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第21話 復讐のダンスパーティー

私は騎士様が用意した馬車に乗り込んだ。


両親に会える! 心からホッとした。涙が出てきた。


「難破した船に乗っていた人たちのほとんどは無事だった。ただ、不便な場所だったので、知らせが遅くなったらしい」


「無事に帰ってきてくれさえすれば……」


私は泣きながら、途切れ途切れに言った。


「ああ、お前は本当によく頑張ったな。取り返しのつかない結婚からも逃げたし、自分で生計も立てた。料理の腕も抜群だ」


最後はとにかく、残りは本当にその通りだと思う。


「さあ、着いたぞ」


ん? 自分の家じゃない。


「ここは……騎士様のお屋敷では?」


私はそれまで入ったことがない客間に通された。


「そうだ。両親が戻ってくるまで、あと二週間くらいかかる。それまでに対策を練っておかないとな」


二週間も先の話なのか。喜び勇んで馬車に乗ったのに拍子抜けした。それに最後の一言がとても気になった。対策?


「対策……ですか?」


「忘れたのか? バリー男爵だ。お前の家を占拠している。そのうえ、バリー商会の名前で借金しまくっていて、ドネルが苦労している」


「えっ! 借金?」


「貸す方も悪いが、なにしろ名前も一緒だし、実の兄だからな。行方不明の間、一時的に弟の事業の面倒を見ていると言われたら信用するだろう」


それはそうかもしれない。


「一番気の毒なのはお前だ。すり替えがたくまれている。ジェロームはローズと名乗る女を連れて歩いていた」


「でも、もう、両親が帰ってきます。両親をゴマ化すことはできません。すぐばれますわ」


「だから、難破船に乗っていて助かった人の名簿の中から、お前の両親の名前は消しておいた」


私はびっくりした。なぜ、そんなことを?


「もちろん、バリー男爵に知られないためだよ。必要な人には個別に連絡した。むろんモレル伯爵は知っている。知らせは伯爵あてだったからな。それから、ドネルにも伝えた。ドネルも仲間だ」


ドネルが仲間? 何の仲間?


「復讐の仲間さ。男爵にバリー商会の金をよこせと要求されて、カンカンだった。それ以外にも、商会の店に行って、勝手に商品を持って帰ったり、女二人がバリー商会の名前でドレスを発注したり、ドネルは気の長い男じゃないので、いつ我慢の限界がくるかわからなかった。お屋敷にお嬢様はいませんと騒がれたら、困る」


困らないと思うけど、そうなのかな?


「お屋敷のお嬢様がいなくなったことは使用人の間では公然の秘密だ。監禁されているのではとか、殺されたのかとか黒い噂が流れている」


私は青くなった。


「そんなことになっているだなんて」


クスリと騎士様が笑った。


「だから、今から復讐するんだ」


一体何が始まるんだろう。


「まずは、今晩のダンスパーティに俺と一緒に出るんだ」










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