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わんわん。お呼びじゃないんですよー?



 わおん。


 吾輩は狼である。


 それも、純白の、気高き獣の王の如く。


 

 『至急至急!先程、1メートル先に【オオカミ(・・・・)】を発見した』


 ―――――了解。直ぐに応援を向かわせる。


 ―――――伝令。604番、そちらに向かっているので警戒を。

 

 ―――――ラージャー。既に住人の避難は済ませてある。自衛隊からの応援も到着した。



 ファンタジー世界てあれば、オレつえー!となっていただろう。けれど、ここは地球(・・)だ。


 いやほんと勘弁してくだせぇ。


 これでも人間なんですよ私は。


 はい、元は立派な人間でして――――――『白山(しろやま) (たける)』。異世界転移前(・・・・・・)は社会人でして、死んだ理由は不明。正直よくわかっていません。

 けれど、異世界転生後に日本の神様がその異世界の神様に恩を売る為に誘拐されました。


 で、何か異世界にやってきたグロテスクな生物が侵略してきてたらしくそれを始末しろとのこと。勇者とかそういういーぇーィッ!みたいなノリノリなやつじゃない。むしろ兵隊だ。戦争だ。

 幸運にも私には誘拐した地球の神様から神様の武器、【神器】四つを借りて何とか殲滅完了しました。ですが、【神器】というのは人間が使用すると結構ヤバいらしいです。しかも【神器】の内の一つが私と同調率が高く、更には同化した為に―――――――“あーむりむり。神気塗れだけじゃなく、【神器】と同化なぞ妾らの世界に、単なる人間として戻せる訳なかろう。じゃが、約束は約束じゃ。ちゃぁんと地球には戻してやる。無論、人としてではないがな?”とお言葉を。


 神ってクソなのかな。



 『麻酔銃の準備は!』


 『狩猟銃所有者の方々に用意してもらってます!』


 『あのデカさだ。一発で止めれるか…………?』


 『体長は三メートルオーバー、推定体重は300キロだろうな』


 『ベンガルトラ超えかよ。ンなの、日本の何処に隠れてたんだぁ!?』



 しゃーないじゃん。


 私も何でバカでかいサイズにしたのかって神様に聞いたら“だって貴様、妾らの神使じゃしな。それくらいの威厳がなければ神使してやっていけぬぞ”とのこと。それ、逆効果になるのでわぁ!?と反論したら無視されました、まる。



 『既に包囲網は強いてある。これで捕獲出来るか……?』


 『まるで怪物退治だ』


 『捕獲なんて可能なのか?』


 

 やっほー!日本の皆様方〜!


 何かよくわからない神様の神使になりました者です〜!


 あのー、ちょっとお話とかできませんかー?



 『お、おい、マジでオオカミなのか?』


 『専門家はニホンオオカミだって言ってたが』


 『ニホンオオカミが、大熊を吹き飛ばすわけねぇだろ!?!?』



 あ、いや、それはですね?


 何か襲い掛かってきたんで、とりあえずカウンターしたら吹き飛ばしました。まるでバトル漫画みたく、熊さんは木々をバキボキとへし折れながらそのまま倒れてしまい………それを近隣の方々に目撃された結果が今です。また、その熊さんは死んでなかったけど、私を見るなり悲鳴を上げながら逃げました。人街の方へ。


 流石に、やらかしたのではぁ!?と思いその熊さんを連れ戻そうと今に至る訳です。ほら、その熊さんが人を襲ってたら夢見が悪いじゃないですか。



 『あの大熊は直ぐに麻酔弾で眠らせて捕獲は出来たが………』


 『何なんですか、あのオオカミ。麻酔弾を何発か撃ち込んでいるのに眠る気配も』



 え゛っ!?


 もう撃たれてたんですか私!?


