表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
護衛艦奮闘記  作者: SHIRANE
第4章 演習
27/49

第4章 最終話 「かけがえのないモノは?」

第4章 最終話 「かけがえのないモノは?」

▣ 2015年6月15日 12時25分 ▣

▣ SH601機内 ▣

「あぁ・・・新栄丸が沈んでいく・・・。」

船長の石堤は、SHの外を見ながら呟いた。

救助員をピックアップしてすぐ、新栄丸は海へ飲まれた。

奇跡的な事に、船員にケガ人は誰ひとりでなかった。

視線を機内に戻して、石堤はある事に気付いた。

「(家族が持たせてくれた御守はどこだろう・・・。)」

微かに湿ったポケットを探るが、何処にも見当たらない。

「(若しかして、私達の身代りとなってくれたんだろうか・・・。)」

生きて帰って来られた事を噛みしめ、ヘリは更に進んでいった。


▣ 同日 やくも発着艦指揮所 12時35分 ▣

ヘリは最速で飛ばし、10分でやくもの上空へと到着した。

「こちらSH-601。やくもLSO、着艦指示を願います。」

LSOに回線を合わせ、着艦の準備を整えた。

重傷者もいないのでやくもへ搬送し、そのまま陸へ運ぶ手筈だ。

「こちらやくもLSO。着艦を許可、現在は西風2m・艦の動揺は大きめです。」護衛艦への着艦は、とても難しいとされている。

何故なら、陸とは違い船は常に動いているからだ。

その為、海上自衛隊の航空科員は技術が軒並み高くなるというわけだ。

航空自衛隊にも着艦出来る人材は居るであろうが、それを確かめる機会は無い。

「SH-601了解。西の風2m、艦動揺大、着艦支援システムオールグリーン。」

ヘリは艦尾より徐々に近づき、高度を下げて行った。

着艦間際のこの時こそ、パイロットが一番神経がすり減るのだろう・・・。

「着艦位置到達・・・2m・・・1m・・・はい着いた!」

ガクンと位置だけ揺れ、ヘリが船に着艦した。

「ベアトラップ設置!! 着艦固定急げ!!」

格納庫より隊員達が飛び出してきて、素早く固定をすませる。

「着艦固定完了!! 」

作業員の合図を受けて、機内から次々出てくる。

救助者が出たのを確認して、木村と河野は操縦席を後にした・・・。


▣ 同日 食堂 12時45分 ▣

助け出された石堤らは、ひとまず食堂へと案内された。

やくもも、訓練行程を中止して留萌港へ帰還中だ。

食堂へ入って暫くすると、艦長の寺井崎2佐がやって来た。

立ちあがって敬礼をしようとすると、寺井崎がそれを手で制した。

「いいから、座っていて下さい。」

寺井崎からそう言われ、上げかけた腰を再び下ろす。

「私が艦長の寺井崎と申します。あなたが船長の石堤さんですか?」

石堤は手に持っていたお茶をテーブルに戻して、寺井崎に向き直った。

「はい、私が新栄丸船長の石堤です。今回は、ご厄介になっています。」

石堤は頭を深々と下げた。

「いえいえ、船に乗っている時に起こるかもしれない事ですので・・・。

 何より、誰ひとりお怪我がなかったことが何よりです。」

「はい、速やかな救助を本当に感謝している限りです。」

寺井崎は石堤と軽く話すと、下士官に世話を任せ艦長室へ戻って行った。

留萌の港も、あと2・3時間で見えてくる事だろう。


▣ 同日 やくも艦橋 14時45分 ▣

「前方に留萌港を視認。入港許可を願います。」

2時間をかけて、やくもは留萌港へ到着した。

「入港を許可、入港準備部署発動!! 入港準備急げ!!」

寺井崎が手短に命令を下すと、艦内が俄かに慌ただしくなってきた。

「両舷前進微速! バウスラスター作動!! 所定埠頭へ入港。」

寺井崎の命を聞き、艦内へと復唱される。

「バウスラスター作動、両舷前進微速!! 所定埠頭入港始め!!」

航海科員は艦外へ出て、舫いの準備に取り掛かっている。

先程まで降り続いた雨は、霧雨へと変化していた。

やくもはゆっくりと留萌港内へ入り、いつもの埠頭を目指した。

「各部署、入港作業監視を厳に!!」

寺井崎が艦内へ向けて令した。

埠頭にはすでに、作業員が待機している。

船はやがて、彼らの待つ埠頭へ到着した。

「投錨!! 舫い固定急げ!!」

錨が下され、船は元の場所へと収まった。

埠頭には数台の救急車が救助者の搬送を待っている。

「要救助者を救急隊へ搬送、引き継ぎを急げ。」

やくもへ収容された要救助者は、隊員に連れ添われ無事地面に足を着けた。

石堤らは念のため、病院で検査を受ける予定である。

長く感じられたその時は、無事救われたのだろう。

寺井崎も報告書をまとめ、総監部へ出頭をしなければならない。

なんせ、訓練が一回無くなってしまいましたから。

けれど、人命が救われた事が何よりの成果だと寺井崎は思っている。

「訓練にも要救助者搬送訓練って言うのがあったしな・・・。」

実戦にまさる訓練は無い・・・。

やくものクルー達は、また1つ大切な事を学べた。

どの様な事でも、人の命が最優先であるという事を・・・。


▣ 同日 19時00分 首相官邸 ▣

「では、これで閣議決定とみなしてよろしいですね・・・。」

首相官邸では、閣僚が集められ会議が行われていた。

しかし、いつもとは雰囲気が心なしか重たく感じる。

「えぇ、基本的にですが・・・・・・」

話は更に進んでいく様子であった。

この閣議こそ、やくもには大きな決断であっただろう。

果たして、閣僚たちは何を決めようとしているのか・・・?


どうも、作者のSHIRANEです。

やっと、第4章が完結しました。

内容は・・・まぁとしまして、皆さんから見てどうなのでしょう?

かなり自己満足な文を書いている気もしますが、それでも

読んで頂いている読者の方にはただただ、頭の下がる思いです。


一応、この話しも進め参りますが・・・

他の作品の方にも着手していきたいと考えております。

自分的には、学園モノも書いてみたいのですが・・・。

何はさておき、これからもSHIRANEをヨロシクお願いします^^

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