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護衛艦奮闘記  作者: SHIRANE
第2章 舞鶴
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第2章 第4話 「舞鶴から沓島へ~対領空侵犯対処演習2~」

第2章 第4話 「舞鶴から沓島へ~対領空侵犯対処演習2~」

▣ 2015年5月16日0時28分 ▣

▣ あたご艦橋 ▣

昨日出発したあたごは、20ktで沖葛島沖を航行していた。

「航行に異常はないか?」

当直責任者の谷副長が艦橋に入ってきた。

昨日第3哨戒配備が発令されてから、2交代制の当直の任についている。

「はっ、異常はありません。艦内各所からも報告はありません!」

同じく当直の任についている20代の航海科員が答えて、任に戻った。

(今は、零時を回ったところか・・・。)

谷が少し考えていると、三浦が近づいてきた。

「副長、少しお休みになられてはいかがでしょう。艦橋はお任せを。」

三浦は、休憩を提案してきた。

少し考えたが、断る理由がないので素直に受ける事にした。

「わかった。気遣いありがとう、3:00に声を掛けてくれるか?」

「はっ、了解いたしました。」

そう言うと、三浦は艦橋の監視に戻った。

谷もそれを見届けて艦橋を後にした・・・。


▣ 同日 6時00分 ▣

▣ 艦長室 ▣

航海2日目を迎えた今日は、寺井崎はいつもより少し早く目を覚ました。

その理由は、ある夢であった・・・。

その夢を振り切るために、冷たい水を顔に掛けた。

「冷たいー!!!」

自分が想定していた温度違っていたので、すぐに目が覚めた。

「あっーすっきりした。」

顔を洗い終わると、クローゼットに掛けてある幹部制服に袖を通した。

寺井崎は、椅子に掛けて昨日の報告書をチェックし始めた。

夜などの報告書は、扉のポストに差し込まれている事が多く、当直以外の時の情報を確認するのにとても役立っている。

「えーと、昨日の夜間作業報告はと・・・?」

ほとんど記入される事のない速度変更欄に記入があった。

「えーと、変更時間は3:25で当直責任者は・・・谷だな。」

そう確認すると椅子から立ち上がり、艦長室を後にした。

▣ 同日 6時20分 ▣

▣ 艦橋 ▣

「艦長上がられます!!」

入口付近に立っていた海士が、艦橋に向かって報告した。

「副長はいるか?」

寺井崎が口に出して艦橋を見渡した。

すると、寺井崎に三浦が近寄ってきた。

「ご苦労様です!!副長は只今、CICに降りております。お呼びしましょうか?」

「いや、いい。CICにいるんだな、艦橋は頼むぞ!」

軽く敬礼を交わして、艦橋を後にした。


▣ CIC ▣

「副長はいるか?」

艦橋と同じような口調で部屋の中に問いかけた。

「あっ、艦長ご苦労様です!」

谷がCICから出ようとしながら言ってきた。

「谷、少し聞きたい事がある。外で・・・いいか。」 

そう言ってCICの廊下で話を聞いた。

「昨日3時過ぎに航行速度が変更されているが、これはなぜだ?」

寺井崎が質問をぶつける。

「はい、昨日航行に遅れが見られるため、上申を受けて許可しました。」

「上申者は誰だ?」

次に出てきた疑問をぶつけた。

「三浦2等海尉です。当該時刻、艦橋にて指揮をとっていました。」

寺井崎は、疑問がすべて晴れると続いて質問した。

「沓島への到着時刻はどうなっているか報告を頼む。」

「はっ、本日1200時には当該島へ接岸できる見込みです。」

「了解した、艦の指揮を頼むぞ!!」

「はっ!!」

そう言って寺井崎は、艦長室へと戻った。


▣ 同日 11時55分 ▣

▣ 沓島沖5km地点 ▣

「アンカー下ろせ!! 1230からの対水上戦闘演習に備えろ!!」

予定より5分程早く、沓島沖に投錨することができた。

