、、


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