第2章 第1話 「舞鶴の今日は晴れだった!?」
第2章 第1話 「舞鶴の今日は晴れだった!?」
▣ 2015年5月1日 10時00分 ▣
▣ 海上自衛隊 舞鶴基地周辺 ▣
柔らかな日差しに包まれて、今日も1日がスタートしていた。
ここ「舞鶴基地」は、地方隊唯一の日本海側に面している基地である。
そのため、2008年には「第23航空隊」が新設され常時、12機のヘリが
常駐させられるようになり、この基地の重要性がさらに増してきていた。
「うーん、今日はいい日差しだな。」
一人つぶやいているのは、ご察しの通り寺井崎である。
なぜ留萌所属の寺井崎がここにいるのかというと、5日前に遡る事になる。
▣ 2015年4月26日 12時00分 ▣
▣ 留萌基地 基地司令室 ▣
「`コンコン`、寺井崎ですが・・・」
いつもより小さめの声でノックした場所は、基地司令室であった。
何か話があるとのことだが…。
「あぁ空いてるよ、まぁ入りたまえ。」
「はっ、失礼いたします。」
そう言って寺井崎は、基地司令室のドアを開け中に入った。
「何か御用でしょうか、基地司令。」
寺井崎は思っている事を素直に口にした。
私の前に立っている人こそ、留萌基地司令の[野々宮 明]海将補である。
海将補など、到底自分がなれる位などではない。
そのため、寺井崎はいつもより緊張している面持ちだ。
「まぁ、リラックスしなよ。まぁ話といえばね、君にね1ヶ月間舞鶴の方に
勤務してもらう事が決まってね。」
「はぁ、舞鶴・・・ですか。」
「いや、「あたご」の艦長が胃潰瘍で入院してね、その間勤務してほしいとの
事なんだ。幸いこっちは訓練がないから1ヶ月間抜けても大丈夫だから、
受諾したんだけどよろしく頼めるかな。」
「はっ、海将補のご命令とあらば舞鶴へ1ヶ月間勤務します。」
「よく言ってくれた。それではよろしく頼むよ。」
そう言って、司令室を後にした。
▣ 2015年5月1日 10時03分 ▣
今日の1200に着任する予定の寺井崎は、先に舞鶴地方総監部へ先に挨拶へ
行くことにした。
「へぇ~、すごいきれいな場所だな。」
寺井崎がそう思ったのはおそらく、塗りたてのペンキのせいだと思う。
スタスタと門の所の警衛に敬礼をしつつ、門をくぐり庁舎に入って行った。
▣ 舞鶴基地総監部庁舎 ▣
寺井崎は庁舎に入るとまず、受付に行った。
「すいません、寺井崎というものですが基地司令にお取次願えないでしょうか。」
そう寺井崎が言うと、受付係がすぐに取り次いでくれた。
隊員に案内され基地司令室にたどりつき、部屋に通されるとそこには品格の
漂う男性が一人、幹部制服に袖を通し座っていた。
「あちらが基地司令の、菅田 勇人 海将であります。それでは、失礼します。」
そう言って案内してくれた隊員は、部屋を出て行った。
「まぁ、そこにかけてくれ。」
開口を切ったのは菅田の方だった。
「はい・・失礼します。」
(留萌の基地司令で海将補なのに、この人は海将・・・
寺井崎の緊張もピークに達しようとしていた。)」
「まぁ緊張しないで、ようこそ舞鶴へ!私が基地司令の菅田だ、宜しく。」
まずは軽い挨拶からスタートした。
「留萌総監部より派遣されましたやくもの寺井崎です。宜しくお願いします。」
菅田の柔らかな口調に寺井崎も次第に緊張が薄れていった。
話は流れに流れてまとめの部分に入って行った。
「まぁ短い間だが、ここで学べることもあると思うから頑張ってくれ。」
「はっ、ご期待に添えられるよう精神誠意頑張らさせていただきます。」
「では、失礼します!」
そう言って寺井崎は部屋を後にし、ひとまず市内のホテルへと向かった。
本来宿舎に入るはずなのだが、あいにく部屋の整理がついていないらしく
今日だけホテルにとまることになった。
したがって、本格的な業務は明日からとなった。
優しそうな司令だが、寺井崎は留萌で学んだ事がひとつ・・ある。
人の固定観念に縛られない、という事だ。
固定観念に縛られると、今後の業務に支障をきたす場合があるからだ。
「まぁ、ぼちぼちやっていくか~。」
明日からの業務を楽しみに、寺井崎はホテルに向かっていった・・・。
数日中と言っていたのに更新が遅れてスイマセンでした。
二話目の舞台は「舞鶴」、どことなく留萌を思い出す人物の登場も予定しています。まぁ、二話目からもぜひ、ご期待ください!!?