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護衛艦奮闘記  作者: SHIRANE
第3章 防災
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第3章 第4話 「大規模防災演習in北海道 中編」

第3章 第4話 「大規模防災演習in北海道 中編」

▣ 2015年6月3日 12時00分 ▣

▣ 北海道庁前広場 ▣

「続いて、福田知事よりお話しがございます。」

呼ばれると同時に、壇上に上がるとマイクを手に取った。

「皆様、本日は暑い中お集まりいただき有難うございます。

 今日は、晴天とは行きませんでしたが無事、開催する事が出来ました。

 さて、今年度よりこの防災演習を行う事になった経緯をご説明いたします。

 北海道庁で調べた結果、北海道内の救急指定病院およそ60%が震度6強の

 揺れに耐える事が難しいという結果が出ました。

 この事を受けまして、自衛隊・警察・消防・医師会・道危機対策局で協議

 した結果、今回の大規模防災演習をおこなう事になりました。

 普段より、このような演習を行う事で反復を重ねまして、実際の災害の際に

 十分な実力が発揮され、道民の財産・安全が確保できればと思います。」

そこまで言い切ったところで、会場の広場から拍手が沸き起こった。

「いいぞ!!」「さすが、福田知事!!」など様々な声が沸いている。

「有難うございます。

 今回の報告を受けまして、救急指定病院の耐震化を行っている所です。

 この事に関しましても、道民の皆さんのご理解を頂けます事をお願いします。

 それと、想定に関してはこの後、副知事の木田より説明があります。」

そう言いきると、壇上で深々と礼をして、壇上から降りた。

会場には、また大きな拍手が沸き起こっていた。


▣ やくもCIC ▣

「艦長より総員に達す!!本艦は、15分後シーホークの緊急発艦を実施する。

 総員に現在時を持って、生存者救助部署準備態勢を発令する!!

 各員、持ち場配置につけ!!! 以上。」

知事からの挨拶が終わったところで、寺井崎は艦内に令をとばした。

今回津波は発生しない予定であるが、海上監視も役割の一つである。

先程の令を受けて、航空科員たちは緊急発艦の為の準備をしているだろう。

「さぁ、準備は整ったかな・・・。」

寺井崎は呟きながら、88式鉄帽の顎紐をきつく締め、救命胴衣の前を閉めた。

「砲雷長、CICは任せたぞ。」

「はっ、了解しました。」

敬礼をして、寺井崎は扉から出て行った。

▣ 札幌市消防局 ▣

白石は、消防局の椅子にかけて想定を見直していた。

「俺らはこの後・・・」

FAXされてきた用紙2枚を両手に持ち、交互に見比べる。

「本隊は、消防局にて被災。その後、札幌ピーチホテルを現場に見立て、

 救助作業を行う。なお当ホテルは、昨年倒産し道管理とされている。

 市の職員が実際に、強度に影響がないよう一部瓦礫が破砕している。

 なお、進入後人命検索を行う・・・。」

一人でブツブツ呟きながら、復唱を繰り返す。

復唱が終わると、用紙を机に置き伸びを繰り返した。

「あぁ、時間的にはもうすぐだな・・・。」

時間が、15分に迫っていた・・・。


▣ 2015年6月3日 12時15分 ▣

▣ 札幌市内 ▣

「3・2・1・ウ―ウ―ウ―ウ―ウ―ウ―・・・」

札幌の街にサイレンの音が鳴り響く。

中心街のディスプレイには、「防災演習開始!!」か映し出される。

その文字もすぐに、「緊急地震速報」に切り替わった。

緊急地震速報とは、震度5強以上の揺れが予測される場合に発令される。

速報のあとに、ディスプレイがNHKのニュースに切り替わる。

「只今、北海道を震源とする非常に大きな地震が発生しました!!

 詳しい震度は、情報が入り次第お伝えします。繰り返します・・」

NHK北海道のキャスターが、想定文を繰り返す。

街を行き交う人も立ち止って、ディスプレイを見ている。

その横を、数台の消防車が通り過ぎる。

「ウ―ウ―ウ―カン、カン、カン!!・・・・」

消防車のサイレンが、街にこだました。

いよいよ、演習が始まった。


▣ やくも艦橋 ▣

寺井崎は、CICを出た後、艦橋で指揮を取っていた。

そこに、通信長が駆けこんできた。

「艦長、留萌総監から緊急電!! 1215時、北海道で大規模な災害発生!!