 ……………んー、痛いとかそういうのは全くないですね。眠気もありませんし。あ、ちょっと痒ぃ。犬みたいに後ろ脚でかくのもヤだから、ちょっと身体を振るって、と。



 『お、おい。オオカミから何か落ちたぞ』


 『嘘だろおい。落ちたの、へしゃげた弾丸だ。しかも撃ち込んだ弾数と同じ………』


 『まさか、皮膚内部に到達していないのか!?』



 あ、痒いの取れた。


 あと何か不穏な感じになってませんか?



 『これは、マジでヤバいかもしれん』



 誰かがそう呟きますけど、まあ狼ですからね私。一応元は人間、しかも日本人故に日本語はしっかりわかってますことよ〜!



 『おいおい、ファンタジーじゃねーんだから』


 『下手に騒ぐな。相手はバケモノだろうが、生き物は生き物。こうなったら出方を伺うしかない』


 『は、ははっ!こんなの、無理ゲー………だけど腹括るしかないさね』



 あ、あのー、何か最終決戦的な展開で皆で一致団結してあのモンスターを討伐っ!みたいな感じのやめてもらっていいですか?



 『あのオオカミ捕獲したら、全員で呑みにいくぞ!』


 『勿論でぃ!』


 『やってやらぁ!』



 わおん。


 ボスじゃん私。


 いや、人類の敵になるわけじゃないですし!



 《あー、テステス。聴こえておるかのぅ、木偶の坊よ》


 

 うわぁおん、この如何にも偉そうな声は――――――どこのどなた?



 《ほほぅ?この妾を忘れるとは、何たる屈辱か!妾こそ、貴様を獣に――――――神使にしてやった》  



 あ、そうだそうだ。アマテラス様だ。



 《――――――【アマテル】であるッ!!!ほんっっっと、日本人共は、コイツもどいつも!妾の名を間違える愚か者共がッ!!!考えてもみろ!この日本を統べるのは女神ではなく、男神じゃろう!》


 

 いやそれ、アマテルさんが女装趣味に走ったせいでは?確かツクヨミ様も巻き込んで女装していたら周りから女神と勘違いされて、現在に至る……と。まあ見た目もロリ―――――じゃなくて、ショタだから余計にか。



 《あのウズメ(・・・)め。あのバカが妾を女神様と称え始めたのが原因じゃ。そしてあの愚弟も妾を姉と呼ばわりおって》



 スサノオさん的には今でも姉だと本気で信じていますからね。どうにかしたらどうです?



 《妾のことよりも、キサマの方こそどうにかしなければならないのでは?》



 いやー、そうなんだけどさ。


 これ、人類の敵みたいな展開じゃないですか。



 《一応キサマは神使じゃから、殺せばどうなるかなど―――――のう?》



 え、それはそれでなんか困る。


 せめて人間に戻れたら。



 《人になりたいと?》



 でも無理なんでしょ?神気塗れで、神器も複数使っちゃったし。



 《まあ普通はのう?しかし、主神たる妾アマテルの使徒である。何を困ることがあるか!使徒ならば、余には劣るがその神々しさに人類は崇拝すべきなのじゃ!あ、捧げ物で甘いのあったら余に捧げるのじゃぞ!必ずじゃぞ!》


 

 え、捧げ物って生け贄になりませんこと!?


 

 《安心するがよいっ!地球にはある団体がおるのは調べがついておる!》



 な、なんと!


 そ、その団体とは………?



 《詳しくは知らんが、『どうぶつ(・・・・)あいごだんたい(・・・・・・・)』?という団体じゃ!どうやらあらゆる動物を守る団体だそうな》



 はッ!な、なるほど!


 動物愛護団体ならば、大きい犬でも保護してくれるハズ!なんだって、私が異世界転生前には人を襲った熊を駆除しようとした市町村に対してその人喰い熊を保護を言い出した位だ。


 最初は、何てクレイジーなんだ!って思ってたよ。頭バグってるって。

 けど、動物愛護団体なら!動物愛護団体なら!


 

 《であろう!であろう!では、善は急げじゃ!》



 よし!行こう、はい行こう!さっ!しゅっぱつだー!

怒られない、よね?

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