第六話 後悔した心
30文字おさらい
「理由を認めてくれた神様(?)から能力を授かり、世界に戻れた!」
「は? 俺に神授瓶を飲ませた?!」
「どうゆう事だ?!母さん説明してくれ」
どうやら本当に俺は神授瓶を飲まされたらしい。
ーーーーーーーーーーー 時は3時間前 ーーーーーーーーーーー
「え!? これ神授瓶じゃないですか...」
「えぇ。なにかあった時の為に隠し持っていたの。
それかグルシャが大人になって旅にでるとか言い出したら教えようかと思ってた。
大人にはなっていないけど、その時が来たみたいね」
「能力があるに越したことないですけど、神授瓶はかなり危険な薬ですよ」
「そんなことは分かってる。でも飲まなくても結局死ぬのは変わりない」
「ユバスを守るためにも、夢の為にもグルシャはこれを飲む事が必要」
「もう時間がない。グルシャはきっと目を覚ましてくれるはず...!」
「待ってください!安易に使っていい薬じゃないです!」
ユバスは何とか止めようとアンナさんの前に立ち、止めようとする
右に行くと右に、左に行けば左に動き、グルシャに近づかせないようにした。
「私飲んだからわかるんです。この薬がいかに危険なのか」
「ちょ...ちょっとアンナさん...アンナさん!」
アンナさんがユバスに近づいてくる。その感情がない目は脳がおかしくなってると思えるほど
ユバスはその目をみると恐怖心で目をそらすことが出来なくなってしまった。
「言ったでしょ? 無能力者はこの世界だと奴隷が獣に殺されるしかない
それに天国界までいくならこの力は持ってないと行けない。」
「どきなさいユバス。あなたが思っているほどこの世界は楽じゃないの」
ユバスはその圧で止める事が出来ず、ついにアンナがグルシャの前に立つ
「帰ってくることを信じてるわ。」
グルシャの口をあける。深い睡眠のグルシャはそんなことに気づくことはない
瓶の蓋をあけ、入っていた液体を飲ませる。少量しか入っていないため、一瞬で瓶の中身が空になる
その瞬間、後悔なのかこの場で足から崩れてグルシャの横で泣き崩れてしまう。
ユバスはさすってあげることすらできない。だたその光景を見つめ続けるしかなかった
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母さんはかなり頭がおかしくなっていたらしい。
かなりのパニックになっていて、正しい判断が出来ていなかったんだ
「正直飲ませた時はとても後悔したわ。本当にごめんなさい母親失格ね」
「でも良かった。本当に...良かった」
母さんはただ、手で顔を覆い涙を流し続けていた。
ひとまず母親をいったん落ち着かせる
まずは、3人でしっかりと話すことが大事だ。
「グルシャ。まずは第八圏の入口に栄えている壁上 ヴィーラルを目指して進もう」
「そこには食料とか新しい情報とかがあるらしいから」
「ヴィーラルか。かなり危ない所だが行くしかない」
「それなら今すぐ準備だ。ユバスも準備できたらすぐ出発するぞ」
「待って、まずは飛べる練習しないと。すぐ飛べないと思うからさ」
「...そうだね。」
ユバスとグルシャは外にでて練習をすることにした
大体2時間練習をして翼を大きくするコツは掴むことができた
「じゃあ、最後は少し飛んでみようか」
「飛ぶのは意外と簡単。コツを掴めばすぐ飛べるようになる」
「まずは見本見せるから見てて」
その瞬間小さかった翼がバサッっという音と同時に一瞬で大きくなった
そして、白い光を放ちながら羽を動かしあっという間に2m位まで飛び、ゆっくり降りてきた
「コツは翼に意識を集中させたらジャンプするの!そしたら上に行く力が働く」
「その力と風を読んで止まったり進んだりする感じだね。」
「難しそうなんだけど。とりあえずやってみるよ」
大翼に意識しジャンプをした瞬間一気に上への力が働く
「え???!??!?!?」
「グルシャ大丈夫~?降りれるの~?(大声)」
翼を上手く操れない事で上下左右に動き回ってしまい地面がどの方向が分からなくなってしまった
「待て待て落ち着け...俺落ち着け...」
落ち着いて翼を動かし、なんとかその場に止まることが出来た。コツは掴めたみたいだ。
よく見るとユバスが逆さまに立っている。
グルシャは逆向きで飛んでいるようだ。
「逆さまにとどまる方が難しいと思うんだけど...まぁ大丈夫そうだね」
後は出発の準備だ。
ヒロはリュックサックに詰めこんだ
入れたのは下記の物だ。
・ランタン 1つ
・水筒1(水が1L入っている)
・水筒2(母さんが残ったコーンポタージュを入れてくれた)
・本「神ノゴ加護を授カル瓶 1」
・200ラーズ (1ラーズ = 10円)
本当はもっと持っていきたいのだがリュックがパンパンになってしまう
でも町に行くなら充分だろう。
俺は地下室を出てもう一度無惨な家を見た
家を見るたびにこんな衝撃で生き残れたのは奇跡過ぎると痛感する。
なんならユバスの衝撃をこの家で受けとめたからこそ今があるとでも考えようか。
そんなことを考えていると地下室からユバスと母さんが出てきた
「飛んでいる時は向かい風で声が聞きづらいから先に伝えておくけど」
「意外と飛ぶのって精神と体力を使うの。ついてくるので精一杯だと思うから私の後ろにつく感じで飛んで」
ユバスが羽を大きく広げ飛行態勢に入る。それに合わせグルシャも同様に黒い翼を広げる
ついに出発だ。その時母さんが
「二人とも!」
「行ってらっしゃい。」
おそらく母さんから聞く最後の言葉だ。
次会うのは夢を叶えた時、その時まで
「行ってきます!」
「アンナさんもご無事で。」
二人は最後の言葉を残し飛び立っていった。
目指すは第8圏 マレボルジェ 内に存在する町 壁城 ヴィーラル
なにもなく到達できればいいのだが...
二人の飛び去る風の音が徐々に小さくなっていく
それを見送りながら、
「お父さん。あの子は立派に大きくなったから旅に行かせましたよ。」
「さぁ。今日はどんなご飯を作りましょうかね」
そう言いアンナは家に戻っていった
ここからはいつ死ぬかわからない世界。ユバスとグルシャの下克上物語の始まりである。
7話は25日19:00に投稿します
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