本艦に海上偵察の命令が入りました。」

通信長が持ってきた通信文を寺井崎は、複読する。

寺井崎は、インカムを手に取り艦内に令した。

「艦長より、総員に達す!! 先程1215時、北海道で災害が発生した。

 ついて、現在時を持って生存者救助部署を発令する。

 シーホークは、緊急発艦の用意!!海上偵察を開始する。」

艦内にサイレンが流れ、副長が復唱する。

後部格納庫では、慌ただしくシーホークの発艦作業が行われる。

数分立たずに、艦橋に発着艦指揮所から連絡が入る。

「LSOから艦橋!! SH-601の発艦準備完了。発艦許可を願う!!」

「艦長よりLSO。発艦を許可する!!」

許可を出すと、艦橋にいてもヘリの飛び立とうとする音が聞こえる。

「バラバラバラバラバラバラバラバラ・・・・」

ヘリからでる風が、護衛艦を小さく揺らす。

「SH-601よりやくもへ。これより海上偵察を開始する。」

シーホークからの通信に、通信長が答える。

「やくもよりSH-601へ。了解、画像の転送を願います。」

「SH-601、了解しました。画像を転送します。」

通信を一度切ると、回線を通してヘリからの画像が映し出される。

寺井崎は、タイミングを見計らい通信長へ指示を出す。

「通信長、SH-601を帰還させて下さい。燃料補給後、道内へ向かわせます。」

「了解しました。」

通信長は、シーホークの周波数に合わせ指示を伝える。

数分後、ヘリの羽音が近づいてきた。

そのタイミングで、LSOから着艦許可を求める上申が行われた。

「LSOから艦橋。シーホークの着艦許可を願う。」

「艦橋、了解しました。着艦を許可します。」

「LSO了解。速度を、20ノットまで減速されたい。」

「艦橋了解しました。」

LSOからの指示で、艦の速度が少し落とされる。

「速度、ふたじゅー!!」

航海科員の声が、艦橋内に響く。

艦橋から見える海原は、とても静かだった。


▣ 2015年6月3日 12時26分 ▣

▣ 札幌ピーチホテル敷地内 ▣

ここ札幌ピーチホテルでは、警察・消防・医師会の本部が設置されている。

白石ら特別高度救助隊も、この後建物内部の検索を実施する。

合同本部には、何人が被災しているのか現時点では伝えられていない。

つまり、救助側からすれば実戦と変わりないのである。

「第2隊集合!!今から、ブリーフィングを実施する。」

白石が、自分の隊を召集し始めた。

「本隊は、1階裏口から進入する。正面玄関は地震の影響で通れない。

 なお、内部は煙幕で視界が非常に悪く、酸素も薄い。

 したがって、面体など完全着装で進入する。ここまではいいか?」

隊員達が一様に頷いた。

「要救助者の数は現時点では把握されていない。

なお、酸素残圧が少なくなったら一度館外へ退避もやむを得ない。

これで、ブリーフィングを終了する。1235時に館内進入を開始する。

準備にかかれ!!」

白石の合図で、隊員達は救助車両に戻り装備を装着する。

全てをフルで装備すると結構な重量になる。

やはり、日頃の鍛錬がものを言うのだと思う。


▣ 同日 12時35分 ▣

▣ 札幌ピーチホテル裏口前 ▣

「中央901から合同本部。現在時、建物内へ進入を開始する!!」

白石が、行くぞ!!と声を出して扉を開けた。


▣ 札幌ピーチホテル1階 ▣

内部はひどい有様だった。

煙幕による煙が充満しており、視界が非常に悪い。

白石は、装備しておいたライトを自分の前に照らす。

それと同時に、隊内専用の無線のスイッチも入れ指示を出す。

「隊長より各隊員へ。これより3名1組で1階部の捜索を行う。

 北村・東本は俺と南側、野田・巣鴨・清水は北側を捜索だ!!」

指示を出すと、隊員達はそれぞれ別れ検索を始めた。

「北村・東本、左右に広く散らばって捜索するぞ。」

そう言うと、北村と東本は白石を間に挟み散開した。

外から見ると大きくないの、中は物凄く広く感じた。

どの部屋にいるのか分からないので、一室一室チェックしていく。

まだ、検索は始まったばかりであった。


▣ 同日 12時40分 ▣

▣ SH-602機内 ▣

「SH-602よりLSOへ。これより、災害合同本部へ急行する。

 伴って、発艦許可と発艦管制を要請する。」

SH-602の操縦士である、木村がLSOへ要請を始めた。

その間にも河野は、機器のチェックを済ませる。

「LSOよりSH602へ。発艦を許可します。風は微風、発艦可能。」

木村は端的に了解、と伝えて操縦席に座り直した。

「河野、準備はいいか。発艦するぞ!!」

「はい!!」

青と赤の誘導灯を持った管制官が、左と右の手を交互に上下させる。

その合図と共に、ヘリが少しずつ上昇を始める。

やくもの上部付近まで上昇した所で、ヘリが少し傾き前進を始める。

「河野、やくもへの通信を開け。」

「はい。」

返事を返すと、周波数をやくもに合わせ直した。

「SH-602よりやくも。応答願いたい、どうぞ。」

河野の声に少し遅れて、返答が返る。

「こちらやくも、SH-602どうぞ。」

「現在、災害対策本部の救難指令に基づき現場急行中。無線開局願う。」

「やくも、了解しました。無線開局します。」

無線の開局手続きを済ませると、次は災害対策本部に周波数を合わせた。

「やくも所属SH-602より、災害対策本部。応答願いたい。」

「こちら災害対策本部。無線感度良好、こちらへの到着予定を知らされたい。」

河野は、木村の方を向いて内容を合図する。

「大体、25分程だ。」

「そちらへの到着は、1305時予定。以上、SH-602。」

「災害対策本部了解。」

河野は、全ての無線手続きを済ませると前に向き直った。

ヘリから見る景色は、いつもと変わりない青い空と海だった・・・。


更新が遅くなってしまいました。

本当は、前後編で終了しようと思ったのですが・・・

思ったより内容が膨らんだので前中後編に変更しました。


ご意見やご感想をお待ちしています。


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