今日の午後は、20km離れた目標を確実に攻撃する演習が行われる。

目標は小型艦なので、隊員の練度と精度が試される。

寺井崎は、それなりにこの演習を楽しみにしている。

しかし、寺井崎は今日より明日の方が不安ではあった。

なぜなら・・・、

「・・長、・・・艦・・長、・・・艦長!!」

「ああ・・・。」

寺井崎は、三浦にゆすられて我を取り戻した。

「ああ、どうした?」

どうやら、すこしうとうとしていたみたいだ。

寺井崎が聞くと、演習計画を持参してきていた。

「艦長だけまだ拝見していただいていないので、持ってきたのですが・・。」

「ああ、すまないな。ありがとう、拝見するよ。」

そう言って、演習計画に目を通した。

「演習計画に変更はあるか?」

「いいえ、ありません。」

「そうか・・・。」

会話しているうちに、演習計画に目を通し終えた。

「ありがとう。今の時間は何分かな?」

「はい、えーと12時15分です。」

時間を聞くと、準備をしに一度艦長室へ戻って行った。


▣ 艦長室 ▣

幹部制服を正し、JS ATAGOと刺繍された部隊帽を深めに被った。

「よし、行くか!!」

自分なりに気合を入れ、CICへと向かった。


▣ CIC ▣

CICに入ると慌ただしく科員が動き回っていた。

時刻はちょうど、12時25分を指していた。

「砲雷長、演習準備状況を報告して下さい。」

「はっ、ほぼ準備が完了したと報告が上がっています。」

「ほぼとは?」

砲雷長が口にした「ほぼ」という単語に反応していた。

「えーと・・・ですね、目標配置に行った隊員が戻れば完了です。」

報告を淡々と受けていると、準備完了の報告を受けた。

「よし、それでは対水上戦闘演習を行う!!」

寺井崎の掛け声とともに、レーダー員から状況報告が入る。

「1230時、対水上レーダ―に感!! 方位90度、相対距離15000m。」

報告と共に寺井崎は手元のインカムに手を伸ばした。

「水上戦闘用意! 対水上見張りを厳となせ!!」

同時に砲雷長へ武器の選定を命じた。

「主砲戦闘用意!! 目標方位90度、相対距離 12000!!」

砲術士と電測士が連携を取りながら目標の位置を合わせていく。

「主砲戦闘用意よし!!発射方式を手動モードに設定、準備よし!!」

砲術士が手元のハンドガンタイプの発射機を手に取った。

艦は、右へ回頭しながら攻撃準備を整える。

回頭を合図に砲雷長が指示を出す。

「128mm主砲、撃ち―方始め!!」

「撃ち―方始め!!」

砲術士が復唱し、発射機を奥に押し込んだ。

「ドーン、ドーン、ドーン・・・」

重い音が艦内にも響き、数発の砲弾が目標に向かって飛翔する。

「128mm主砲、撃ち―方止め!!」

「撃ち―方止め!!」

砲術士が、発射機を元の位置に戻す。

砲弾はその間も、目標に向けて飛翔を続ける。

はじめに発射された砲弾が、目標に降り注ぐ。

「バーン!!!!!」

何かが爆発するような音が遠くで聞こえた。

水上レーダーを確認すると、目標が破砕したようである。

念のために、SHを飛ばして確認すると確かに、目標の破砕が確認できた。

つまり、水上戦闘演習はひとまず成功を収めた。

寺井崎は安堵のため息を一度つき、艦長室へ戻った。

その寺井崎は、CICにある資料が置き忘れられていた。

「対領空侵犯対処マニュアル1」

端的にそう書かれていた・・・。


                つづく


更新が遅れてしまって、本当にスイマセン。

お楽しみにしていただいていたようで、とてもうれしい限りです。

更新が少し遅れ気味ですが、辛抱強く書いてまいりますので

応援よろしくお願いいたします。

新作品の執筆も考えていますので、そちらも投稿されればご覧ください。

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